Quantcast
Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

イサム・ノグチと長谷川三郎

$
0
0
つい先日まで、川崎市岡本太郎美術館にて、
イサム・ノグチと岡本太郎、2人の関係性にスポットを当てた展覧会が開催されていましたが。
ところ変わって、現在、横浜美術館では、
“イサム・ノグチと長谷川三郎-変わるものと変わらざるもの” という展覧会が開催中です。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)


こちらは、国際的に知られる彫刻家イサム・ノグチと、
画家であり理論家でもあった長谷川三郎、2人の関係性にスポットを当てた展覧会。
日本で制作され、アメリカで発表された後、
長らく門外不出だったというイサム・ノグチの石の傑作 《庭の要素》 を筆頭に、




日本初公開を含むノグチ作品が約50点、
日本の国公立美術館が所蔵する長谷川三郎の代表作約70点が一堂に会した大々的な展覧会です。

関西 (山口県) 出身で、50歳という若さで亡くなっているため、
これまで関東地方ではほとんど紹介されたことがないという長谷川三郎ですが。
実は、日本における抽象美術のパイオニアとされる重要な人物なのです。


そんな長谷川三郎とイサム・ノグチが出逢ったのは、1950年の東京でのこと。
よほどフィーリングがあったようで、すぐさま意気投合し、
京都や大阪、奈良への旅の案内人を長谷川が買って出るほどの深い仲になったそうです。
また、日本文化に造詣の深かった長谷川は、
その半生をアメリカで過ごしたノグチに、庭園や書、禅、俳句などをレクチャー。
ノグチのアーティスト人生に多大な影響を与えました。


さてさて、もちろん一方的な関係ではなく、
長谷川もまた、ノグチから大きな影響を受けています。
若い頃は、オーソドックスな抽象画を制作していましたが。




ノグチとの出逢いにより、墨や拓本、木版を用いたオリジナリティ溢れる作風を確立するように。



長谷川三郎 《自然》 1953年、紙本墨、拓刷、二曲屏風一隻、各135.0×66.5cm、京都国立近代美術館蔵
(注:展示期間は、1月12日~2月13日)



長谷川とノグチ。
2人は思想的に本当に大きく影響を与えあったのでしょう。
出逢ってから年月が経てば経つほどに、
作品のテイストや空気感が、どんどんと近づいていきます。
長谷川の晩年の頃ともなると・・・




キャプションを見ないと、
どちらが長谷川作品で、どちらがノグチ作品かわからないことも。
長谷川がノグチでノグチが長谷川で。
2人展なのに、個展のような不思議な印象の展覧会でした。
星


ちなみに、2人が目指したのは、「古い東洋と新しい西洋の統合」 とのこと。
そういう視点で、ノグチの作品を見てみると、




彫刻作品自体は、西洋的でモダンながらも、
作品を設置する台座は、どことなく仏像の台座を彷彿とさせるものがありました。
中には、日本の古民家を彷彿とさせるものも。


イサム・ノグチ 《捜す者、捜し出したり》 1969年、玄武岩、94.0×100.3×49.8cm、イサム・ノグチ財団・庭園美術館(ニューヨーク)蔵
©The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum, New York/ARS-JASPAR Photo: Kevin Noble



確かに、古い東洋と新しい西洋が統合されていました。
これからは、イサム・ノグチ作品の台座にも意識を向けてみようと思います。


最後に、今回一番印象に残った作品をご紹介。
イサム・ノグチによる 《顔皿》 です。


イサム・ノグチ 《顔皿》 1952年 陶、30.8×27.3×2.9cm、イサム・ノグチ財団・庭園美術館(ニューヨーク)蔵
©The lsamu Noguchi Foundation and Garden Museum, New York/ARS-JASPAR Photo: Kevin Noble



じーっと見ていたら、なんとなく長谷川三郎に見えてきました。
こんなところにも影響が。


長谷川三郎、1956年頃 写真提供:学校法人甲南学園 長谷川三郎記念ギャラリー


 ┃会期:2019年1月12日(土)~3月24日(日)
 ┃会場:横浜美術館
 ┃
https://yokohama.art.museum/special/2018/NoguchiHasegawa/

~読者の皆様へのプレゼント~
こちらの “イサム・ノグチと長谷川三郎” の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、1月28日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。




1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

Trending Articles