四谷三丁目駅のほど近くに、
昨年3月に開館したばかりの美術館があります。
その名も、美術愛住館。
女性の洋画家として初の日本芸術会員となった、
池口史子 (ちかこ) さんの作品を中心に、近現代の優れた洋画を企画展示する美術館です。
ちなみに、読み方は、「あいじゅうかん」 でなく、「あいずみかん」。
この美術館の住所が、新宿区愛住町 (あいずみちょう) であることに由来しています。
・・・・・・・ん?
だったら、『愛住美術館』 のほうが、しっくりくるのでは??
そう思われた方もいらっしゃるかもしれませんが。
なんでも、こちらの建物はもともと、
池口さんとその夫である堺屋太一さんの仕事場兼自宅だったそうで (←まさに “愛の住処”!)。
お二人は、この建物を 「愛住館」 と呼んでいたのだそうです。
なるほど。それで、美術愛住館なのですね。
さてさて、そんな美術愛住館で、現在開催されているのは、
“美術愛住館コレクション「それぞれ展」” という展覧会。
美術愛住館のコレクションの中から、
池口さんを含む洋画家たちそれぞれの傑作を、一挙に初公開する展覧会です。
東京藝術大学時代の池口さんの師であった山口薫や、
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)
池口さんのほぼ同期で、日本画家の小杉放庵を持ち、
その詩的で幻想的な世界観に定評のある小杉小二郎さんを筆頭に、
全8名の洋画家の作品が紹介されています。
作風は8者8様で、それぞれ個性が違っていたのですが、
8名全員に共通していたのは、その作品に、得も言われぬ品格が漂っていたこと。
パッション全開のガツガツした感じは一切なく、ゆとりのようなものが感じられました。
観れば観るほど、自分の心の中の悪い部分が浄化されていくかのような作品でした。
そのように精神的な空気清浄機の役割を果たす作品 (←?) で、満たされていたからでしょうか。
展示室内は、なんともいえない居心地の良さがありました。
ずっとここに居たい。いや、いっその事、ここに住みたい。
そんな愛すべき展示空間でした。
まさに、美術 “愛住” 館です。
今回紹介されていた8名の洋画家の中で、特に印象的だったのは、山田嘉彦さん。
初期の頃には、師である牛島憲之風の絵を描いていたようですが。
その後、点描スタイルに転向。
以来、現在においても、今ではすっかり珍しくなった点描画を描き続けているそうです。
スーラやシニャックといった、
いわゆる新印象派の画家たちが点描画で目指した眩い光の表現とは真逆で、
山田さんが点描で描く風景は、まるで光が内部に閉じ込められているかのような印象を受けました。
ベルベットを連想させる絵肌とあいまって、
一針一針丹念に刺繍するがごとく、一点一点丹念に光を封じ込めながら描いているかのようです。
ちなみに・・・
なんとサインも点描スタイルでした。
点描に徹底するにもほどがあります。
それから、やはり何と言っても、
忘れてはいけないのが、この美術館の主役である池口史子さん。
1階と2階を繋ぐ吹き抜け空間に、学生時代に描いた貴重な作品と、
池田さんが近年取り組んでいるという、
花をモティーフとした静物画と都会的な雰囲気の漂う女性像の作品が展示されていました。
個人的に最も惹かれたのは、
彼女の代名詞ともいうべき、北アメリカの街並みを描いた作品群。
舐めるくらいのローアングルから描かれた下の2点に関しては、
不思議な遠近感といい、その色合いといい、どことなくデ・キリコを彷彿とさせる部分もありますが。
デ・キリコの作品とは対照的に、寂寥感は全くありません。
むしろ、かつてこの光景を目にしたような気持ちになり、親しみや温かさを覚えました。
ちなみに、普通の美術館での展示のように、下から見上げて鑑賞するのもいいのですが。
こちらでは、特別に吹き抜け空間に展示されているので、
2階から見下ろして鑑賞することも。
個人的には、この鑑賞スタイルをオススメいたします。
俯瞰した視点で描かれた街並みを、
見下ろすスタイルで鑑賞すると、また違った印象を受けました。
池口作品、下から見るか? 上から見るか?
