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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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かわいい浮世絵 おかしな浮世絵

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現在、太田記念美術館で開催されているのは、
“かわいい浮世絵 おかしな浮世絵” という展覧会。
「かわいい」 と 「おかしい」 をキーワードに、
予備知識が特になくても楽しめる浮世絵の数々を紹介する展覧会です。




歌川広重の 《名所江戸百景 浅草田甫酉の町詣》 や、

猫


落合幾芳の 《兎の相撲》 をはじめ、




理屈抜きで 「かわいい」 と思える浮世絵も、いろいろとありましたが。
全体的には、「おかしな」 浮世絵が大多数を占めていたように思います。
かわいい、2割。おかしい、8割。
浮世絵だけでなく、比率もおかしな展覧会でした。
星


とはいえ、個人的には、「かわいい」 よりも 「おかしな」 ほうが好きなので、満足。
新年早々、今や太田記念美術館のTwitterアイコンにもなっている “虎小石” が観れて満足でした。

虎小石


今回出展されていた 「おかしな」 浮世絵の数々の中で、
特に衝撃的だったのは、歌川芳藤の 《髪切りの奇談》 という一枚です。




描かれているのは、明治元年に、
番町のとある武士の屋敷で、実際に起きた事件。
深夜、その屋敷に奉公していた女中が、厠へ行こうとしたところ、
突然、背後に黒い大きな怪物 (=髪切り) が現れ、いきなり髪に噛り付きました。
あまりのことに驚いた女中は、大声を上げて抵抗。
その騒ぎを聞きつけ、屋敷の家臣らが駆けつけると、
黒い怪物は猫のような身のこなしで、去ってしまったという。
そして、そこには、切られた女中の髻が落ちていた。
まさに、アンビリバボーな事件です。
ちなみに、女中の証言によると、黒い怪物はビロードのような触感をしていたのだとか。
見た目によらず、意外と滑らかな肌触りなのですね。

続いても、幕末のアンビリバボーな事件。




ゴジラみたいに見えるのは、「豊年魚」 と名付けられた淀川に現れたという大魚。
大魚ではあるものの、手足は生えているようです。
体長は、約2.3メートル。
体重は、約75kgもあったのだとか。
髪切りといい、豊年魚といい、かつての日本には、いろんなUMAがいたのですね。


ある意味、UMAよりも衝撃的だったのは、
美人画を得意としたという吉原真竜の肉筆画 《乙福図》 です。




‘逆’ 美人画とでもいうべき1枚。
全体的に、悪意しか感じられません (笑)
いろんな意味で、「怪物よりも人間が一番怖い」 と実感させられました。


ちなみに、昨年の展覧会で初めてスポットが当てられた、
謎の浮世絵師・歌川広景の唯一の代表作 《江戸名所道化尽》 シリーズも数点紹介されています。


歌川広景 《江戸名所道化尽 壱 日本橋の朝市》


《江戸名所道化尽》 シリーズの笑いは、全体的にレベルが低め。
「くだらねーw」 と思わず失笑してしまう。
そういうタイプの “おかしさ” です。
今回出展されていた中では、
《江戸名所道化尽 九 湯島天神の台》 が、印象的でした。




犬が吠える→驚いて、出前の蕎麦を落とす→その蕎麦が武士の頭にぶちまけられる。
この負の連鎖 (?) から、なんとなく懐かしのACのコマーシャルを連想してしまいました。






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