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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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ルドンー秘密の花園

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現在、三菱一号館美術館では、“ルドンー秘密の花園” という展覧会が開催されています。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


三菱一号館美術館では、2012年にも、
フランス象徴主義を代表する画家オディロン・ルドンの展覧会を開催していますが。
今回は、そのアップグレード版とでもいうべき展覧会。
世界有数のルドンコレクションを持つ岐阜県美術館の名品に加え、


《眼をとじて》 1900年以降 油彩/カンヴァス 岐阜県美術館蔵


MOMAやオルセー美術館といった世界の名だたる美術館からも、ルドンの名作が来日!


《蝶》 1910年頃 油彩/カンヴァス ニューヨーク近代美術館(MoMA)蔵 
The Museum of Modern Art, New York. Gift of The Ian Woodner Family Collection, 2000
©2017 Digital image,The Museum of Modern Art, New York/ Scala, Florence



考えうる限りのベストメンバーで構成された史上最強のルドン展です。
ちなみに、今回のルドン展のテーマは、「植物」。
ルドンが植物をモチーフに描いた作品の数々が紹介されています。




確かに、会場は、タイトルの通り、『秘密の花園』 状態でした。
いや、花がモチーフの絵ばかりでなく、
樹木がモチーフの絵もわりと登場していたので、『秘密の植物園』 状態でした。




展覧会の目玉は何と言っても、
フランスの美術愛好家ドムシー男爵がルドンに注文した城館の食堂の装飾画です。
現存する16点のうちの1点が、三菱一号館美術館が所蔵する 《グラン・ブーケ(大きな花束)》




こちらの作品は、前回のルドン展で初めてお披露目され、
以来、たびたび展示されている三菱一号館美術館のマスターピースともいうべき作品です。
今回のルドン展では、この 《グラン・ブーケ(大きな花束)》 とともに、
オルセー美術館より来日した残り15点の装飾画が合わせて展示されています。




つまり、16点が勢ぞろい!
ドムシー男爵の関係者しか見られなかった光景 (?) を目にすることができる超貴重な機会なのです。
星星星


《グラン・ブーケ(大きな花束)》 を1点だけ鑑賞しているときには、感じなかったのですが。
今回初めて、16点セットで鑑賞して感じたのは、
やはり装飾のために描かれた絵であるということ。




この装飾画が壁に掛かるだけで、
展示室内がいつも以上にクラシカルでノーブルな雰囲気になっていました。
装飾効果、抜群です。
しかも、普段は気にも留めなかった展示室内の扉も、ルドンの装飾画で装飾されるとこの通り。




なんとなく重厚感が増しています。
あの扉を開けると、その先に城館内の光景が広がっていそうな気さえしました。

ちなみに、もう一つ感じたのが、
16点のうち 《グラン・ブーケ(大きな花束)》 だけが群を抜いて、華やかなオーラがあるということ。
ぶっちゃけ、15点が束になっても、《グラン・ブーケ(大きな花束)》 には適わなかったです。
むしろ、《グラン・ブーケ(大きな花束)》 の魅力を引き立てるための15点。
バックダンサー的な役割の15点でした。

ただ、パッと見、15点の装飾画は地味ではあるものの。
じーっと見ていると、ポカポカ染みわたるものがありました。
地味というより、滋味。
象徴主義の画家としてのルドン、植物好きのルドン、装飾画にチャレンジしたルドン。
いろんなルドンの作風が混じりあって、ドロドロに溶けあって。
まるでポタージュスープのような味わいでした。




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