2018年1月号の 『美術手帖』 で、初めて特集が組まれ、
現代アートの新たなジャンルとして、注目を集めているバイオアート。
生命科学やバイオテクノロジーを取り入れたアートです。
そんなバイオアートの旗手として活躍する国内外のアーティストの作品を紹介する展覧会、
その名も、“2018年のフランケンシュタイン―バイオアートにみる芸術と科学と社会のいま―” が、
現在、表参道のギャラリー・EYE OF GYREで開催されています。
会期は10月14日まで。
入場無料の展覧会です。
会場に入って、まず目に飛び込んできたのは、
手術台らしき台に横たわる一匹の馬、いや、ユニコーン。
平野真美さんの 《蘇生するユニコーン》 という作品です。
これまでに、ユニコーンを描いた絵やユニコーンをモチーフにした彫刻を、
幾度となく目にしていますが、巧いと思うことはあれ、リアリティを感じたことはありませんでした。
しかし、浅い呼吸を繰り返し、手術に耐えるユニコーンの姿を眺めていたら、
実際に、こういう生き物がいるような気がしてきました。
しかも、人間のせいで、こんな姿になってしまったかのような。
そんな悲しみのようなものも感じました。
「この悲しみどうすりゃいいの 誰が僕を救ってくれるの」 と訴えかけてくるようでした。
ユニコーンだけに。
その隣に展示されていたのが、
ファッションの街、表参道らしく、ファッションをテーマにした作品です。
「アースカラーの秋らしいジャケットですなァ」 と、
最初は何もわからず、のんきに眺めていたのですが、解説を読んで衝撃が走りました。
こちらは、ロンドン在住のデザイナー、ティナ・ゴヤンクによって発表された作品。
彼女は、現在、2010年に41歳という若さでこの世を去ったイギリスの天才デザイナー、
アレキサンダー・マックイーンの皮膚を幹細胞技術で再生し、ファッションの素材にするという、
とんでもないプロジェクトを遂行中とのこと。
展示されていたのは、幸いにも (?)、豚の革で再現した試作品でしたが、
マックイーンの体型やホクロ、そばかすまでもが精巧に再現されていました。
実際にマックイーンのDNAを採取し、皮膚を作ることも視野に入れているそう。
人の皮膚で出来た服を、人が着る。
そんな未来も、そう遠い話ではないのかもしれません。
また、天才のDNAから体の一部を再現するといえば、こんな作品も。
ドイツのアーティスト、ディムット・ストレーブによる作品です。
写真の右で被写体を務めているのが、ディムット本人。
とある画家の有名な作品に扮しています。
そして、左の写真をよく見ると、液体の中に人間の左耳らしきものがあるのがわかります。
実は、写真に写っている左耳らしき物体は、ゴッホの親族のDNAから、
ゴッホのDNAを再構成し、それをもとにDNAを合成して再生したものとのこと。
現代のバイオテクノロジーを使えば、そんなことも可能になるのですね。
誰よりも、ゴッホが一番ビックリしていることでしょう。
さらに、衝撃的だったDNAにまつわる作品が、こちら↓
アメリカのヘザー・デューイ=ハグボーグによる 《Stranger Visions》 という作品です。
壁に展示された不気味な顔。
その正体は・・・
なんと、路上で拾った煙草の吸い殻から採取したDNAをもとに、持ち主の顔を復元したもの。
タバコのポイ捨てをすると、最新の技術で、
こうして顔を突き止められ、しかも、晒されてしまうことも可能性あるのですね。
他にも、路上に吐き捨てられたガムの唾液から再現された顔もありました。
‟おぉ、怖い怖い。”
と、煙草は吸わないし、ガムもごみ箱に捨てるし、と他人事のように思っていたら、
髪の毛から採取したDNAをもとに再現したものもありました。
それに関しては、防ぎようがありません。
マジで怖い。。。
ちなみに、作品のすぐ下の床に・・・
どなたかの髪の毛が落ちていました。
ヘザー・デューイ=ハグボーグによって、顔を作られてしまうかもしれないですよ。
今回の展覧会だけを観て、バイオアート全体を論じるのは不可能なのでしょうが。
少なくとも今回紹介されていたバイオアートの作品は、
「美しい!」 よりも 「スゴイ!」 よりも、「怖い。。。」 という印象が勝っていました。
人間が踏み込んではいけない領域に、足を踏み入れてしまっているような。
そんな不気味さがありました。
おそらく、技術の進歩に対して、それを受け止める感情がまだ追いついていないのでしょう。
バイオアートを心の底から面白いと思える日が来るのか。それとも、来ないのか。
その顛末を見届けるためにも、ますますバイオアートから目が離せません。
ちなみに。
怖いだけでなく、ちょっとほっこりする癒し系の (?) 作品もありました。
水槽を覗いてみると、そこにはヤドカリの姿。
よく見ると、背中に背負っている貝が、普通の貝ではありません。
その正体は、3Dプリンタで作られた人工の殻。
上部にはパリの街並みを模した形が彫刻されています。
水槽内には、他にも東京やニューヨークver.の殻も。
こちらは、AKI INOMATAによる 《やどかりに 「やど」 をわたしてみる》 という作品。
会期中、ヤドカリはパリから東京へ、
さらには、ニューヨークへと引っ越すかもしれません。
1位を目指して、ランキングに挑戦中。
