2016年には、フランスのギメ東洋美術館にて、
2017年には、ブラジルのジャパン・ハウス サンパウロと、NYのメトロポリタン美術館にて、
日本の竹工芸を紹介する展覧会が開催され、何十万人という多くの観客を魅了してきました。
そう、竹工芸は今、日本を代表する工芸品として、世界中から熱い注目を集めているのです!
まさに、破竹の勢い!!
・・・・・・・・ところが。
その本国である日本では、竹工芸の展覧会はほとんど開催されていません。
東京に関して言えば、1985年に東京国立近代美術館で開催された展覧会が最後。
実に30年以上も、竹工芸に特化した展覧会は開催されていないのです。
そこで立ち上がったのが、菊池寛実記念 智美術館。
現代陶芸を専門とする美術館が (なのに?)、
現在、満を持して、竹工芸に特化した展覧会を開催しています。
“線の造形、線の空間―飯塚琅玕齋と田辺竹雲斎でめぐる竹工芸” は、7月16日まで。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
こちらは、飯塚琅玕齋 (1890~1958) と初代田辺竹雲斎 (1877~1937) を中心に、
7人の竹工芸家の作品を前後期あわせて約120点を紹介する大々的な竹工芸の展覧会です。
正直なところ、会場を訪れるまで、
“竹工芸→竹籠→サザエさんが手にしているような買い物カゴ” という勝手な連想から、
女性向けの、それも年配の女性向けの展覧会だろうと思っていました。
が、しかし!
竹の特性を活かし、編んで、組み上げて、自立させる。
そんな竹工芸の作品は、建築の設計やレゴ、
プラモデルにもどこか通じるところがあります。
むしろ男ウケするのでは?
少なくとも僕は、今回の展覧会を通じて、竹工芸の魅力に目覚めました。
世界で注目され始めているのも納得。
海外に名品がどんどん渡ってしまう前に、日本人として観ておきたい展覧会です。
ちなみに、今回の展覧会のネックを一つだけ挙げるとするならば、
紹介されている竹工芸家の名前が、なかなか覚えられる気がしないこと (笑)
飯塚琅玕齋、田辺竹雲斎、二代飯塚鳳齋、飯塚小玕齋・・・。
みんな “斎” が付いていました。
と、その中で、もっとも光っていた “斎” の持ち主、もとい、才の持ち主が飯塚琅玕齋。
東京を拠点に活躍した竹工芸家です。
《花籠 千篠》 のようにモダンな作品も作れば、
細いひごを織物の要領で編み込んだ 《手筥》 のように超絶技巧的な作品も作っています。
さらには、縦に編んだ細い竹ひごを雨に見立てた 《夕立》 という作品も。
同じ人物の作品とは思えないほど、作風が変幻自在。
まさに竹工芸のファンタジスタです。
そんな飯塚琅玕齋の数ある作品の中で、特に印象的だったのが、《盛花籃 蓬莱》 です。
パッと見は、ただの (?) ワイルドな作品。
持ち手なんて、竹そのまんまです。
他の飯塚琅玕齋と比べると、完成形にそこまで美しさは感じませんでした。
“まぁ、たまには凡作もあるか” と思いつつ、
何気なく横に回った時に、とんでもないことに気付いてしまいました!
「えっ、あれ?もしかして?!」
なんと、こちらは170㎝ほどある竹一本だけで作られている作品。
湾曲した竹の下方部を、持ち手として活かし、
上方部は曲げて、割って、籠状に編んで、最終的に持ち手と固定しています。
なんという大胆なアイディア!
もし僕も170㎝ほどの竹一本を見つけたら、チャレンジしてみようと思います (←絶対無理!)。
また、今回のもう一人の主役、
大阪・堺を拠点に活躍した初代田辺竹雲斎も、作風の幅の広い人物でした。
唐物風の精緻で格調高い作品を得意とする一方で、
まるで抽象画のようなランダムな編み方 (=荒編み) の作品も残しています。
それから、古矢竹 (=漆や金箔で装飾された古い竹製の矢) を、
そのままの姿でデザインに活かしたユニークな作品も制作しています。
ちなみに。
初代田辺竹雲斎の子、二代田辺竹雲斎も竹工芸家(初代よりも、作品がスマートな印象)。
孫の三代田辺竹雲斎も竹工芸家 (作品は竹工芸というよりも、建築模型のよう!)。
さらに、そのまた子、つまり曾孫の四代田辺竹雲斎さん (1973~) も現役の竹工芸家です。
華麗なる竹工芸一族。
竹工芸界のブリューゲルです。
四代の作品は、とにかく現代的でスタイリッシュでした。
“竹工芸=古臭い” という概念を一蹴しています。
そんな四代による究極ともいうべき作品が、
今展のために制作されたインスタレーション 《CONNECTION》 です。
ダイナミックでありながらも、竹が持つ繊細さも感じさせる作品。
目に飛び込んできた瞬間、
思わず全ての思考がフリーズしてしまったくらいに、圧倒的なパワーを持っていました。
智美術館のシンボルである螺旋階段とのコラボも美しかったです。
ちなみに、こちらの作品に使われているのは、
高知県の一部でしか成育しないという不思議な竹、虎竹 (虎斑竹) とのこと。
その珍しい紋様も要チェックですよ。
1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!
