根津美術館で開催中の特別展、“新・桃山の茶陶” に行ってきました。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)
こちらは、信楽、備前、伊賀、志野、織部、唐津といった、
16~17世紀初頭にかけて、桃山時代に作られたこれら和物茶陶に焦点を当てた展覧会です。
国宝に指定されている 《志野茶碗 銘 卯花墻》 や、
国宝 《志野茶碗 銘 卯花墻》 施釉陶器 日本・桃山~江戸時代 17世紀 三井記念美術館蔵 (注:展示は12月4日まで)
重要文化財に指定されている 《黄瀬戸立鼓花入 銘 旅枕》(写真右)をはじめ、
重要文化財 《黄瀬戸立鼓花入 銘 旅枕》 施釉陶器 日本・桃山時代 16世紀 和泉市久保惣記念美術館蔵
日本各地から、桃山の茶陶のオールスターが集結しています。
茶道具ファンからすれば、まさに桃山の茶陶のフェス状態。
地味に・・・もとい、静かに盛り上がっています。
ちなみに。
タイトルに 「新」 とあるのは、平成元年に、
同じく根津美術館で、“桃山の茶陶展” が開催されたことに由来しています。
それから約30年の間に、桃山の茶陶について研究が進んだ成果が、
平成最後の年に今回開催される “新・桃山の茶陶” に反映されているのだとか。
その中で最も大きな発見として紹介されていたのが、
京都の三条瀬戸物屋町から出土した大量の桃山の茶陶でした。
これらは、やきもの店が商品を廃棄したものと考えられているとのこと。
つまり、出土した場所には、かつてやきもの店があったと推測されるのです。
今回の展覧会では、三条瀬戸物屋町から出土したやきものが、エリアごとに紹介されていました。
見比べてみると、出土したやきものは、
エリアごとに、なんとなくテイストが似ているような印象を受けます。
これはお店によって、カラーが違うため。
取り扱う商品が、それぞれ違うわけです。
例えば、下白山町から出土したやきものは・・・
ほとんどに、同じようなポッチがついています。
下白山町にあったお店の店主は、おそらくポッチ付きのやきものを好んで仕入れていたのでしょう。
もしくは、ポッチ付きのやきものを発注していた可能性も。
ともあれ、「下白山町のやきもの店=ポッチ付き」 というイメージが、当時は浸透していたはず。
桃山時代のやきもの自体も個性的ですが、
桃山時代のやきもの店もまた個性的だったのですね。
今回出展されていたやきものの中で特にインパクトがあったのは、
何と言っても、重要文化財の 《織部松皮菱形手鉢》 をおいて他なりません。
重要文化財 《織部松皮菱形手鉢》 施釉陶器 日本・桃山~江戸時代 17世紀 北村美術館蔵
形といい、カラーリングといい、模様といい。
すべてにおいて個性的。
どことなく ‟赤塚不二夫” 臭が漂っています。
見れば見るほど、「これ (=こんなヘンテコ) でいいのか?」 と疑問が湧いてきますが。
やきもの自体は、「これでいいのだ」 と開き直っているような気がしてなりません。
妙な説得力があるやきものです。
《織部松皮菱形手鉢》 が赤塚不二夫風なら、こちらの大皿はしりあがり寿風 (←?)。
《絵唐津松樹文大皿》 施釉陶器 日本・桃山~江戸時代 17世紀 個人像
つけまつげが描かれているのかと思いきや、タイトルは、《絵唐津松樹文大皿》 とのこと。
どうやら描かれているのは、松の樹のようです。
なるほど。
松の樹と思って、改めて観てみれば・・・・・松に見えなくも・・・・・。
もしかしたら、松の樹がダンシングフラワーのごとく、踊っているのかもしれませんね。
ちなみに、今回出展されているやきもの中で、
もしも1点だけ貰えるとしたなら、やはり 《白天目》 でしょうか。
(↑そんな ‟もしも” は、まずありえないですが)
重要文化財 《白天目》 施釉陶器 日本・室町時代 16世紀 徳川美術館像
その端正なプロポーションにも惹かれましたが。
何より見込みの茶溜まりに流れた釉薬の緑色の美しさに惹かれました。
見つめれば見つめるほど、心が凪ぐようです。
日本人のDNAに訴えかけてくる緑色。
どこか東山魁夷の絵画に登場する緑色の美しさと通ずるところがありました。
┃会期:2018年10月20日(土)~12月16日(日)
┃会場:根津美術館
┃http://www.nezu-muse.or.jp/
1位を目指して、ランキングに挑戦中。
