今年2018年は、明治維新から数えて150年目という節目の年。
それを記念して、現在、静嘉堂文庫美術館では、
“─ 明治150年記念 ─ 明治からの贈り物” という展覧会が開催されています。
静嘉堂文庫といえば、創始者である岩﨑彌之助 (三菱第2代社長) と、
その息子・岩﨑小彌太 (第4代社長) の二人が蒐集した古典籍・美術コレクションに定評がありますが。
実は、同時代の芸術文化も支援しており、
明治時代の絵画や工芸品の隠れた名品も、多く所蔵しています。
今回の展覧会では、それら明治の名品を一挙蔵出し!
展示会場こそあまり広くはないですが、内容は濃いめの展覧会です。
展覧会の目玉は何と言っても、近代絵画で初めて、
重要文化財の指定を受けたといわれる橋本雅邦の 《龍虎図屏風》 。
重要文化財 橋本雅邦 《龍虎図屏風》(6曲1双) 明治28年(1895) 静嘉堂文庫美術館蔵 【全期間展示】
雷鳴が響き、波は荒れ狂う。
そして、向かい合う一組の龍と虎。
これ以上ないくらいに迫力満点の作品でしたが、
あまりに斬新な構図過ぎて、当時は、「腰抜けの虎」 などという酷評もあったのだとか。
いつの時代にも、いわゆる “荒らし” はいるのですね。
おそらく背後の虎のことを、腰抜け呼ばわりしているのでしょうが。
むしろ、こっちのほうが飛び掛かってきそうで怖いです。
炎上した (?) 作品といえば、こちらも。
黒田清輝 《裸体婦人像》 明治34年(1901) 静嘉堂文庫美術館蔵 【全期間展示】
明治を代表する洋画家・黒田清輝の 《裸体婦人像》 です。
炎上度合いは、橋本雅邦の 《龍虎図屏風》 の比ではありません!
いわゆる “裸体画論争” で社会問題にまで発展した一枚。
今でこそ芸術ということで、なんとなくい認められていますが。
まだ明治時代は、女性の下半身まで描かれているのは、
公序良俗的に、「ケシカラン!」 絵画だったのだそうです。
当然、《裸体婦人像》 を、このまま展示することは許されず、
大事なところを隠すべく、下半身を布で覆った状態で展示されることになったのだとか。
(う~ん。そっちのが、逆に、エロい気がしますが・・・)
ちなみに、当時、その布の下をどうしても見たくなり、
何とかステッキで布を持ち上げようとした男性もいたのだそうです。
いや、我慢しろよ (笑)。
さてさて、この作品は、ジョサイア・コンドルが設計した、
岩崎家高輪本邸 (現・関東閣) のビリヤードルームに飾られていたのだそう。
たまに、ビリヤード場に、
アメリカンなヌードポスターが飾ってありますが、あんな感じだったのかもしれません。
今回紹介されていた絵画作品の中で、
一番インパクトがあったのは、菊池容斎の 《呂后斬戚夫人図》 です。
菊池容斎 《呂后斬戚夫人図》 江戸時代 天保14年(1843) 静嘉堂文庫美術館蔵 【全期間展示】
描かれているのは、古代中国の故事。
画面中央で高みの見物を決めているのは、
『項羽と劉邦』 で有名な漢王朝の初代皇帝・劉邦の妻である呂后です。
その劉邦が逝去し、息子が二代皇帝として即位した際に、
まず呂后が行ったのは、劉邦の寵愛を受けていた側室・戚夫人への復讐でした。
戚夫人を投獄して奴隷にすると、戚夫人の手足を切り落とし、両目をえぐり、
耳と喉をつぶし、最終的には、便所へと放り込み 「人豚」 と称して見世物にしたのだそうです。
画面の左側には、それぞれのシーンが描かれていました。
中国版 “怖い絵”。
かつて、こんなにもドン引きする絵があったでしょうか。。。
ちなみに、明治の工芸品も、目玉作品だらけ。
かつて高輪本邸の貴賓室に飾られていたという絵画にしか見えない刺繍額や、
菅原直之助 《羽衣刺繍額》 明治40年(1907)頃 静嘉堂文庫美術館蔵 【全期間展示】
渡邉省亭が下絵を描き、濤川惣助が七宝を担当したコラボ作など、
濤川惣助 (渡邊省亭 下絵) 《七宝四季花卉図花瓶》 一対 明治時代(19~20世紀) 静嘉堂文庫美術館蔵 【全期間展示】
超絶技巧の工芸品が数多く展示されていました。
その中で、個人的に印象に残ったのは、
明治の彫金家・海野勝珉の 《天燈(燈台)鬼 ・鉄鉢鬼・龍燈鬼》 です。
元ネタは、言わずと知れた、興福寺に伝わる鎌倉時代の彫刻。
いかし、天燈鬼と龍燈鬼立像は観たことがありますが、
センターでしゃがんでいる鉄鉢鬼は目にした記憶がありません。
・・・・・と思ったら、海野勝珉によるオリジナルキャラクターとのこと。
鉄鉢の持ち方がソフトでした。
もっとグッと持って頂きたいものです。
1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!