2017年には、ブラジルのジャパン・ハウス サンパウロと、NYのメトロポリタン美術館にて、
日本の竹工芸を紹介する展覧会が開催され、何十万人という多くの観客を魅了してきました。
そう、竹工芸は今、日本を代表する工芸品として、世界中から熱い注目を集めているのです!
まさに、破竹の勢い!!
・・・・・・・・ところが。
その本国である日本では、竹工芸の展覧会はほとんど開催されていません。
東京に関して言えば、1985年に東京国立近代美術館で開催された展覧会が最後。
実に30年以上も、竹工芸に特化した展覧会は開催されていないのです。
そこで立ち上がったのが、菊池寛実記念 智美術館。
現代陶芸を専門とする美術館が (なのに?)、
現在、満を持して、竹工芸に特化した展覧会を開催しています。
“線の造形、線の空間―飯塚琅玕齋と田辺竹雲斎でめぐる竹工芸” は、7月16日まで。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
こちらは、飯塚琅玕齋 (1890~1958) と初代田辺竹雲斎 (1877~1937) を中心に、
7人の竹工芸家の作品を前後期あわせて約120点を紹介する大々的な竹工芸の展覧会です。
正直なところ、会場を訪れるまで、
“竹工芸→竹籠→サザエさんが手にしているような買い物カゴ” という勝手な連想から、
女性向けの、それも年配の女性向けの展覧会だろうと思っていました。
が、しかし!
竹の特性を活かし、編んで、組み上げて、自立させる。
そんな竹工芸の作品は、建築の設計やレゴ、
プラモデルにもどこか通じるところがあります。
むしろ男ウケするのでは?
少なくとも僕は、今回の展覧会を通じて、竹工芸の魅力に目覚めました。
世界で注目され始めているのも納得。
海外に名品がどんどん渡ってしまう前に、日本人として観ておきたい展覧会です。
ちなみに、今回の展覧会のネックを一つだけ挙げるとするならば、
紹介されている竹工芸家の名前が、なかなか覚えられる気がしないこと (笑)
飯塚琅玕齋、田辺竹雲斎、二代飯塚鳳齋、飯塚小玕齋・・・。
みんな “斎” が付いていました。
と、その中で、もっとも光っていた “斎” の持ち主、もとい、才の持ち主が飯塚琅玕齋。
東京を拠点に活躍した竹工芸家です。
《花籠 千篠》 のようにモダンな作品も作れば、
細いひごを織物の要領で編み込んだ 《手筥》 のように超絶技巧的な作品も作っています。
さらには、縦に編んだ細い竹ひごを雨に見立てた 《夕立》 という作品も。
同じ人物の作品とは思えないほど、作風が変幻自在。
まさに竹工芸のファンタジスタです。
そんな飯塚琅玕齋の数ある作品の中で、特に印象的だったのが、《盛花籃 蓬莱》 です。
パッと見は、ただの (?) ワイルドな作品。
持ち手なんて、竹そのまんまです。
他の飯塚琅玕齋と比べると、完成形にそこまで美しさは感じませんでした。
“まぁ、たまには凡作もあるか” と思いつつ、
何気なく横に回った時に、とんでもないことに気付いてしまいました!
「えっ、あれ?もしかして?!」
なんと、こちらは170㎝ほどある竹一本だけで作られている作品。
湾曲した竹の下方部を、持ち手として活かし、
上方部は曲げて、割って、籠状に編んで、最終的に持ち手と固定しています。
なんという大胆なアイディア!
もし僕も170㎝ほどの竹一本を見つけたら、チャレンジしてみようと思います (←絶対無理!)。
また、今回のもう一人の主役、
大阪・堺を拠点に活躍した初代田辺竹雲斎も、作風の幅の広い人物でした。
唐物風の精緻で格調高い作品を得意とする一方で、
まるで抽象画のようなランダムな編み方 (=荒編み) の作品も残しています。
それから、古矢竹 (=漆や金箔で装飾された古い竹製の矢) を、
そのままの姿でデザインに活かしたユニークな作品も制作しています。
ちなみに。
初代田辺竹雲斎の子、二代田辺竹雲斎も竹工芸家(初代よりも、作品がスマートな印象)。
孫の三代田辺竹雲斎も竹工芸家 (作品は竹工芸というよりも、建築模型のよう!)。
さらに、そのまた子、つまり曾孫の四代田辺竹雲斎さん (1973~) も現役の竹工芸家です。
華麗なる竹工芸一族。
竹工芸界のブリューゲルです。
四代の作品は、とにかく現代的でスタイリッシュでした。
“竹工芸=古臭い” という概念を一蹴しています。
そんな四代による究極ともいうべき作品が、
今展のために制作されたインスタレーション 《CONNECTION》 です。
ダイナミックでありながらも、竹が持つ繊細さも感じさせる作品。
目に飛び込んできた瞬間、
思わず全ての思考がフリーズしてしまったくらいに、圧倒的なパワーを持っていました。
智美術館のシンボルである螺旋階段とのコラボも美しかったです。
ちなみに、こちらの作品に使われているのは、
高知県の一部でしか成育しないという不思議な竹、虎竹 (虎斑竹) とのこと。
その珍しい紋様も要チェックですよ。
1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!