この秋、国立西洋美術館で開催されているのは、”ルーベンス展―バロックの誕生” という美術展。
「王の画家にして画家の王」 と称されたバロック時代の巨匠、
ぺーテル・パウル・ルーベンス (1577~1640) の大々的な回顧展です。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)
ルーベンスといえば、日本人にとっては、
アニメ 『フランダースの犬』 でお馴染みの画家。
主人公ネロが最終回で放った、
「パトラッシュ、ぼくは見たんだよ。いちばん見たかった、ルーベンスの2枚の絵を。」
という台詞に涙を流した方は少なくないでしょう。
残念ながら、今回の展覧会には、
さすがにアントワープ聖母大聖堂から、ネロが最期に観た絵は貸し出されていませんが。
プラド美術館やウフィツィ美術館、エルミタージュ美術館など、
世界の名だたる美術館から、ルーベンスの傑作の数々が来日しています。
間違いなく、日本における過去最大規模のルーベンス展です。
また、新たな試みとして、
ルーベンスとイタリア美術の関係性にスポットを当てているのが、今展のポイント。
いかにルーベンスがイタリア美術に影響を受けていたか。
また、いかにルーベンスがイタリア美術に影響を与えたのか。
関わりの深いイタリア美術と併せて紹介されています。
イタリア美術ファンも抑えておきたい美術展です。
ちなみに、現在、同じ上野の地で “フェルメール展” が開催されているわけですが。
ルーベンスとフェルメールは、作風が実に対照的。
一人で黙々と絵画制作に向き合っていたフェルメールに対し、
ルーベンスは大規模な工房を経営し、大量の作品を、それも大型の作品を制作しました。
フェルメールの作品がミニシアター系の沁みる映画ならば、
ルーベンスの作品は製作費に糸目をつけないハリウッド映画のよう。
ド迫力の作品世界を、大画面で堪能することができます。
鑑賞するというよりも、もはや体感する絵画作品。
実際に会場を訪れねば、この感動体験は味わえません。
さてさて、今回出展されていた作品の中で、
特に印象的だったのは、やはり 《クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像》 でしょうか。
ペーテル・パウル・ルーベンス 《クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像》 1615-16年 油彩/板で裏打ちしたカンヴァス
ファドゥーツ/ウィーン、リヒテンシュタイン侯爵家コレクション ©LIECHTENSTEIN. The Princely Collections, Vaduz-Vie
全体的に大型作品が多い今展の中では、わりと小さめな作品です。
それもそのはず、こちらはルーベンスがプライベートで制作した一枚。
愛娘であるクララを描いた作品です。
とても利発そうで、かなり大人っぽい印象を受けますが、
この絵が描かれたとき、なんとクララは5歳だったのだとか。
5歳には見えません。
チコちゃんくらいに大人びています。
娘がよく見えるのは仕方がないことなのでしょうが、いくらなんでも・・・。
親バカフィルターがかかっています。
続いて印象的だったのが、画面左の 《カスパー・ショッペの肖像》 という一枚。
これまで数多くの男性肖像画を目にしてきましたが。
こんなにも無造作ヘアの男性は初めてです。
テカっていないところを見るに、おそらくマット系ワックスで仕上げています。
・・・・・って、この時代にマット系ワックスあったの??
アクションシーンも得意としていたルーベンス。
それと関連して、同時代の画家によるアクションシーンの絵画も紹介されていました。
その中で画題がカブっていたのが、ジョアンニ・ランフランコ (右) と、
ジャン・ロレンツィオ・ベルニーニ (左) による 《獅子を引き裂くサムソン》。
獅子と素手で戦うの、まだギリ理解できますが。
「引き裂く」 というのが衝撃的です。
そんなタウンページみたいに、
メリメリっと上手く引き裂けるものなのでしょうか。
ベルニーニのほうはまだしも、ランフランコのほうのサムソンは、
あきらかに腰に力が入っていないので、獅子を引き裂ける気がしません。
ちなみに、元ネタ (?) である聖書には、
「彼はまるで子やぎを引き裂くように、それを引き裂いた」
という一文が登場するそう。
例えとして、サラッと出てきましたが、
そもそも、子やぎも引き裂くものなのでしょうか??
こちらもルーベンスの作品ではないですが、
ピエトロ・ダ・コルトーナの 《懲罰を受けるヘラクレス》 も印象的な一枚。
友人であるイトピアを殺した罰として、
リュディアの女王オンファレのもとで奴隷として働く事となったヘラクレスが描かれています。
が、懲罰を与える係は、なぜか可愛らしいキューピッドたち。
とても筋骨隆々のヘラクレスを制することができるようには見えません。
何よりヘラクレス自身が困惑しているようです。
が、頭上に目を向けると、ヘラクレスの脳天を弓矢で狙うキューピッドが。
殺し屋のような表情をしています。
狂気が宿る一枚です。
ちなみに、今回の一番の衝撃作は、
何と言っても、やはり 《ヴィーナス、マルスとキューピッド》 という一枚。
ペーテル・パウル・ルーベンス 《ヴィーナス、マルスとキューピッド》 1630年代初めから半ば 油彩/カンヴァス
ロンドン、ダリッジ絵画館 Lent by Dulwich Picture Gallery, London.
描かれているのは、ヴィーナスの授乳シーンです。
いや、お乳を含ませるというか、キューピッドに母乳を浴びせかけています。
その常軌を逸した行動に、若干マルスも引いているようです。
展覧会の主催者も、このシーンがお気に入りなのでしょうか。
図録でこの絵を紹介した次のページで・・・
アップにしたものを掲載していました。
このページ、必要か (笑)?!
