静嘉堂文庫美術館で開催中の展覧会 “酒器の美に酔う” に行ってきました。
会場には、静嘉堂文庫美術館が所蔵する酒器がズラリ勢ぞろい。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
一口に酒器といっても、その種類は様々。
飲むための酒器もあれば、
注ぐための酒器や、
盛るための酒器もあります。
(↑側面に、ちゃんと 『酒』 と書いてあります!)
珍しいところでは、水を貯めて盃を洗うための器、杯洗 (はいせん) なるものもありました。
ちなみに、下の写真の手前に映っている盃洗の足元にご注目。
太鼓型の大きな胴部を3人の唐子が必死に支えています。
しかも、首で!
力を受けるところは、もっと他にあるだろうに。
見れば見るほど、この子たちが心配になってきました。
今回の出展作品の中で、特に注目すべき酒器は、
たまたま (!) 数年前に静嘉堂文庫の倉庫から発見されたという 《青銅饕餮文尊》 です。
《青銅饕餮文尊》 殷時代(紀元前14~13世紀) 静嘉堂文庫美術館蔵
一般に公開されるのは、今回が初めて。
ある意味、3000年近くぶりとなる一般公開です。
「尊」 とは酒を盛り、神や祖先の霊前に供えるための器のこと。
遥か昔、この尊の中に、どんなお酒が入っていたのだろうかと、考えるだけでロマンです。
その妄想だけでお酒が一杯飲めます。
3000年と比べると、“15年ぶりの公開” は短く感じられるかもしれませんが。
重要文化財の 《色絵桐鳳凰文徳利》 も、今回の展覧会の目玉の一つです。
重要文化財 《色絵桐鳳凰文徳利》 有田焼(柿右衛門様式) 江戸時代(17~18世紀) 静嘉堂文庫美術館蔵
古くから、柿右衛門様式の名品として知られる逸品。
白磁の美しさと鳳凰の優美な姿が印象的なゴージャスな徳利です。
ちなみに、画像では大きさは伝わらないでしょうが。
高さ約30㎝と、徳利としてはかなり大きなサイズ。
それにくわえて、胴部が大きく張り出しています。
どんだけ酒を溜めておきたかったのか。
また、ゴージャスと言えば、現存唯一とされる盛期鍋島の色絵水注も。
《色絵牡丹文水注》 鍋島藩窯 江戸時代(17~18世紀) 静嘉堂文庫美術館蔵
胴の部分は、いかにも鍋島という感じでしたが。
注ぎ口や把手に金蒔絵で牡丹唐草があしらわれています。
そのため、全体的には、なんとなくアラビア風な印象を受けました。
ちなみに、こちらの 《色絵牡丹文水注》 は、
あの徳川吉宗が鍋島藩にこっそりとプライベートで注文した可能性があるとのこと。
あれっ?確か、吉宗って質素倹約につとめていたはずでは・・・?
ちなみに、今回の展覧会には、
酒器そのものだけでなく、酒器が登場する絵画作品も出品されています。
その中で個人的にイチオシなのが、《酒飯論絵巻》 。
酒好きの男vs下戸でご飯好きの男vsどちらもほどほどに嗜む男。
その3人が持論をそれぞれ展開するという形式の絵巻です。
第二段には、とある貴族の屋敷での酒宴の様子が描かれていました。
踊る人や裸になる人もいれば、足元がふらつき両脇を抱えられた人もいます。
酒の席での痴態は、今も室町時代も変わらないようです。
また、背中をさすられ、縁側から外に向かって吐いている人も。
(※お食事中の皆様、大変申し訳ありません)
その吐き方は、まるで滝のよう。
完全に漫☆画太郎の世界でした。
お酒は好きで飲むほうですが、ここに描かれている人のようにはなりたくないですね。
飲みすぎには、くれぐれも注意しようと思いました。
自宅で焼酎1本空けるなんてもってのほかです。
お酒が飲めないという人でも、もちろん造形的に楽しめますが。
“あの酒器でお酒を飲みたいなァ”
“こういう酒器なら、あんなお酒が合うだろうなァ”
お酒が好きな人のほうが、より楽しめる展覧会であることは確かです。
ちなみに、酒器ではなく茶器ですが、
静嘉堂文庫美術館コレクションの至宝の一つ、
国宝の 《曜変天目》 も特別に出展されています。
何度観ても感動する国宝の中の国宝。
その青い光の美しさに酔いしれます。
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酒器の美に酔う
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