数年前、東京国立近代美術館にて、工藤哲巳の大々的な回顧展が開催されました。
その中でパネルで紹介されていたのが、工藤哲巳による超巨大な彫刻作品。
その高さは、実に15メートル!
なんでも、千葉県の鋸山の岩壁を直接彫って完成させたのだそうです。
そんな途方もないアート作品が、千葉にあっただなんて!
いつか訪れようと思い続けて、早数年。
ようやく浜金谷駅へとやってこれました。
駅のホームからバッチリと見えているのが鋸山です。
鋸山は千葉県民なら知らない人はいない、千葉県で最も有名な山。
標高は、たった329メートルほど。
しかし、500メートル以上の山が無い千葉県にとっては、鋸山は十分に高い山。
他県から見たら低いのでしょうが、鋸山には千葉県で唯一のロープウェーがあるのです。
そんな県民悲願 (?) のロープウェーに乗って、山頂へ。
お目当ての美術作品を探します。
まずは、山頂に広がる日本寺を散策。
巨大な石仏に、
石仏が密集するゾーンに、
表面がとろけて、エイリアン状態になっている石仏に。
アートな光景は、多々目にしましたが。
残念ながら、工藤哲巳の作品はありませんでした。
そこで文明の利器、スマホを使って、工藤哲巳作品に関する情報を検索。
すると、登山道の途中で見れることが判明しました (←最初から調べて来いよ!)
うわぁ・・ロープウェーに乗ってる場合じゃなかったんだ・・・。
ということで、即下山。
険しい道のりを、ひたすら下ります。
天気が良かったこともあり、汗はだくだく。膝はがくがく。
まさか美術作品を無料で観るのに、こんなに辛い思いをするとは。
国宝ハンターの取材並みのキツさです。
そして、下り続けること約30分。
工藤哲巳作品のビューポイントとされる観月台に到着しました。
このあたりから、鋸山の岩肌を眺めると、工藤哲巳の巨大彫刻が見えるのだとか・・・
「あー、見えた!!!!!」
・・・・・・・・・かなり遠くにあるので、写真ではほぼほぼ伝わりません (笑)
思いっきりズームしてみます。
おわかりいただけただろうか?
写真の中央に見える、男のアレみたいな形のヤツ。
それこそが、今回のお目当ての作品です。
新・無料で観れる 美術百選 080 工藤哲巳 《脱皮の記念碑》
こちらは、鋸山に土地を持つとある社長さんが、工藤哲巳に作らせた巨大彫刻。
私有地なので、残念ながら一般の人は近くで観ることは出来ず。
山の向い側から見るしかありません。
(↑工藤哲巳展の時には、こんな感じで紹介されていました)
どう見ても、アレの形をしています。
それゆえ、当時、地元の方から、
「そんな卑猥なものを鋸山に彫るだなんて!」 とクレームが寄せられたのだとか。
しかし、工藤は、「これは猥褻なものではなく、サナギだ!」 と言い張ったのだそうです。
アレなのか?サナギなのか?
単眼鏡を使って、じっくり検証してみましたが・・・
まぁ、アレでしょう。うん。
ここに至るまでの道のりがハードだったこともあり、
《脱皮の記念碑》 に出合った瞬間は、テンションがあがっていたのですが。
時間が経つにつれ、冷静になっていく自分がいました。
何せ見ているものが、アレなものですから。
“僕は何を見に、こんな遠くまでやってきたんだろう・・・”
ちなみに。
ホームで帰りの電車を待っているときに、さらに衝撃的な事実が判明しました。
着いた時と同じように、鋸山のほうにふと目を向けると・・・
“ん?えっ?あれ??”
ここから見えてたんかーい!
あんな苦労をする必要はなかったようです。
・・・・・・はぁ。
そんな僕の姿を見て、きっとお日さまも笑ってる。
ひざも笑ってる。
<無料で観れる美術 データ>
鋸山
アクセス:○JR 「浜金谷駅」 より徒歩15分
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新・無料で観れる 美術百選 《鋸山(千葉県富津市、安房郡鋸南町)》
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