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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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南桂子展 コト、コト。コトリ。

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現在、水天宮にある銅版画家・浜口陽三の美術館、
ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクションでは、“南桂子展 コト、コト。コトリ。” が開催中。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


浜口陽三ではなく、その妻である南桂子にスポットを当てた展覧会です。
夫の浜口と同じく、南桂子 (1911~2004) もまた銅版画家。
ただし、技法や作風は、夫婦で大きく異なります。
メゾチントの技法で、静謐で深遠な黒の世界を追求した浜口に対し、




南桂子はエッチングの技法を用い、
繊細で愛らしく、メルヘンチックな作品を数多く生み出しました。





若き日には、絵本作家を目指していたという南桂子。
作品1点1点が、まるで絵本の中の1シーンのようです。
絵の中のキャラクターは、今にも動き出しそうな気配が漂っています。




展覧会タイトルに、『コト、コト。コトリ。』 とありますが、
作品の前で耳を澄ましてみると、『コト、コト。コトリ。』 という音が聞こえてくるようでした。




そんな物語性豊かな南桂子作品は、国内外で人気が高く、
ユニセフのカードに採用されたり、帝国ホテルの全客室に飾られていたこともあるのだそう。
今回の展覧会では、南桂子が国外で早くも活躍していた例として、
1957年に発行されたNYタイムズ別冊のとある記事が紹介されていました。




ページ面のほぼ大多数を占めているのは、もちろん南桂子の銅版画作品です。
ということは、その周囲に描かれているのは、
南桂子のエッセイ、もしくは、インタビュー記事かと思いきや、全然違いました。
なんとあの 『ナルニア国物語』 の作者C・S・ルイスが、創作について語った物語論なのだとか。
レイアウト (記事と挿絵のバランス) がおかしな気がしてなりませんが (笑)
それだけ、南桂子の作品が評価されていたということなのでしょう。
星星


ちなみに、ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクションの学芸員さん曰く、
“最近は、南桂子を知らなかった若い世代の人にも、人気が高いんですよ” とのこと。
確かに、僕が訪れた日は、お客さんの年齢層が若かった気がします。
・・・・・でも、一体なぜ?
南桂子作品のどのあたりが、若い世代の心を捉えているのでしょうか?




その答えを探るべく、しばらく南桂子作品を眺めていたところ、一つの仮説が導き出されました。
”もしかしたら、どこかマリメッコに通ずるところがあるからなのでは?”
なんとなく、あくまでなんとなくなのですが、
南桂子作品は、どこか北欧デザインっぽいところがあるのです。
さらに、近づいて見てみると・・・




背景 (地) の部分に、独特の掠れがあるのがわかります。
そのため、紙ではなく、テキスタイルのような風合いに感じられるのです。
もしかしたら、流行りの北欧デザイン好きの若い世代が、
ここ近年、南桂子の作風に魅了され始めたのかもしれませんね。


最後に。
今回出展されていた中で、特にお気に入りの作品をご紹介。




怪しいけど、カワイイ。
怪人っぽいですが、たぶん鳥です。
頭から生えてるシソの実みたいなのが気になりますが、まぁ、フクロウかミミズクでしょう。
と、タイトルに目をやると、《みみづく》 とありました!
ミミズクではなく、みみづく。
おそらく新種。




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