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「王の画家にして画家の王」 と称されたバロック時代の巨匠、
ぺーテル・パウル・ルーベンス (1577~1640) の大々的な回顧展です。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)
ルーベンスといえば、日本人にとっては、
アニメ 『フランダースの犬』 でお馴染みの画家。
主人公ネロが最終回で放った、
「パトラッシュ、ぼくは見たんだよ。いちばん見たかった、ルーベンスの2枚の絵を。」
という台詞に涙を流した方は少なくないでしょう。
残念ながら、今回の展覧会には、
さすがにアントワープ聖母大聖堂から、ネロが最期に観た絵は貸し出されていませんが。
プラド美術館やウフィツィ美術館、エルミタージュ美術館など、
世界の名だたる美術館から、ルーベンスの傑作の数々が来日しています。
間違いなく、日本における過去最大規模のルーベンス展です。
また、新たな試みとして、
ルーベンスとイタリア美術の関係性にスポットを当てているのが、今展のポイント。
いかにルーベンスがイタリア美術に影響を受けていたか。
また、いかにルーベンスがイタリア美術に影響を与えたのか。
関わりの深いイタリア美術と併せて紹介されています。
イタリア美術ファンも抑えておきたい美術展です。
ちなみに、現在、同じ上野の地で “フェルメール展” が開催されているわけですが。
ルーベンスとフェルメールは、作風が実に対照的。
一人で黙々と絵画制作に向き合っていたフェルメールに対し、
ルーベンスは大規模な工房を経営し、大量の作品を、それも大型の作品を制作しました。
フェルメールの作品がミニシアター系の沁みる映画ならば、
ルーベンスの作品は製作費に糸目をつけないハリウッド映画のよう。
ド迫力の作品世界を、大画面で堪能することができます。
鑑賞するというよりも、もはや体感する絵画作品。
実際に会場を訪れねば、この感動体験は味わえません。
さてさて、今回出展されていた作品の中で、
特に印象的だったのは、やはり 《クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像》 でしょうか。
ペーテル・パウル・ルーベンス 《クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像》 1615-16年 油彩/板で裏打ちしたカンヴァス
ファドゥーツ/ウィーン、リヒテンシュタイン侯爵家コレクション ©LIECHTENSTEIN. The Princely Collections, Vaduz-Vie
全体的に大型作品が多い今展の中では、わりと小さめな作品です。
それもそのはず、こちらはルーベンスがプライベートで制作した一枚。
愛娘であるクララを描いた作品です。
とても利発そうで、かなり大人っぽい印象を受けますが、
この絵が描かれたとき、なんとクララは5歳だったのだとか。
5歳には見えません。
チコちゃんくらいに大人びています。
娘がよく見えるのは仕方がないことなのでしょうが、いくらなんでも・・・。
親バカフィルターがかかっています。
続いて印象的だったのが、画面左の 《カスパー・ショッペの肖像》 という一枚。
これまで数多くの男性肖像画を目にしてきましたが。
こんなにも無造作ヘアの男性は初めてです。
テカっていないところを見るに、おそらくマット系ワックスで仕上げています。
・・・・・って、この時代にマット系ワックスあったの??
アクションシーンも得意としていたルーベンス。
それと関連して、同時代の画家によるアクションシーンの絵画も紹介されていました。
その中で画題がカブっていたのが、ジョアンニ・ランフランコ (右) と、
ジャン・ロレンツィオ・ベルニーニ (左) による 《獅子を引き裂くサムソン》。
獅子と素手で戦うの、まだギリ理解できますが。
「引き裂く」 というのが衝撃的です。
そんなタウンページみたいに、
メリメリっと上手く引き裂けるものなのでしょうか。
ベルニーニのほうはまだしも、ランフランコのほうのサムソンは、
あきらかに腰に力が入っていないので、獅子を引き裂ける気がしません。
ちなみに、元ネタ (?) である聖書には、
「彼はまるで子やぎを引き裂くように、それを引き裂いた」
という一文が登場するそう。
例えとして、サラッと出てきましたが、
そもそも、子やぎも引き裂くものなのでしょうか??
こちらもルーベンスの作品ではないですが、
ピエトロ・ダ・コルトーナの 《懲罰を受けるヘラクレス》 も印象的な一枚。
友人であるイトピアを殺した罰として、
リュディアの女王オンファレのもとで奴隷として働く事となったヘラクレスが描かれています。
が、懲罰を与える係は、なぜか可愛らしいキューピッドたち。
とても筋骨隆々のヘラクレスを制することができるようには見えません。
何よりヘラクレス自身が困惑しているようです。
が、頭上に目を向けると、ヘラクレスの脳天を弓矢で狙うキューピッドが。
殺し屋のような表情をしています。
狂気が宿る一枚です。
ちなみに、今回の一番の衝撃作は、
何と言っても、やはり 《ヴィーナス、マルスとキューピッド》 という一枚。
ペーテル・パウル・ルーベンス 《ヴィーナス、マルスとキューピッド》 1630年代初めから半ば 油彩/カンヴァス
ロンドン、ダリッジ絵画館 Lent by Dulwich Picture Gallery, London.
描かれているのは、ヴィーナスの授乳シーンです。
いや、お乳を含ませるというか、キューピッドに母乳を浴びせかけています。
その常軌を逸した行動に、若干マルスも引いているようです。
展覧会の主催者も、このシーンがお気に入りなのでしょうか。
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