それぞれお楽しみくださいませ。
1位を目指して、ランキングに挑戦中。
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昨年3月に開館したばかりの美術館があります。
その名も、美術愛住館。
女性の洋画家として初の日本芸術会員となった、
池口史子 (ちかこ) さんの作品を中心に、近現代の優れた洋画を企画展示する美術館です。
ちなみに、読み方は、「あいじゅうかん」 でなく、「あいずみかん」。
この美術館の住所が、新宿区愛住町 (あいずみちょう) であることに由来しています。
・・・・・・・ん?
だったら、『愛住美術館』 のほうが、しっくりくるのでは??
そう思われた方もいらっしゃるかもしれませんが。
なんでも、こちらの建物はもともと、
池口さんとその夫である堺屋太一さんの仕事場兼自宅だったそうで (←まさに “愛の住処”!)。
お二人は、この建物を 「愛住館」 と呼んでいたのだそうです。
なるほど。それで、美術愛住館なのですね。
さてさて、そんな美術愛住館で、現在開催されているのは、
“美術愛住館コレクション「それぞれ展」” という展覧会。
美術愛住館のコレクションの中から、
池口さんを含む洋画家たちそれぞれの傑作を、一挙に初公開する展覧会です。
東京藝術大学時代の池口さんの師であった山口薫や、
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)
池口さんのほぼ同期で、日本画家の小杉放庵を持ち、
その詩的で幻想的な世界観に定評のある小杉小二郎さんを筆頭に、
全8名の洋画家の作品が紹介されています。
作風は8者8様で、それぞれ個性が違っていたのですが、
8名全員に共通していたのは、その作品に、得も言われぬ品格が漂っていたこと。
パッション全開のガツガツした感じは一切なく、ゆとりのようなものが感じられました。
観れば観るほど、自分の心の中の悪い部分が浄化されていくかのような作品でした。
そのように精神的な空気清浄機の役割を果たす作品 (←?) で、満たされていたからでしょうか。
展示室内は、なんともいえない居心地の良さがありました。
ずっとここに居たい。いや、いっその事、ここに住みたい。
そんな愛すべき展示空間でした。
まさに、美術 “愛住” 館です。
今回紹介されていた8名の洋画家の中で、特に印象的だったのは、山田嘉彦さん。
初期の頃には、師である牛島憲之風の絵を描いていたようですが。
その後、点描スタイルに転向。
以来、現在においても、今ではすっかり珍しくなった点描画を描き続けているそうです。
スーラやシニャックといった、
いわゆる新印象派の画家たちが点描画で目指した眩い光の表現とは真逆で、
山田さんが点描で描く風景は、まるで光が内部に閉じ込められているかのような印象を受けました。
ベルベットを連想させる絵肌とあいまって、
一針一針丹念に刺繍するがごとく、一点一点丹念に光を封じ込めながら描いているかのようです。
ちなみに・・・
なんとサインも点描スタイルでした。
点描に徹底するにもほどがあります。
それから、やはり何と言っても、
忘れてはいけないのが、この美術館の主役である池口史子さん。
1階と2階を繋ぐ吹き抜け空間に、学生時代に描いた貴重な作品と、
池田さんが近年取り組んでいるという、
花をモティーフとした静物画と都会的な雰囲気の漂う女性像の作品が展示されていました。
個人的に最も惹かれたのは、
彼女の代名詞ともいうべき、北アメリカの街並みを描いた作品群。
舐めるくらいのローアングルから描かれた下の2点に関しては、
不思議な遠近感といい、その色合いといい、どことなくデ・キリコを彷彿とさせる部分もありますが。
デ・キリコの作品とは対照的に、寂寥感は全くありません。
むしろ、かつてこの光景を目にしたような気持ちになり、親しみや温かさを覚えました。
ちなみに、普通の美術館での展示のように、下から見上げて鑑賞するのもいいのですが。
こちらでは、特別に吹き抜け空間に展示されているので、
2階から見下ろして鑑賞することも。
個人的には、この鑑賞スタイルをオススメいたします。
俯瞰した視点で描かれた街並みを、
見下ろすスタイルで鑑賞すると、また違った印象を受けました。
池口作品、下から見るか? 上から見るか?
それぞれお楽しみくださいませ。
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