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現代アートの新たなジャンルとして、注目を集めているバイオアート。
生命科学やバイオテクノロジーを取り入れたアートです。
そんなバイオアートの旗手として活躍する国内外のアーティストの作品を紹介する展覧会、
その名も、“2018年のフランケンシュタイン―バイオアートにみる芸術と科学と社会のいま―” が、
現在、表参道のギャラリー・EYE OF GYREで開催されています。
会期は10月14日まで。
入場無料の展覧会です。
会場に入って、まず目に飛び込んできたのは、
手術台らしき台に横たわる一匹の馬、いや、ユニコーン。
平野真美さんの 《蘇生するユニコーン》 という作品です。
これまでに、ユニコーンを描いた絵やユニコーンをモチーフにした彫刻を、
幾度となく目にしていますが、巧いと思うことはあれ、リアリティを感じたことはありませんでした。
しかし、浅い呼吸を繰り返し、手術に耐えるユニコーンの姿を眺めていたら、
実際に、こういう生き物がいるような気がしてきました。
しかも、人間のせいで、こんな姿になってしまったかのような。
そんな悲しみのようなものも感じました。
「この悲しみどうすりゃいいの 誰が僕を救ってくれるの」 と訴えかけてくるようでした。
ユニコーンだけに。
その隣に展示されていたのが、
ファッションの街、表参道らしく、ファッションをテーマにした作品です。
「アースカラーの秋らしいジャケットですなァ」 と、
最初は何もわからず、のんきに眺めていたのですが、解説を読んで衝撃が走りました。
こちらは、ロンドン在住のデザイナー、ティナ・ゴヤンクによって発表された作品。
彼女は、現在、2010年に41歳という若さでこの世を去ったイギリスの天才デザイナー、
アレキサンダー・マックイーンの皮膚を幹細胞技術で再生し、ファッションの素材にするという、
とんでもないプロジェクトを遂行中とのこと。
展示されていたのは、幸いにも (?)、豚の革で再現した試作品でしたが、
マックイーンの体型やホクロ、そばかすまでもが精巧に再現されていました。
実際にマックイーンのDNAを採取し、皮膚を作ることも視野に入れているそう。
人の皮膚で出来た服を、人が着る。
そんな未来も、そう遠い話ではないのかもしれません。
また、天才のDNAから体の一部を再現するといえば、こんな作品も。
ドイツのアーティスト、ディムット・ストレーブによる作品です。
写真の右で被写体を務めているのが、ディムット本人。
とある画家の有名な作品に扮しています。
そして、左の写真をよく見ると、液体の中に人間の左耳らしきものがあるのがわかります。
実は、写真に写っている左耳らしき物体は、ゴッホの親族のDNAから、
ゴッホのDNAを再構成し、それをもとにDNAを合成して再生したものとのこと。
現代のバイオテクノロジーを使えば、そんなことも可能になるのですね。
誰よりも、ゴッホが一番ビックリしていることでしょう。
さらに、衝撃的だったDNAにまつわる作品が、こちら↓
アメリカのヘザー・デューイ=ハグボーグによる 《Stranger Visions》 という作品です。
壁に展示された不気味な顔。
その正体は・・・
なんと、路上で拾った煙草の吸い殻から採取したDNAをもとに、持ち主の顔を復元したもの。
タバコのポイ捨てをすると、最新の技術で、
こうして顔を突き止められ、しかも、晒されてしまうことも可能性あるのですね。
他にも、路上に吐き捨てられたガムの唾液から再現された顔もありました。
‟おぉ、怖い怖い。”
と、煙草は吸わないし、ガムもごみ箱に捨てるし、と他人事のように思っていたら、
髪の毛から採取したDNAをもとに再現したものもありました。
それに関しては、防ぎようがありません。
マジで怖い。。。
ちなみに、作品のすぐ下の床に・・・
どなたかの髪の毛が落ちていました。
ヘザー・デューイ=ハグボーグによって、顔を作られてしまうかもしれないですよ。
今回の展覧会だけを観て、バイオアート全体を論じるのは不可能なのでしょうが。
少なくとも今回紹介されていたバイオアートの作品は、
「美しい!」 よりも 「スゴイ!」 よりも、「怖い。。。」 という印象が勝っていました。
人間が踏み込んではいけない領域に、足を踏み入れてしまっているような。
そんな不気味さがありました。
おそらく、技術の進歩に対して、それを受け止める感情がまだ追いついていないのでしょう。
バイオアートを心の底から面白いと思える日が来るのか。それとも、来ないのか。
その顛末を見届けるためにも、ますますバイオアートから目が離せません。
ちなみに。
怖いだけでなく、ちょっとほっこりする癒し系の (?) 作品もありました。
水槽を覗いてみると、そこにはヤドカリの姿。
よく見ると、背中に背負っている貝が、普通の貝ではありません。
その正体は、3Dプリンタで作られた人工の殻。
上部にはパリの街並みを模した形が彫刻されています。
水槽内には、他にも東京やニューヨークver.の殻も。
こちらは、AKI INOMATAによる 《やどかりに 「やど」 をわたしてみる》 という作品。
会期中、ヤドカリはパリから東京へ、
さらには、ニューヨークへと引っ越すかもしれません。
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