芸術の本場ヨーロッパを含む世界60か国で高い評価を収め、
なおかつ、興行的にも大成功を収めている映画館上映企画シリーズ 『アート・オン・スクリーン』。
その第三弾となる 『フィセント・ファン・ゴッホ:新たなる視点』 が、10月6日より公開されます。
それに先がけて、一足先に鑑賞させて頂きました。
■フィセント・ファン・ゴッホ:新たなる視点
監督:デビッド・ビッカースタッフ
2015年/イギリス/90分
美術史を変えた芸術家たちの人生にスポットをあて、
ヨーロッパで話題を集めたドキュメンタリー 「アート・オン・スクリーン」 シリーズの1作で、
フィンセント・ファン・ゴッホを題材に描いた。
人々のイマジネーションを刺激し続けてきた、
ゴッホの波乱に満ちた生涯を深く掘り下げ、彼の人生を追体験。
さらに、ゴッホ美術館のキュレーターの独占インタビューも交えながら、
これまでにない新たな視点でゴッホの世界を紹介していく。
(「映画.com」より)
「日本公開第1弾の 『ミケランジェロ:愛と死』 は、『日曜美術館』 のようなテイスト。
第2弾となる 『私は、クロード・モネ』 は、『ザ・ノンフィクション』 のようなテイスト。
で、今回のは、ゴッホの時系列に沿って、その生涯が紹介され、
途中で、学芸員さんによる解説やゴッホ役の役者さんの演技が挟まれ、
まさに、『美の巨人たち』 のようなテイストでした。
途中、小林薫のナレーションが聞こえた気がしましたが、きっと気のせいでしょう。
前2作と比べると、芸術家の人生を紹介するプログラムとしては、かなりオーソドックスな作り。
調べてみると、全2作が2017年製作だったのに対し、
今回のゴッホの映画は、2015年に制作されたものでした。
『アート・オン・スクリーン』 の初期の作品だったのですね。
それだけに、全体を通して、丁寧に丹念に作られている印象を受けました。
(↑前2作が適当に作られているという意味ではありません。前2作は野心的に作られている印象)
この1本を観るだけで、ゴッホの生涯や画家としてのゴッホの魅力、革新性が理解できます。
これからもゴッホの展覧会はコンスタントに、
日本で開催されるでしょうから、観ておいて絶対に損はない映画です。
ただ、一つ難を言うなら、2015年に制作された映画なので、
副題にある ‟新たなる視点” が、そこまで 「新たな」 視点ではなかったこと。
ゴッホについての新発見は、毎年のように発表されているので、
ゴッホの情報を追いかけている人からすると、ちょっぴり古い情報に感じるかもしれません。
とはいえ、冷静に考えれば、毎年のように新発見が発表されているということは、
それだけ研究する人が多いということ&ゴッホに興味を持っている人が多いということ。
改めて、ゴッホ人気のスゴさを感じます。
それと、もう一つだけ難を言うならば (←まだあるのかよ!)。
ゴッホ美術館が全面協力した映画であるため、
基本的には、ゴッホ美術館が所蔵する絵画、ゴッホ美術館の関係者しか登場しませんでした。
全編を通して、まるでゴッホ美術館の告知映像のよう。
(観終わった後は、まんまとゴッホ美術館に行きたくなりましたw)
ゴッホ美術館の学芸員が分担して、ゴッホの生涯を解説するのですが。
映画の中盤で、女性の学芸員さんが、ゴッホの最後の恋人について言及、
そして、「その後は、売春宿で性欲を満たしていた」 と真顔で解説していました。
いやいや、それは男性の学芸員が担当しろよ!
