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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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長谷川利行展 七色の東京

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原色が躍る色使い、荒々しい筆致、そして、その短く激しい生涯から、
「日本のゴッホ」 とも称されている破天荒画家・長谷川利行 (1891~1940)。
そんな長谷川利行の18年ぶりとなる大々的な回顧展が、現在、府中市美術館で開催されています。
その名も、“長谷川利行展 七色の東京”




出展数は、実に約140点!
某お宝鑑定バラエティ番組で発見され、話題となったあの 《カフェ・パウリスタ》 や、


長谷川利行 《カフェ・パウリスタ》 1928(昭和3)年 油彩、カンヴァス 東京国立近代美術館


約40年ぶりの公開となる 《夏の遊園地》 を筆頭に、


長谷川利行 《夏の遊園地》 1928(昭和3)年 油彩、カンヴァス 個人蔵


二科展で樗牛賞に輝いた 《酒売場》 や、
代名詞ともいうべきガスタンクを描いた風景画など、代表作の数々が日本中から集結しています。
さらには、展覧会が始まる直前に発見されたばかりの大作 《白い背景の人物》 も、特別出品!


長谷川利行 《白い背景の人物》 1937(昭和12)年 油彩、カンヴァス 個人蔵


まさに史上最強の長谷川利行展です。
ただ、人によって、作風が受け付けられない人もいるでしょうから、ちょっと控えめに2ツ星。
星星
受け付けられる人なら、確実に3ツ星の展覧会です。


酒に溺れ、放浪癖もあって。
浅草や山谷、新宿のドヤ街を転々とし、最後は三河島の路上で倒れ、
板橋の東京市養育院で誰の看取りも無いままに、49年の生涯を閉じた長谷川利行。
そのあまりに悲惨すぎる人生を知った上で、
彼の絵を見てしまうと、どうにも自暴自棄な人が描いた絵にしか思えませんが。
悲惨な人生というフィルターを外して見てみると、
のびのび楽しげに、自由気ままに描かれた絵であることがわかります。


長谷川利行 《水泳場》 1932(昭和7)年 油彩、カンヴァス 板橋区立美術館


幼稚園児が描く絵のようで、むしろ明るく無邪気な絵。
画面からは幸福感すら伝わってきます。


長谷川利行 《地下鉄ストアー》 1932(昭和7)年 油彩、カンヴァス 東京地下鉄株式会社


と、利行が描く風景画は、往々にしてハッピーな印象なのですが。
なぜか、男性を描くときに限っては、妙にどよんとした感じに。


長谷川利行 《靉光像》 1928(昭和3)年 油彩、カンヴァス 個人蔵


白塗りベースに、黄色と青って、どんな顔色なん?
『X-MEN』 とか 『アベンジャーズ』 とかに、こんなキャラ出てませんでしたっけ??

日本を代表するあの劇作家・演出家も、長谷川利行の手にかかると、こんな感じに。


長谷川利行 《岸田国士像》 1930(昭和5)年 油彩、カンヴァス 東京国立近代美術館蔵


白塗り&死んだような表情。
野生爆弾のくっきーの顔モノマネのようです。


ちなみに、今回出展されていた作品の中で、
一番印象に残ったのは、《落花生に似た女の容姿》 という一枚。


長谷川利行 《落花生に似た女の容姿》 制作年不詳 鉛筆、紙 個人蔵 (注:展示は5/19~6/10)


落花生に似てる女って、なんだよwww

そんで、

落花生に全然似てねーよwww


長谷川利行の独特すぎる感性を知れたのが、今回の収穫です。
と、それ以上に収穫だったのが、長谷川利行の名前の読み方。
これまでずっと彼のことを、
「はせがわとしゆき (“りこう” と読む場合も)」 と思っていたのですが・・・。




絵をよく見ると、『HASEKAWA』 とサインされているではないですか!
そう、彼は、「はせかわりこう」 だったのです。
10年以上、読み間違えていました (汗)
南無~~。




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