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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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くまのもの 隈研吾とささやく物質、かたる物質

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新国立競技場の設計に携わるなど、
国内外で活躍し、今や名実ともに建築界のトップランナーとなった隈研吾氏。
その30年にも及ぶキャリアを振り返る大々的な個展が、
現在、東京ステーションギャラリーにて開催されています。
その名も、“くまのもの 隈研吾とささやく物質、かたる物質”
会期は、5月6日までです。




展覧会で紹介されているのは、約80のプロジェクト。
(↑これでも隈氏が手掛けたすべてのプロジェクトの一部!)
それらのプロジェクトを、時系列ではなく、
竹や木、紙、金属といった10種の 「素材」 ごとに分類し、展示しているのが今展の最大の特徴です。





これまでの建築家人生で素材との対話を続けてきたという隈氏。
例えば、竹を素材にした場合、建材として使うだけでなく、




細く裂けるという性質を利用して、スクリーンにしてみたり、




しなる性質を利用して、その上を歩くと音が発せられる空間を作ってみたり。


ナンチャンナンチャン 2013 Photo: Designhouse


素材の良さを最大限に引き出しつつ、さらには、素材の新たな魅力をも引き出しつつ。
一つの素材をとってみても、実にバリエーション豊かな作品を生み出しています。
まるで、料理の鉄人のよう。
テーマ素材が、竹でも木でも紙でも何であろうとも、
アッと驚く斬新な調理法 (=工法) で、これまでにない料理 (=作品) を完成させています。

ちなみに、天井からぶら下がっていた、このカラフルなふわふわしたものの正体は・・・




廃材となったLANケーブル。
鉄人の手にかかると、廃材も立派な素材となるのですね。


さてさて、今回紹介されていた作品の中で、
個人的に一番印象に残っているのは、2007年に発表された茶室 《浮庵》 です。




ヘリウム入りのバルーンが浮かび上がり、
その上に極度に薄い布スーパーオーガンザを覆いかぶせることで、全く柱のない空間が生まれています。
究極の薄くて軽い建築です。
バルーンは落ちてこないのか。
風が吹いたら、どうなるのか。
この建築に対する信頼も薄いです。
浮庵というよりも、不安。


それと、もう一つ印象的だったのが、《小松精練ファブリックラボラトリーfa-bo》 です。




こちらは、築47年の旧本社を改修する際に、
在来耐震補強に加え、炭素繊維を耐震補強材に使用してみるというプロジェクト。
会場に、実物の炭素繊維が展示されていましたが・・・




“いくら何でも、こんな繊維で建物を補強できるわけないじゃん( ̄m ̄〃)”

と、あまりの荒唐無稽さに、思わず笑ってしまいました。
いや、さすがに実現不可能でしょ・・・と思ったのも束の間。
すでに2015年に、世界初の例として実現しているとのこと。


小松精練ファブリックラボラトリーfa-bo  2013 Photo: Takumi Ota


なんかもういろいろビックリです。
建築って、ここまで進化しているんですね。

他にもまだまだ興味深いプロジェクトが多数紹介されていました。





素材という誰にも身近な取っ掛かりがあることで、
建築にそこまで興味がない人でも、十分に楽しめる展覧会となっています。
写真撮影がすべて可なのも嬉しいところ。
星


ちなみに。
展覧会のラストに紹介されていたのは、
2020年春に暫定開業する折紙をモチーフとした大屋根が特徴的な 《品川新駅(仮)》 でした。




たぶん、東京ステーションギャラリーだけに。





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