重要文化財の 《肩衝茶入 銘 松屋》 に、
重要文化財の 《青磁筍花生》 に、
重要文化財の 《青井戸茶碗 銘 柴田》 に。
大変貴重な茶道具の名品が、一挙に公開されている、
茶道具好き必見の美術展が、現在、根津美術館で開催されています。
“中世人の花会と茶会” は、7月16日まで。
茶道具観賞に関しては、全くと言っていいほど、興味を持てなかった僕ですが。
ここ最近は、
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『へうげもの』 にハマってしまった影響で、
すっかり茶道具観賞も楽しめるようになってきました。
《肩衝茶入 銘 松屋》 や、 《青井戸茶碗 銘 柴田》 を観ては、フムフム・ニヤニヤとしてしまうほど。
茶道具は、格式ばって観賞するものではなく、
『へうげもの』 の主人公・古田織部のように、感性の赴くままに楽しめばいいのです。
と、それだけに。
これまで、茶道具展を観に行くときは、
妙にフォーマルな格好で臨んでいたのですが、
今では、すっかりラフなスタイルで訪れるように。
今回の美術展へも、Tシャツ1枚で訪れました。
・・・・・が!
美術展会場に入った瞬間、驚きの光景が( ̄□ ̄;)!!
観賞していた方のほとんどが、着物だったのです。
何という着物率の高さ!
茶道具を愛でる姿が画になる着物マダムに交じって、
Tシャツ1枚で、茶道具をニヤニヤ見つめんとする謎の男。
“何という格好で来てしまったんだ・・・”
羞恥心で、いっぱいになりました。
おそらく、僕が訪れた時が、たまたま着物マダム率が高かったのかもしれませんが。
それにしても、あまりラフな格好で訪れると、
今回の美術展では、僕のように浮いてしまう恐れありです。
これから行かれる皆様は、くれぐれもご注意のほどを。
(普段の根津美術館の美術展でも、そこそこ着物マダム率は高い気はしますが。今回は特に)
着物マダム。略して、 “キダム” が来ます。
さてさて、自分のしょーもない服装のせいで、
着後れ・・・ならぬ、気後れしてしまったわけですが。
その羞恥心と戦ってでも観たかった逸品があります。
それは、兵庫の頴川美術館より特別出展されている・・・
《赤楽茶碗 銘 無一物》 です。
『へうげもの』 にも登場する陶工・長次郎が、
千利休の意を受けて作り上げた茶碗の代表作とされる名品です。
僕が受けた第一印象は、
「ラスコー!」
でした (←何じゃソリャ?)
その色と風合いから、人類の深い歴史が刻まれた洞窟のイメージが沸いたのです。
いつぞやに、陶磁器の名品中の名品 《曜変天目》 を観賞した際に、
その美しさを、思わず “銀河” に例えてしまいしたが。
(その時のブログは、こちら)
今回の 《赤楽茶碗 銘 無一物》 を例えるなら、
“銀河” ではなく、 “地球の核(コア)” といったところでしょうか。
『土』 と 『火』 それぞれの力強さが、この小さな茶碗には漲っています。
茶器好きならぬとも、必見の逸品です。
この1点だけでも、来て良かったなぁと満足しましたが。
個人的に、もう1点、僕のハートがガッチリと掴まれた茶碗がありました。
それが、こちら。
姫路酒井家伝来の 《雨漏茶碗》 です。
雨漏り状の班に、なんとも言えない “わびさび” を感じました。
ちなみに、間違える方は、いないと思いますが、
雨漏り状の班があるから、 《雨漏茶碗》 という名で呼ばれているのです。
僕の隣で観賞していた着物マダムたちが、
「へぇ~、やっぱりお殿様って、雨漏りを受けるお茶碗も高価だったのねぇ」
と、話し合っておりました。
いやいやいや、違いますから。
というか、殿様の家は、雨漏りしませんから (笑)
それと、これは、あくまで個人的に。
純粋に、好きだったのは、 《古銅龍文象耳花生》
他にも、古銅の茶器が展示されていましたが。
古銅のシブさに、男心をくすぐられました。
使い込まれたZIPPOのような色合いです。
展示されている茶道具個々それぞれに、響くものがありましたが。
今回の美術展の一番の魅力は、
それらの茶道具の名品を通して、中世の花会や茶の湯の会を再現している点。
「こんな感じだったのだろうなァ」 という当時の息吹が感じられました。
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中世人の花会と茶会
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