富山県水墨美術館に行ってきました。
名前に、「水墨」 とあるので、
なんとなく鄙びていて、こじんまりとした美術館を想像していましたが・・・
門構えからして、だいぶ立派でした!!
名前だけで判断してしまい、大変申し訳ありません。
もちろん門構えだけでなく、建物も庭園も立派でした。
皆さまも、ゆめゆめ名前だけで判断しませぬよう。
富山を訪れる際には、是非足を運ぶべき美術館の一つです。
さてさて、そんな富山県水墨美術館で、
現在、開催されているのが、“生誕140年 尾竹竹坡展” という展覧会。
今年生誕140年を迎える日本画家・尾竹竹坡 (おたけちくは) の没後初となる、
いや、生前にも開催されたことはないそうなので、史上初となる本格的な回顧展です。
今でこそ、その名をあまり・・・いや、ほとんど知られていませんが。
全盛期には、人気、実力ともに横山大観と並び称されていたほどの日本画家。
しかし、数々の ‘しくじり’ を犯してしまったがために、すっかり忘却の彼方に。
そんな尾竹竹坡のしくじり人生を、先日お招きいただいたトークショーでは・・・
某テレビ番組の完全パロディでお届けいたしました (笑)
ちなみに、尾竹竹坡のしくじりポイントは、多々ありますが。
ブログでその全てを紹介しているとキリがないので、そのうちの一つをご紹介いたしましょう。
こちらです↓
とにかく絵の才能に関しては、超一流の尾竹竹坡。
器用すぎて、どんな作風でも描けてしまうのです。
やまと絵風の絵も描けば、
《太子》 明治44年
中国の水墨画風の絵や、
《寒山拾得》 制作年不詳 新潟市潟東樋口記念美術館蔵
当時イタリアやロシアで流行していた未来派のスタイルを取り入れた絵、
《太陽の熱》 1920年頃 東京国立近代美術館蔵
写実画バリバリな絵、
《竹の子》 制作年不詳 宮城県美術館蔵
さらには、もはや何風なのかもわからない絵も描きます。
《[失題]》 制作年不詳
まるでカメレオン俳優のよう。
同一人物とは思えません。
ここまで作風が定まらないというのは、実に研究者さん学芸員さん泣かせ。
そういう理由もあり、長い間、尾竹竹坡が研究の対象にのぼることは、ほとんどなかったのだとか。
しかし、僕ら観客にとっては、むしろそれはプラスです。
いろんな作風が楽しめて、有難いかぎり。
次はどんなスタイルの作品が登場するのかと、最後まで全く飽きずに鑑賞することが出来ました。
ちなみに、今回の出展作品の中で特にオススメしたいのが、
第4回の文展 (誰でも出展できる公募展) で最高賞を受章した作品 《おとづれ》 です。
《おとづれ》 明治44年 東京国立近代美術館蔵
人物の表情。
咲き誇る菊と生い茂る竹、そして、地面に生えた苔。
どの描写も細密で繊細。
その魅力は、細かすぎて (画像やポスターでは) 伝わりません。
って、いくら僕が言葉にしても、伝わらないことでしょう。
実物を目にして頂ければ、僕の言わんとすることは一発で伝わるはずです。
それと個人的にオススメしたいのは、《猫》 という作品。
《猫》 大正3年 富山県水墨美術館蔵
猫のゆるゆるした表情とフォルムが、
なんとも愛らしくて、味わい深い作品です。
金泥が用いられた独特の葉っぱの表現も味わい深い。
絵の中を、心地の良い空気が流れていました。
いい意味で (?) 、眠気を誘う作品です。
最後に、もう一枚オススメの作品を。
《百合》 です。
《猫》 大正時代 駿府博物館蔵
どことなくミュシャ風で、どことなく天野喜孝風。
百合が描かれているだけなのに、妙な迫力があります。
こちらに迫ってくるような。
実に男前な百合でした。
他にも紹介したい作品は、まだまだあります。
どれもこれも見どころと言っていいくらいに、すべての作品が面白かったです。
和食だけでなく、洋食も中華もあるのに、どのメニューを食べても美味しい。
たまにそんなお店がありますが、まさにあんな感じ。
是非、一人でも多くの方に観て頂きたい展覧会です!
ちなみに、尾竹竹坡の作品は、行方不明のものも多いとのこと。
この展覧会を機に、人気に火が付き、調査が進むことを願っています。
生誕150年記念展が開催されるその日まで、あえて3ツ星は取っておこうと思います。
1位を目指して、ランキングに挑戦中。
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生誕140年 尾竹竹坡展
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