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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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本日のお客様:藤田嗣治

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大都会の片隅に、
芸術家や絵画のモデルが訪れる占いの館があるという―





おや、今宵も占い師の高天麗舟さんのもとへ、誰かお客様がやってきたようです。



<プロフィール>
高天麗舟 (たかま れいしゅう)
書家・占い師。群馬県高崎市生まれ。書家・野尻泰煌先生に師事。
書を通じて漢籍・思想・哲学・芸術全般に親しみ、
本来の人間表現に到達することを目的として手相・四柱推命・易・生命学 (姓名判断) などの研鑚を積む。
手相:西谷泰人先生に師事/四柱推命:浅野太志先生に師事/易:天道春樹先生に師事
現在、埼玉大学・教育学部にて障害児育児をテーマとした講話や、
「手相×アート」トークショー、仏像手相鑑定ツアーなどを含む多分野での活動を展開。
書作品寄贈:ハンガリー・ケチケメート市、ハンガリー・ケチケメート市ラダイ博物館

HP:https://www.reishu-takama.com/


藤田「あのー。すいません。占ってもらいたいんですけど」

高天「いらっしゃいませ。どうぞ、そこにおかけになってください」

藤田「あっ、はい」

高天「お名前は?」

藤田「藤田嗣治って言います」

高天「藤田さんは、何を占って欲しいんですか?」

藤田「実は、僕は画家なんですけど。
   ぶっちゃけ、画家としてこれからもやっていけますかね?」

高天「なるほど。では、両手を開いて、見せてくださいね」

藤田「こうですか?」




高天「藤田さんの感情線は、左右ともに中指に向かって急カーブしています。




  これはかなりの情熱家で、一生をかけて、
  注いでいける何かがなければ、逆に危険なほどの勢いです。
  画家には、持って来いの相ですので、
  今後も有り余る情熱を絵画にぶつけていくと良いでしょう。




  また、手を開いたときに自然と親指が反る方は、自我やアピール力が強い傾向があります。
  しきたりを重んじる場では、窮屈さを感じやすいので、
  集団に属した活動ではなく、個人での活動の方が本来の良さを発揮できます。
  さらに、海外との縁もあるので、
  拠点を海外に移すことも視野に入れ活動していくと良いでしょう」

藤田「へー、海外ですか!行ってみたいと思ってたんですよね(注1)

(注1) 藤田嗣治は27歳で渡仏。54歳の時に第二次世界大戦の戦火を免れて帰国するも、63歳で渡米。
    翌年にフランスに渡る。人生の大半を海外で過ごした。


   ちなみに、昨年、婚約したんですけど、僕の結婚生活って、どんな感じなんですか?」

高天「親指の付け根付近に、格子状の細かな線が見えます。




  これは、異性に対して細やかで優しいタイプであることを表しています。
  また、左手にある二本の感情線は、
  気に掛ける人や物事が複数あっても負荷を感じないタフさを表しています。
  それから、急カーブを描く感情線は、
  情熱的であると同時に、一時の感情を抑えづらい側面も意味しています」

藤田「ということは?」

高天「藤田さんは、女性関係がどうしても派手になりがちで、なかなか落ち着きづらい面があります。
  結婚のチャンスにはたくさん恵まれますが(注2)
  落ち着いた夫婦関係を望むのであれば、少し待った方が良いかもしれません。

(注2) 藤田嗣治は生涯で5度の結婚をした。たくさんにもほどがある。
  
  それと、藤田さんは、生まれながらに身内 (実家やパートナー) からの援助を得やすいタイプ。
  お付き合いする女性は、きっと藤田さんに大いに協力してくれることでしょう」

藤田「女性関係が派手なのバレちゃいましたか。手相に出てるんですね (笑)
   でも、人生順風満帆な感じですね!逆に、これは注意しておいたほうがイイってことはあります?」

高天「ズバリ、酒と女です。
  格子状の細い線、二重の感情線、急カーブの感情線から、
  総合するに、藤田さんは、良くも悪くも情熱的な人であるため、
  パーティーでは調子に乗ってハメをはずすまでやらないと気が済まないようなところがあります」

藤田「あー、それ自覚あります(苦笑)(注3)

(注3) モンパルナスでは、「フーフー(FouFou)」 と呼ばれていた。これはフランス語で、「お調子者」 という意味。
    全身に入れ墨を描き、フンドシ一丁の姿で、パーティーに現れたことも。
    その際、背中に背負った籠には、全裸になった2番目の妻が入っていたらしい。


高天「また多くの女性関係から生じるトラブルには注意が必要でしょう。
  お酒も女性も、創作の原動力となるバランスで関わっていけるといいですね。(注4)

(注4) パーティーでは奇行が目立つも、酒は一滴も飲まず、常に素面だったそう。
    高天先生の言いつけを守ったのかもしれない。


  組織や風潮に迎合せず、
  際立った個性そのままに生きていくことが、藤田さんにとって、最短で最良の歩みとなります。
  興味のないものや人には極力関わらず、
  自分のやりたいことに集中できる環境を整えていくと、今後スムーズに進んでいくでしょう」

藤田「ありがとうございます!なんだか自信が出てきました!
  人生で迷った時は、先生のアドバイスを信じてみようと思います (注5)

(注5) 戦争画を描いたことから、戦後、美術界の一部から責任を問う声が上がる。
    彼らと関わりたくなかった藤田は再び渡仏、以後、日本に戻ってくることはなかった。
    なお、自らの画業の集大成として、ランスに礼拝堂を建てたいと願った藤田嗣治。
    晩年に、設計から庭石の配置、ステンドグラス、彫刻にいたるまで自ら手掛けた平和の聖母礼拝堂を建てた。


  ところで、先生、この後、お時間あります?よかったら、お茶でも」

高天「・・・・・藤田さん。女には、注意ですよ!」




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