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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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イサム・ノグチと岡本太郎―越境者たちの日本―

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この秋、川崎市岡本太郎美術館で開催されているのは、
“イサム・ノグチと岡本太郎―越境者たちの日本―” という展覧会。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)


こちらは、彫刻家として世界的に活躍したイサム・ノグチと、
ご存知岡本太郎という個性の異なる2人の絵画、彫刻、写真など計約150点を紹介する展覧会です。

イサム・ノグチと岡本太郎。
全く接点がないような気がしますが、
実は、ともにフランス・パリで学んだ経験があり、親交を深めた間柄でした。
今回の展覧会では、そんな意外と知られざる2人の交流にスポットが当てられています。
例えば、こちらは太郎さんがデザインしたことで知られる愛知県久国寺にある 《梵鐘・歓喜》




その鐘供養の式典に、イサム・ノグチは主賓として招かれています。




式典中は、太郎さんとイサム・ノグチが仲良く隣合って座っていた模様。
写真からも、二人の親密さが伝わってくるようでした。

また、大阪髙島屋で開催された “渡欧記念岡本太郎展” の会場を、
イサム・ノグチが、妻で女優の山口淑子を連れだって訪問したことも。
会場には、その際に撮影された3ショット写真や、
その展覧会に実際に出品されていた作品が紹介されていました。





ちなみに、今回紹介されていた2人の交流の数々の中で、
特に驚かされたのは、1968年にTBSで放送された 『この人と……』 という番組での共演でした。
「イサムとタローの芸術論」 という回に出演したそうです。




この2人がテレビ番組で共演していることも驚きですが、
平日の午後1時45分からのオンエアということに驚かされました。
お昼から、なんと濃い番組なんだ!
しかも、この番組の司会 (ホステス) を務めていたのは、山口淑子。
実はこの13年前に、彼女はイサム・ノグチと離婚しています。
離婚以来の再会が、この番組で実現したのだとか。
キャスティングが、アバンギャルド。


さてさて、これまで意識したことはなかったですが。
イサム・ノグチと岡本太郎の交流の深さを知った上で、
2人の作品を観てみると、なんとなく通じるところがあるのを実感。




作品によっては、どっちがイサム・ノグチで、どっちが岡本太郎なのか、
キャプションを見て確認しないと、区別がつかなかったものもありました。




また、岡本太郎が唯一設計した建築 《マミ会館》 (現存せず) に関しては、
その模型を目にするたびに、実に岡本太郎らしい建築との感想を抱いていましたが。




2人の交流を知ってから観ると、イサム・ノグチの彫刻作品のようにも感じられます。
これは、新鮮な発見でした。

異色の組み合わせかと思いきや、これ以上ないくらいに “しっくりくる” 組み合わせ。
むしろ、これまで何でこの2人の関係が、
あまりフィーチャーされてこなかったのか、不思議に感じるくらいでした。
ちなみに、個人的に特に “しっくりくる” 組み合わせだったのは、
イサム・ノグチの 《AKARI》 シリーズと岡本太郎の 《光る彫刻》 のコラボ、




ともに、原爆が重要なモチーフとなっている、
イサム・ノグチの 《広島の原爆慰霊碑の習作模型》 と岡本太郎の 《明日の神話》 の原画のコラボ。




このありそうでなかった組み合わせが見られただけでも、展覧会を訪れる価値は大いにアリ!
昭和を代表するアーティストの 『ふたりのビッグショー』 は必見です。
星星


ちなみに。
イサム・ノグチといえば、先日まで、
東京オペラシティアートギャラリーで大々的な回顧展が開催されていたばかり。
そして、来年1月からは、横浜美術館で “イサム・ノグチと長谷川三郎” が開幕します。
どうやらNYのイサム・ノグチ庭園美術館から来日中の作品が、それぞれの展覧会を巡っている様子。
ひとたび日本を訪問したなら、なるべく多く出演する。
野沢直子のようなスタンスです。




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