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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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芳年―激動の時代を生きた鬼才浮世絵師

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現在、練馬区立美術館で開催されているのは、
”芳年―激動の時代を生きた鬼才浮世絵師” という展覧会。
江戸から明治にかけて活躍し、「最後の浮世絵師」 とも称される月岡芳年の大規模な回顧展です。




月岡芳年と言えば、昨年2か月にわたり、太田記念美術館にて、
“月岡芳年 妖怪百物語”“月岡芳年 月百姿” が開催されていましたので。

「へー、今年も月岡芳年の展覧会があるんだー」

くらいにしか思っていませんでしたが。
実は、芳年の画業をちゃんと紹介する展覧会は、
これまでそんなに開催されてこなかったとのこと。
今回の展覧会では、芳年の画業に焦点を当て、
初期から晩年にかけての代表作を余すことなく紹介しています。
いうなれば、月岡芳年の回顧展の決定版です。
星星


昨年、太田記念美術館でフィーチャーされていた 《和漢百物語》 シリーズや、




一番の代表作である 《月百姿》 シリーズ、




芳年が得意とした上下2枚続の作品をズラリと並べたコーナーなど、見どころはたくさんありましたが。




何と言っても、一番の見どころは、
芳年の代名詞ともいうべき “血みどろ絵” “無惨絵” を一堂に集めたコーナーではないでしょうか。
芳年の “血みどろ絵” “無惨絵” は、膠を絵具に混ぜることで、ドロッとした血を表現した本格派。
あまりに残酷な描写であるため、異例の注意書きがありました。




スプラッター好きには堪らないでしょうが。
血が苦手な人には、「うへぇ」 となること間違いなし。





噴き出る血を見ることで、むしろこちらの血の気が引きました。
体感温度が2、3度くらい下がったでしょうか。
そういう意味では、夏にピッタリの展示コーナーでした。

“血みどろ絵” “無惨絵” もインパクトがありましたが、
それ以上に、ある意味にインパクトが強かったのが、《一魁随筆 山姥 怪童丸》 という一枚。




怪童丸、すなわち金太郎と、その育ての親である山姥が描かれています。
おそらく西洋画の聖母子像の影響を受けているのでしょうが・・・・・いろいろ謎。
なんかアブノーマルな匂いがプンプンします。

と、芳年が描く金太郎はだいぶ変ですが、浦島太郎もだいぶ変。




竜宮城は海底にあったわけではないのですね。
普通に海上で見送られています。
それにしても、浦島太郎の亀の乗り方の雑なこと。
頭に足をぞんざいにのっけられ、亀が苦しそうです。
いじめっ子より浦島太郎のが酷いような。

変といえば、こんな絵も。




サッと高く宙を舞い、スパッと碁盤の角を切り落とす。
動きはめちゃめちゃカッコいいのですが、何がしたかったのかイマイチよくわからないシーンです。
ということで、帰宅後調べてみることに。
描かれているのは、「八幡太郎」 こと源義家。
源頼朝のひいひいおじいちゃんに当たる人物です。
そんな義家はある人妻のもとに、毎晩強引に通っていたのだそうな。
困り果てた女は、夫に相談。
すると、夫は義家を捕まえるべく、ある計画を立てるのです。
それは、女の部屋の入り口に碁盤を置き、
義家が碁盤につまづいたところを捕まえようというもの。(←ショボいトラップだなぁ。。。)
さて、その夜、何も知らない義家がやってきました。
が、義家は、すぐさま碁盤に気づき、サッスパッと碁盤の角を斬り落としたのだとか。
そして、何事もなかったかのように女の部屋へ。
その様子を見た夫は、「只者ではない!」 と恐れをなしたのだとか。

・・・・・・・・・・・どういうジャンルの話?


最後に紹介したいのは、《不知藪八幡之実怪》 という作品です。




「不知藪八幡」 とは、千葉県市川市の八幡に実際にあるという神隠しの森。
そこに水戸黄門こと徳川光圀が立ち入り、
異形のモノたちと遭遇したシーンが描かれているようです。
そんな異形のモノたちのなかに、日本を代表するツッコミ芸人の姿が!




浜ちゃん??




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