亡くなった後に、性欲事情を暴露される。しかも、女性に。
想像するだに、地獄です。
今頃、ゴッホは草葉の陰で泣いていることでしょう。
あと、難ではないのですが。
何度かインタビューで登場するラックラン・グーディーとなる画家が、
森田順平と峰竜太と大泉洋を足して、3で割ったような顔をしていました。
そのことばかりに気が取られて、肝心の話の内容があまり入ってきませんでした (笑)
今回の映画を通じて、個人的に強く感じたのは、テオの存在の大きさ。
ゴッホからテオへの手紙をベースに映画は進んでいきます。
もし、この手紙がなかったら、
ゴッホの芸術に対する思いや考え方は、現代に伝わっていなかったわけです。
手紙を書きたくなる相手がいたというのは、
ゴッホの芸術家人生にとっては幸せなことだったのでしょう。
もし、遠い未来に、僕のことを研究しようとする奇特な人が現れたとします。
しかし、僕と弟とのメールのやり取りなんて頻度も少ないし、
残念ながら、どうでもいいやり取りしかないので、そもそも何の役にも立ちません。
あぁ、僕にも芸術論を交わせる弟がいたなら・・・。
生前は絵がほとんど売れることなく、この世を去ったゴッホ。
彼は今、悲運の画家として、カリスマ的な人気を誇るわけですが。
生涯に渡って兄を支え、その死後に、ゴッホの地位向上に奮闘するも、
兄の死から半年後、志半ばにして、33歳という若さで後を追うように亡くなったテオ。
悲劇度では、むしろ、彼のほうが上回っている気がしました。
今回の映画の真の主役は、テオといっても過言ではありません。
と、いろいろ好き勝手なことを言っていますが、今日はこのあたりで。
続きは、上映前トークショーで語り尽くします。
『ミケランジェロ:愛と死』 に引き続き、2度目の抜擢。
しかも、10月6日公開初日のオープニング回 (10時10分~) の上映前トークショーです。
詳細は、近日、東劇のHPで公開される予定です。
もし、いつまで立っても詳細が公開されなかったら、
それはたぶん、この記事でいろいろ好き勝手を言ってしまったせい。
(星3.5つ)」
~映画に登場する名作~
《ひまわり》
なおかつ、興行的にも大成功を収めている映画館上映企画シリーズ 『アート・オン・スクリーン』。
その第三弾となる 『フィセント・ファン・ゴッホ:新たなる視点』 が、10月6日より公開されます。
それに先がけて、一足先に鑑賞させて頂きました。
■フィセント・ファン・ゴッホ:新たなる視点
監督:デビッド・ビッカースタッフ
2015年/イギリス/90分
美術史を変えた芸術家たちの人生にスポットをあて、
ヨーロッパで話題を集めたドキュメンタリー 「アート・オン・スクリーン」 シリーズの1作で、
フィンセント・ファン・ゴッホを題材に描いた。
人々のイマジネーションを刺激し続けてきた、
ゴッホの波乱に満ちた生涯を深く掘り下げ、彼の人生を追体験。
さらに、ゴッホ美術館のキュレーターの独占インタビューも交えながら、
これまでにない新たな視点でゴッホの世界を紹介していく。
(「映画.com」より)
「日本公開第1弾の 『ミケランジェロ:愛と死』 は、『日曜美術館』 のようなテイスト。
第2弾となる 『私は、クロード・モネ』 は、『ザ・ノンフィクション』 のようなテイスト。
で、今回のは、ゴッホの時系列に沿って、その生涯が紹介され、
途中で、学芸員さんによる解説やゴッホ役の役者さんの演技が挟まれ、
まさに、『美の巨人たち』 のようなテイストでした。
途中、小林薫のナレーションが聞こえた気がしましたが、きっと気のせいでしょう。
前2作と比べると、芸術家の人生を紹介するプログラムとしては、かなりオーソドックスな作り。
調べてみると、全2作が2017年製作だったのに対し、
今回のゴッホの映画は、2015年に制作されたものでした。