それを記念して、現在、静嘉堂文庫美術館では、
“─ 明治150年記念 ─ 明治からの贈り物” という展覧会が開催されています。
静嘉堂文庫といえば、創始者である岩﨑彌之助 (三菱第2代社長) と、
その息子・岩﨑小彌太 (第4代社長) の二人が蒐集した古典籍・美術コレクションに定評がありますが。
実は、同時代の芸術文化も支援しており、
明治時代の絵画や工芸品の隠れた名品も、多く所蔵しています。
今回の展覧会では、それら明治の名品を一挙蔵出し!
展示会場こそあまり広くはないですが、内容は濃いめの展覧会です。
展覧会の目玉は何と言っても、近代絵画で初めて、
重要文化財の指定を受けたといわれる橋本雅邦の 《龍虎図屏風》 。
重要文化財 橋本雅邦 《龍虎図屏風》(6曲1双) 明治28年(1895) 静嘉堂文庫美術館蔵 【全期間展示】
雷鳴が響き、波は荒れ狂う。
そして、向かい合う一組の龍と虎。
これ以上ないくらいに迫力満点の作品でしたが、
あまりに斬新な構図過ぎて、当時は、「腰抜けの虎」 などという酷評もあったのだとか。
いつの時代にも、いわゆる “荒らし” はいるのですね。
おそらく背後の虎のことを、腰抜け呼ばわりしているのでしょうが。
むしろ、こっちのほうが飛び掛かってきそうで怖いです。
炎上した (?) 作品といえば、こちらも。
黒田清輝 《裸体婦人像》 明治34年(1901) 静嘉堂文庫美術館蔵 【全期間展示】
明治を代表する洋画家・黒田清輝の 《裸体婦人像》 です。
炎上度合いは、橋本雅邦の 《龍虎図屏風》 の比ではありません!
いわゆる “裸体画論争” で社会問題にまで発展した一枚。
今でこそ芸術ということで、なんとなくい認められていますが。
まだ明治時代は、女性の下半身まで描かれているのは、
公序良俗的に、「ケシカラン!」 絵画だったのだそうです。
当然、《裸体婦人像》 を、このまま展示することは許されず、
大事なところを隠すべく、下半身を布で覆った状態で展示されることになったのだとか。
(う~ん。そっちのが、逆に、エロい気がしますが・・・)
ちなみに、当時、その布の下をどうしても見たくなり、
何とかステッキで布を持ち上げようとした男性もいたのだそうです。
いや、我慢しろよ (笑)。
さてさて、この作品は、ジョサイア・コンドルが設計した、
岩崎家高輪本邸 (現・関東閣) のビリヤードルームに飾られていたのだそう。
たまに、ビリヤード場に、
アメリカンなヌードポスターが飾ってありますが、あんな感じだったのかもしれません。
今回紹介されていた絵画作品の中で、
一番インパクトがあったのは、菊池容斎の 《呂后斬戚夫人図》 です。
菊池容斎 《呂后斬戚夫人図》 江戸時代 天保14年(1843) 静嘉堂文庫美術館蔵 【全期間展示】
描かれているのは、古代中国の故事。
画面中央で高みの見物を決めているのは、
『項羽と劉邦』 で有名な漢王朝の初代皇帝・劉邦の妻である呂后です。
その劉邦が逝去し、息子が二代皇帝として即位した際に、
まず呂后が行ったのは、劉邦の寵愛を受けていた側室・戚夫人への復讐でした。
戚夫人を投獄して奴隷にすると、戚夫人の手足を切り落とし、両目をえぐり、
耳と喉をつぶし、最終的には、便所へと放り込み 「人豚」 と称して見世物にしたのだそうです。
画面の左側には、それぞれのシーンが描かれていました。
中国版 “怖い絵”。
かつて、こんなにもドン引きする絵があったでしょうか。。。
ちなみに、明治の工芸品も、目玉作品だらけ。
かつて高輪本邸の貴賓室に飾られていたという絵画にしか見えない刺繍額や、
菅原直之助 《羽衣刺繍額》 明治40年(1907)頃 静嘉堂文庫美術館蔵 【全期間展示】
渡邉省亭が下絵を描き、濤川惣助が七宝を担当したコラボ作など、
濤川惣助 (渡邊省亭 下絵) 《七宝四季花卉図花瓶》 一対 明治時代(19~20世紀) 静嘉堂文庫美術館蔵 【全期間展示】
超絶技巧の工芸品が数多く展示されていました。
その中で、個人的に印象に残ったのは、
明治の彫金家・海野勝珉の 《天燈(燈台)鬼 ・鉄鉢鬼・龍燈鬼》 です。
元ネタは、言わずと知れた、興福寺に伝わる鎌倉時代の彫刻。
いかし、天燈鬼と龍燈鬼立像は観たことがありますが、
センターでしゃがんでいる鉄鉢鬼は目にした記憶がありません。
・・・・・と思ったら、海野勝珉によるオリジナルキャラクターとのこと。
鉄鉢の持ち方がソフトでした。
もっとグッと持って頂きたいものです。
1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!