現在、国立西洋美術館で絶賛開催中の “プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光”。
その出展作品の中で一際、鑑賞者をザワつかせている絵があります。
それが、アロンソ・カーノによる 《聖ベルナルドゥスと聖母》。
アロンソ・カーノ 《聖ベルナルドゥスと聖母》 1657-60年 マドリード、プラド美術館蔵 © Museo Nacional del Prado
こちらは、12世紀の神学者・聖ベルナルドゥスに起きた奇跡を描いた一枚。
その奇跡とは、次のようなものです。
マリア様を特に篤く信仰していた聖ベルナルドゥス。
ある日、「あなたの母たることをお示しください」 と聖堂で祈りを捧げていると、
聖母マリアの彫像が動き出し、ベルナルドゥスの唇に自分の乳房をあてがい、乳を飲ませたのだとか。
・・・・・・・・。
いろいろとツッコミどころのある奇跡ですが。
まぁ、百歩譲って、そういう奇跡があったとしましょう。うん。
でも、その奇跡の場面を素直にビジュアル化したとしても、あぁはならないでしょう。
アロンソ・カーノは、完全にやりにいってます (=ウケ狙いに走ってます) ね。
事実、他の画家が描いたベルナルドゥスの奇跡を調べてみると。
ルネサンス期のイタリアの画家ペルジーノの作品では、
聖母マリアの彫像が動き出したということに重きが置かれ、母乳は描かれていませんし。
ルーヴル美術館が所蔵するヨース・ファン・クレーフェの作品では、
マリア様の胸元ははだけているものの、母乳は噴射されていません。
やはり、ベルナルドゥスの奇跡をあんな風に描いているのは、アロンソ・カーノだけなのでは?
しかし、さらに調査を続けたところ、
他にも続々と衝撃的なベルナルドゥスの奇跡が見つかりました。
アロンソ・カーノ超えなるか?!
聖ベルナルドゥスの奇跡選手権。
いざ、開幕です。
エントリーNo.1
Juan de las Roelas (1558~1625 スペインの画家) による作品
“ん?口の中が甘いぞ?何で??”
まだ自分の身に何が起きたのか、わかっていない模様。
ドッキリにかけられているのかもしれませんね。
セラフィムやケルビム (=頭だけの天使) が、ワイプで抜かれた人に見えてきました。
エントリーNo.2
ポルトガルのとある修道院に伝えらえる作品
弧を描くのではなく、母乳が直進するという珍しいパターン。
ウォーターガンなみの飛距離です。
「まぁ、好きなだけ飲んじゃってよ」 とでも言いたげなイエスの表情にもご注目。
エントリーNo.3 Jehan Bellegambe (1470~1536 フランスの画家) による作品
母乳をガン見!
“う~ん、飲んでいいのか?飲んでいいんだよな?
てか、ここで待ってれば、口元にやってくるのか?
いや、でも、この角度だと来ないよな。えっ?ということは、俺から行くのか?”
たぶん葛藤しています。
エントリーNo.4
Giovanni Francesco Romanell (1610~1662 イタリアの画家) による作品
確かに、「あなたの母たることをお示しください」 って言いましたけど。
そういうことじゃないんスよね。
とりあえず、母乳止めてもらえます?マジで勘弁してくださいよ。
「つべこべ言わず飲め!」 的なイエス。荒れてます。
エントリーNo.5
Master I. A. M. of Zwolle (1425~1504 ドイツの画家) による作品
わー、彫刻が動き出した!
そんで、母乳出てきた!
・・・・・で、何でおでこに?
困惑のあまり、聖ベルナルドゥスの表情がなんとも複雑なことになっています。
エントリーNo.6
ペルーの画家による作品
自分から飲みに行ってるやん!
今までで一番羨ま・・・もとい、一番問題作の聖ベルナルドゥスの奇跡です。
この絵を見て、キリスト教に目覚めた人は、確実に動機が不純。
エントリーNo.7
ジョバンニ・ベネデット・カスティリオーネ (1609~1664 イタリアの画家) による作品
マリア様じゃないし!それ、血だし!
液体だったら、もはや何でもいいのかもしれません。
“コイツ、グイグイくるなぁ・・・”
イエスも若干引いていますね。
以上、『聖ベルナルドゥスの奇跡選手権』 でした。
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