『アート・オン・スクリーン』 の初期の作品だったのですね。
それだけに、全体を通して、丁寧に丹念に作られている印象を受けました。
(↑前2作が適当に作られているという意味ではありません。前2作は野心的に作られている印象)
この1本を観るだけで、ゴッホの生涯や画家としてのゴッホの魅力、革新性が理解できます。
これからもゴッホの展覧会はコンスタントに、
日本で開催されるでしょうから、観ておいて絶対に損はない映画です。
ただ、一つ難を言うなら、2015年に制作された映画なので、
副題にある ‟新たなる視点” が、そこまで 「新たな」 視点ではなかったこと。
ゴッホについての新発見は、毎年のように発表されているので、
ゴッホの情報を追いかけている人からすると、ちょっぴり古い情報に感じるかもしれません。
とはいえ、冷静に考えれば、毎年のように新発見が発表されているということは、
それだけ研究する人が多いということ&ゴッホに興味を持っている人が多いということ。
改めて、ゴッホ人気のスゴさを感じます。
それと、もう一つだけ難を言うならば (←まだあるのかよ!)。
ゴッホ美術館が全面協力した映画であるため、
基本的には、ゴッホ美術館が所蔵する絵画、ゴッホ美術館の関係者しか登場しませんでした。
全編を通して、まるでゴッホ美術館の告知映像のよう。
(観終わった後は、まんまとゴッホ美術館に行きたくなりましたw)
ゴッホ美術館の学芸員が分担して、ゴッホの生涯を解説するのですが。
映画の中盤で、女性の学芸員さんが、ゴッホの最後の恋人について言及、
そして、「その後は、売春宿で性欲を満たしていた」 と真顔で解説していました。
いやいや、それは男性の学芸員が担当しろよ!
亡くなった後に、性欲事情を暴露される。しかも、女性に。
想像するだに、地獄です。
今頃、ゴッホは草葉の陰で泣いていることでしょう。
あと、難ではないのですが。
何度かインタビューで登場するラックラン・グーディーとなる画家が、
森田順平と峰竜太と大泉洋を足して、3で割ったような顔をしていました。
そのことばかりに気が取られて、肝心の話の内容があまり入ってきませんでした (笑)
今回の映画を通じて、個人的に強く感じたのは、テオの存在の大きさ。
ゴッホからテオへの手紙をベースに映画は進んでいきます。
もし、この手紙がなかったら、
ゴッホの芸術に対する思いや考え方は、現代に伝わっていなかったわけです。
手紙を書きたくなる相手がいたというのは、
ゴッホの芸術家人生にとっては幸せなことだったのでしょう。
もし、遠い未来に、僕のことを研究しようとする奇特な人が現れたとします。
しかし、僕と弟とのメールのやり取りなんて頻度も少ないし、
残念ながら、どうでもいいやり取りしかないので、そもそも何の役にも立ちません。
あぁ、僕にも芸術論を交わせる弟がいたなら・・・。
生前は絵がほとんど売れることなく、この世を去ったゴッホ。
彼は今、悲運の画家として、カリスマ的な人気を誇るわけですが。
生涯に渡って兄を支え、その死後に、ゴッホの地位向上に奮闘するも、
兄の死から半年後、志半ばにして、33歳という若さで後を追うように亡くなったテオ。
悲劇度では、むしろ、彼のほうが上回っている気がしました。
今回の映画の真の主役は、テオといっても過言ではありません。
と、いろいろ好き勝手なことを言っていますが、今日はこのあたりで。
続きは、上映前トークショーで語り尽くします。
『ミケランジェロ:愛と死』 に引き続き、2度目の抜擢。
しかも、10月6日公開初日のオープニング回 (10時10分~) の上映前トークショーです。
詳細は、近日、東劇のHPで公開される予定です。
もし、いつまで立っても詳細が公開されなかったら、
それはたぶん、この記事でいろいろ好き勝手を言ってしまったせい。
(星3.5つ)」
~映画に登場する名作~
《ひまわり》