東京国立近代美術館で開催中の展覧会、
“アジアにめざめたら:アートが変わる、世界が変わる 1960-1990年代” に行ってきました。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)
こちらは、東京国立近代美術館を含む日本、韓国、シンガポールの国立美術館3館と、
国際交流基金アジアセンターによる5年に及ぶ共同プロジェクトの集大成として開催される展覧会で、
1960年代から1990年代にかけて、激動の時代にアジア各地で生まれたアート作品を紹介するものです。
会場には、10を超える国と地域から、約140点が集結しています。
いろいろとアヴァンギャルドな作品がありましたが。
まず印象的だったのは、シンガポールを代表する現代美術家タン・ダウによる作品です。
真ん中に横たわっているのは、カバーで覆われたバイクかと思いきや・・・
サイとのこと。
その周囲をサイのマークがラベルされた薬瓶が取り囲んでいます。
作品のタイトルは、《彼らは犀を密漁し、角を切ってこのドリンクを作った》。
密漁によりサイが絶滅の危機に瀕していることをテーマにした作品なのだそうです。
魔法陣のようにも見え、何かしらの儀式を連想させます。
ひょっとしたら、むくっとサイが蘇るかも。
ジワジワ怖い作品です。
ジワジワ怖いと言えば、こちらの作品も。
台湾を代表する写真家・張照堂 (チャン・チャオタン) の 《板橋》 です。
張照堂 《板橋》 1962年 作家蔵
よく見ると、写真の人物の首から上がありません。
まるで心霊写真のよう。
見れば見るほど、「やだな~怖いな~」 となるのですが、なぜか目をそらすことが出来ない。
不思議な引力がある作品でした。
続いて印象的だったのは、インドネシア出身のFXハルソノによる作品です。
床にうずたかく積み上げられたピンクの何やら。
近づいて見てみると・・・
それらは銃の形をしていました。
日常に潜む暴力をテーマにした作品なのだそうです。
作品のタイトルは、《もしこのクラッカーが本物の銃だったらどうする?》。
『IPPPONグランプリ』 (=大喜利) のお題のようなタイトルです。
センスのある回答をしなければ、と、ノートに回答を描く時に手が震えました。
芸人殺し。
ある意味、銃よりも怖かったです。
また同じインドネシア出身のジム・スパンカットの 《ケン・デデス》 も印象に残る作品でした。
ジム・スパンカット 《ケン・デデス》 1975/1996年 ナショナル・ギャラリー・シンガポール蔵
ケン・デデスは、かつてジャワ島にあった王国を建国した人物の妻で、
絶世の美女と謳われた、インドネシアではお馴染みの伝説的な人物なのだとか。
上半身は、その伝統的な彫像なのですが、
下半身は、ピチピチのジーンズとセクシーで現代的なモチーフが組み合わされています。
確か、インドネシアは 『ドラえもん』 のしずかちゃんの入浴シーンですら規制がかかる国。
この作品は、僕らが考えている以上に、スキャンダラスなものなのかもしれません。
ちなみに、個人的に妙に惹かれたのが、
パク・ヒョンギの 《無題》 という作品です。
石。石。画面に石が映っているテレビ。その上に、石。
シンプルな作品ではあるのですが。
実物と虚像の対比。自然物と工業製品の対比。
いろいろと考えさせられるものがありました。
薄型テレビが当たり前の現代では、生まれない発想。
今回出展されていた全作品の中で、
ある意味、もっとも1960-1990年代、という時代を感じる作品でした。
“アジアにめざめたら:アートが変わる、世界が変わる 1960-1990年代” に行ってきました。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)
こちらは、東京国立近代美術館を含む日本、韓国、シンガポールの国立美術館3館と、
国際交流基金アジアセンターによる5年に及ぶ共同プロジェクトの集大成として開催される展覧会で、
1960年代から1990年代にかけて、激動の時代にアジア各地で生まれたアート作品を紹介するものです。
会場には、10を超える国と地域から、約140点が集結しています。
いろいろとアヴァンギャルドな作品がありましたが。
まず印象的だったのは、シンガポールを代表する現代美術家タン・ダウによる作品です。
真ん中に横たわっているのは、カバーで覆われたバイクかと思いきや・・・
サイとのこと。
その周囲をサイのマークがラベルされた薬瓶が取り囲んでいます。
作品のタイトルは、《彼らは犀を密漁し、角を切ってこのドリンクを作った》。
密漁によりサイが絶滅の危機に瀕していることをテーマにした作品なのだそうです。
魔法陣のようにも見え、何かしらの儀式を連想させます。
ひょっとしたら、むくっとサイが蘇るかも。
ジワジワ怖い作品です。
ジワジワ怖いと言えば、こちらの作品も。
台湾を代表する写真家・張照堂 (チャン・チャオタン) の 《板橋》 です。
張照堂 《板橋》 1962年 作家蔵
よく見ると、写真の人物の首から上がありません。
まるで心霊写真のよう。
見れば見るほど、「やだな~怖いな~」 となるのですが、なぜか目をそらすことが出来ない。
不思議な引力がある作品でした。
続いて印象的だったのは、インドネシア出身のFXハルソノによる作品です。
床にうずたかく積み上げられたピンクの何やら。
近づいて見てみると・・・
それらは銃の形をしていました。
日常に潜む暴力をテーマにした作品なのだそうです。
作品のタイトルは、《もしこのクラッカーが本物の銃だったらどうする?》。
『IPPPONグランプリ』 (=大喜利) のお題のようなタイトルです。
センスのある回答をしなければ、と、ノートに回答を描く時に手が震えました。
芸人殺し。
ある意味、銃よりも怖かったです。
また同じインドネシア出身のジム・スパンカットの 《ケン・デデス》 も印象に残る作品でした。
ジム・スパンカット 《ケン・デデス》 1975/1996年 ナショナル・ギャラリー・シンガポール蔵
ケン・デデスは、かつてジャワ島にあった王国を建国した人物の妻で、
絶世の美女と謳われた、インドネシアではお馴染みの伝説的な人物なのだとか。
上半身は、その伝統的な彫像なのですが、
下半身は、ピチピチのジーンズとセクシーで現代的なモチーフが組み合わされています。
確か、インドネシアは 『ドラえもん』 のしずかちゃんの入浴シーンですら規制がかかる国。
この作品は、僕らが考えている以上に、スキャンダラスなものなのかもしれません。
ちなみに、個人的に妙に惹かれたのが、
パク・ヒョンギの 《無題》 という作品です。
石。石。画面に石が映っているテレビ。その上に、石。
シンプルな作品ではあるのですが。
実物と虚像の対比。自然物と工業製品の対比。
いろいろと考えさせられるものがありました。
薄型テレビが当たり前の現代では、生まれない発想。
今回出展されていた全作品の中で、
ある意味、もっとも1960-1990年代、という時代を感じる作品でした。