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(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)
こちらは、信楽、備前、伊賀、志野、織部、唐津といった、
16~17世紀初頭にかけて、桃山時代に作られたこれら和物茶陶に焦点を当てた展覧会です。
国宝に指定されている 《志野茶碗 銘 卯花墻》 や、
国宝 《志野茶碗 銘 卯花墻》 施釉陶器 日本・桃山~江戸時代 17世紀 三井記念美術館蔵 (注:展示は12月4日まで)
重要文化財に指定されている 《黄瀬戸立鼓花入 銘 旅枕》(写真右)をはじめ、
重要文化財 《黄瀬戸立鼓花入 銘 旅枕》 施釉陶器 日本・桃山時代 16世紀 和泉市久保惣記念美術館蔵
日本各地から、桃山の茶陶のオールスターが集結しています。
茶道具ファンからすれば、まさに桃山の茶陶のフェス状態。
地味に・・・もとい、静かに盛り上がっています。
ちなみに。
タイトルに 「新」 とあるのは、平成元年に、
同じく根津美術館で、“桃山の茶陶展” が開催されたことに由来しています。
それから約30年の間に、桃山の茶陶について研究が進んだ成果が、
平成最後の年に今回開催される “新・桃山の茶陶” に反映されているのだとか。
その中で最も大きな発見として紹介されていたのが、
京都の三条瀬戸物屋町から出土した大量の桃山の茶陶でした。
これらは、やきもの店が商品を廃棄したものと考えられているとのこと。
つまり、出土した場所には、かつてやきもの店があったと推測されるのです。
今回の展覧会では、三条瀬戸物屋町から出土したやきものが、エリアごとに紹介されていました。
見比べてみると、出土したやきものは、
エリアごとに、なんとなくテイストが似ているような印象を受けます。
これはお店によって、カラーが違うため。
取り扱う商品が、それぞれ違うわけです。
例えば、下白山町から出土したやきものは・・・
ほとんどに、同じようなポッチがついています。
下白山町にあったお店の店主は、おそらくポッチ付きのやきものを好んで仕入れていたのでしょう。
もしくは、ポッチ付きのやきものを発注していた可能性も。
ともあれ、「下白山町のやきもの店=ポッチ付き」 というイメージが、当時は浸透していたはず。
桃山時代のやきもの自体も個性的ですが、
桃山時代のやきもの店もまた個性的だったのですね。
今回出展されていたやきものの中で特にインパクトがあったのは、
何と言っても、重要文化財の 《織部松皮菱形手鉢》 をおいて他なりません。
重要文化財 《織部松皮菱形手鉢》 施釉陶器 日本・桃山~江戸時代 17世紀 北村美術館蔵
形といい、カラーリングといい、模様といい。
すべてにおいて個性的。
どことなく ‟赤塚不二夫” 臭が漂っています。
見れば見るほど、「これ (=こんなヘンテコ) でいいのか?」 と疑問が湧いてきますが。
やきもの自体は、「これでいいのだ」 と開き直っているような気がしてなりません。
妙な説得力があるやきものです。
《織部松皮菱形手鉢》 が赤塚不二夫風なら、こちらの大皿はしりあがり寿風 (←?)。
《絵唐津松樹文大皿》 施釉陶器 日本・桃山~江戸時代 17世紀 個人像
つけまつげが描かれているのかと思いきや、タイトルは、《絵唐津松樹文大皿》 とのこと。
どうやら描かれているのは、松の樹のようです。
なるほど。
松の樹と思って、改めて観てみれば・・・・・松に見えなくも・・・・・。
もしかしたら、松の樹がダンシングフラワーのごとく、踊っているのかもしれませんね。
ちなみに、今回出展されているやきもの中で、
もしも1点だけ貰えるとしたなら、やはり 《白天目》 でしょうか。
(↑そんな ‟もしも” は、まずありえないですが)
重要文化財 《白天目》 施釉陶器 日本・室町時代 16世紀 徳川美術館像
その端正なプロポーションにも惹かれましたが。
何より見込みの茶溜まりに流れた釉薬の緑色の美しさに惹かれました。
見つめれば見つめるほど、心が凪ぐようです。
日本人のDNAに訴えかけてくる緑色。
どこか東山魁夷の絵画に登場する緑色の美しさと通ずるところがありました。
┃会期:2018年10月20日(土)~12月16日(日)
┃会場:根津美術館
┃http://www.nezu-muse.or.jp/
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