2013年にヴェネツィア・ビエンナーレに香港代表として参加した際に、
「ビエンナーレ必見アーティストベスト5」 に選ばれ、世界が注目する作家リー・キット。
その待望の日本の美術館では初となる個展が、現在、原美術館で開催されています。
その名も、“リー・キット「僕らはもっと繊細だった。」” 。
何とも意味深、何とも思わせぶりな展覧会タイトルです。
まず、最初の展示室に入ると、
そこにあったのは、壁にポツンと掛けられたキャンバス。
何が描かれているのでしょうか?
近づこうとしたところ、いきなり真っ暗に。
どうやら背後から照らされたプロジェクターの光を、僕が遮ってしまったようです。
他の鑑賞者の迷惑になるので、慌ててその場を離れることに。
鑑賞する場所にも、気を遣う。
実に繊細な作品でした。
ちなみに、このプロジェクターの光もまた作品の一部。
それも、リーによれば、プロジェクターの光で描いた絵画作品なのだそうです。
パッと見ただけでは、「ふ~ん。」 という感じでしたが、
じーっと眺めていると、その光の形や表情に意味があるように感じられてきました。
なるほど。確かに、光で描いた絵画作品、光で描いた抽象画作品です。
このようにプロジェクターを用いた作品が、会場のあちこちに設置されています。
最初の展示室の作品のように光を投影しているものもあれば、映像作品を投影しているものも。
今回の展覧会で一番印象に残っているのが、こちらの展示室。
壁に投影されていたのは、どこかの窓を映した映像です。
「あれ?どこかで見覚えがあるような・・・」
その答えは、すぐ近くにありました。
同じ展示室内にある窓を撮影した映像のようです。
その映像内に登場するマグカップは、ちゃんと窓際に置かれています。
さらに、こちらの展示室にはもう一つの映像が。
この映像に映っているキャンバス作品は、実は1階の展示室に展示されていたもの。
つまり、この展示室内には、異なる時間と異なる空間が同居しているわけです。
そこに、その映像を観ている自分が加わると、さらに時間軸と空間は複雑なものに。
今は、いつ?ここは、どこ?
そう考えれば考えるほどに、
確かなはずの自分という存在が薄れていくような、不思議な感覚に陥りました。
「キレイ!」 とか、「スゴイ!」 とか、「面白い!」 とか。
リーの作品には、わかりやすい感動はありません。
ただ、一言では言い表せないのですが、
何かがムズムズモヤモヤジワジワ心に沁み込んできたことは確かです。
観ているその時よりも、観終わった後に、
「あぁ、なんかイイ作品だなぁ」 と思える美術作品でした。
(それが数時間後なのか、数日後なのか、はたまた数年後なのかわかりませんが)
そういう遅延型の感動体験を僕に教えてくれたのは、
僕の親父でもなく、そして、お袋でもなく、そう、リーでした。
ちなみに、僕が訪れたのは夜だったので、光や映像がくっきりと感じられましたが。
日中の陽の光の中で観たなら、おそらく木漏れ日のような印象を受けたことでしょう。
もっと繊細だった、はずです。
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「ビエンナーレ必見アーティストベスト5」 に選ばれ、世界が注目する作家リー・キット。
その待望の日本の美術館では初となる個展が、現在、原美術館で開催されています。
その名も、“リー・キット「僕らはもっと繊細だった。」” 。
何とも意味深、何とも思わせぶりな展覧会タイトルです。
まず、最初の展示室に入ると、
そこにあったのは、壁にポツンと掛けられたキャンバス。
何が描かれているのでしょうか?
近づこうとしたところ、いきなり真っ暗に。
どうやら背後から照らされたプロジェクターの光を、僕が遮ってしまったようです。
他の鑑賞者の迷惑になるので、慌ててその場を離れることに。
鑑賞する場所にも、気を遣う。
実に繊細な作品でした。
ちなみに、このプロジェクターの光もまた作品の一部。
それも、リーによれば、プロジェクターの光で描いた絵画作品なのだそうです。
パッと見ただけでは、「ふ~ん。」 という感じでしたが、
じーっと眺めていると、その光の形や表情に意味があるように感じられてきました。
なるほど。確かに、光で描いた絵画作品、光で描いた抽象画作品です。
このようにプロジェクターを用いた作品が、会場のあちこちに設置されています。
最初の展示室の作品のように光を投影しているものもあれば、映像作品を投影しているものも。
今回の展覧会で一番印象に残っているのが、こちらの展示室。
壁に投影されていたのは、どこかの窓を映した映像です。
「あれ?どこかで見覚えがあるような・・・」
その答えは、すぐ近くにありました。
同じ展示室内にある窓を撮影した映像のようです。
その映像内に登場するマグカップは、ちゃんと窓際に置かれています。
さらに、こちらの展示室にはもう一つの映像が。
この映像に映っているキャンバス作品は、実は1階の展示室に展示されていたもの。
つまり、この展示室内には、異なる時間と異なる空間が同居しているわけです。
そこに、その映像を観ている自分が加わると、さらに時間軸と空間は複雑なものに。
今は、いつ?ここは、どこ?
そう考えれば考えるほどに、
確かなはずの自分という存在が薄れていくような、不思議な感覚に陥りました。
「キレイ!」 とか、「スゴイ!」 とか、「面白い!」 とか。
リーの作品には、わかりやすい感動はありません。
ただ、一言では言い表せないのですが、
何かがムズムズモヤモヤジワジワ心に沁み込んできたことは確かです。
観ているその時よりも、観終わった後に、
「あぁ、なんかイイ作品だなぁ」 と思える美術作品でした。
(それが数時間後なのか、数日後なのか、はたまた数年後なのかわかりませんが)
そういう遅延型の感動体験を僕に教えてくれたのは、
僕の親父でもなく、そして、お袋でもなく、そう、リーでした。
ちなみに、僕が訪れたのは夜だったので、光や映像がくっきりと感じられましたが。
日中の陽の光の中で観たなら、おそらく木漏れ日のような印象を受けたことでしょう。
もっと繊細だった、はずです。
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