現在、東京国立近代美術館で開催されているのは、
"福沢一郎展 このどうしようもない世界を笑いとばせ" という展覧会。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)
昨年生誕120周年を迎え、回顧展が開催されたり、関連本が出版されたりするなど、
一部研究者の間で今最もキテる洋画家といっても過言ではない福沢一郎の大規模な展覧会です。
福沢一郎といえば、若き日に渡仏したフランスで、
当時流行していたシュルレアリスムに衝撃を受け、帰国後、日本に紹介した人物。
1930年代には、前衛美術運動のリーダーとして活躍しますが、それを理由に、
戦時下の警察から目を付けられ、美術評論家の瀧口修造とともに約7か月の拘留を受けました。
これまでの福沢一郎展では、そんなシュルレアリストとしての福沢一郎や、
戦時中に当局から弾圧を受けた一件が中心に紹介されることが多かったですが。
今回の展覧会では、シュルレアリスムに出逢う前の初期の作品から、
人々が争う様子をモチーフにした晩年の作品まで、
これまであまりフィーチャーされなかった部分も含めて、万遍なく紹介されています。
生涯現役の画家であった福沢一郎。
その歩みをきちんと追うことができる展覧会です。
福沢一郎を知らなかった人はもちろん、
福沢一郎について知った気になっていた方にも、足を運んで頂きたい展覧会。
展覧会でこのどうしようもない世界を笑いとばす前に、展覧会に行く予定をとばしませぬように。
さてさて、今回の福沢一郎展に出展されている作品数は、
珍しい写真作品や88年ぶりの公開となる油彩画などを含む計103点。
《静物(叔母の肖像)》 1930年 千葉県立成東高等学校蔵
その中で特に印象に残った作品をいくつかまとめてご紹介いたしましょう。
まずは、展覧会のメインビジュアルにも使われている 《煽動者》 です。
《煽動者》 1931年 一般財団法人福沢一郎記念美術財団蔵
宙に浮かぶ2人の男。
手前の男性は、なんとなくリンカーンに似ています。
あと、ちょっと中居君にも似ています。
担当学芸員さん曰く、後ろの男性は、トランプ大統領に似ているとのことでした (似てるかなぁ?)
《煽動者》 というからには、人々を煽動しているのでしょうが。
見ようによっては、口から吹き出したビームに対して、人々から抗議されているようにも見えます。
そんなところは、確かにトランプ似ている気もしなくはありません。
何はともあれ、一度目にしたら、脳裏に焼き付いて離れないインパクトの強い一枚です。
続いては、地獄をモチーフにした絵が集められた、
福沢一郎地獄絵ゾーン (=この一角だけ照明が暗めです) で・・・
ひときわ異彩を放っていたこちらの作品。
《トイレット・ペーパー地獄》 1974年 群馬県立近代美術館蔵
その名も、《トイレット・ペーパー地獄》 です。
もちろん題材は、この絵が描かれた前年に起こったオイルショック。
人々がトイレットペーパーを求め、殺到するさまを皮肉たっぷりに描いています。
もし、福沢一郎が現在まで生きていたら、
《渋谷ハロウィン地獄》 や 《ツイッター炎上地獄》 といった作品を描いていたかもしれないですね。
展覧会タイトルには、"笑いとばせ" とありますが。
「アハハ!」 と笑い飛ばせる福沢一郎作品は、意外と多くありません。
「クックックッ・・・」 と『ちびまる子ちゃん』 の野口さんのような笑いが洩れる作品が大多数。
ただ、こちらの作品は、純粋に笑いとばせました。
《教授たち 会議で他のことを考えている》 1931年 一般財団法人福沢一郎記念美術財団蔵
タイトルは、《教授たち 会議で他のことを考えている》。
おそらく、真面目な会議の真っ最中なのでしょうが、
教授たちが心の中で考えていることが、なぜかスクリーンと化した背もたれにダダ洩れしています。
スケベなことを考えてることがバレバレです。
その隣の教授は、デートプランか何かを考えているのでしょうか?
そうそう、会場は撮影禁止となっていますが。
ブラジルやメキシコを訪問した福沢が、
その影響を受けて描いた作品の数々を紹介したコーナーにある・・・
《埋葬》 という作品だけは、撮影が可能となっていました。
《埋葬》 1957年 東京国立近代美術館蔵
ちなみに、この 《埋葬》 という作品を90度横倒しにし、
それを原画として制作されたのが、東京駅にあるステンドグラス作品 《天地創造》 なのだとか。
(参考:新・無料で観れる 美術百選 《東京駅 その2(東京都千代田区)》)
東京駅で 《天地創造》 を目にするたびに、
「どこかどう天地創造なのかよくわかんないなァ (苦笑)」 と首を傾げていたのですが。
なるほど。そのまま首を傾げた状態で、観てみれば良かったのですね。
1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!
"福沢一郎展 このどうしようもない世界を笑いとばせ" という展覧会。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)
昨年生誕120周年を迎え、回顧展が開催されたり、関連本が出版されたりするなど、
一部研究者の間で今最もキテる洋画家といっても過言ではない福沢一郎の大規模な展覧会です。
福沢一郎といえば、若き日に渡仏したフランスで、
当時流行していたシュルレアリスムに衝撃を受け、帰国後、日本に紹介した人物。
1930年代には、前衛美術運動のリーダーとして活躍しますが、それを理由に、
戦時下の警察から目を付けられ、美術評論家の瀧口修造とともに約7か月の拘留を受けました。
これまでの福沢一郎展では、そんなシュルレアリストとしての福沢一郎や、
戦時中に当局から弾圧を受けた一件が中心に紹介されることが多かったですが。
今回の展覧会では、シュルレアリスムに出逢う前の初期の作品から、
人々が争う様子をモチーフにした晩年の作品まで、
これまであまりフィーチャーされなかった部分も含めて、万遍なく紹介されています。
生涯現役の画家であった福沢一郎。
その歩みをきちんと追うことができる展覧会です。
福沢一郎を知らなかった人はもちろん、
福沢一郎について知った気になっていた方にも、足を運んで頂きたい展覧会。
展覧会でこのどうしようもない世界を笑いとばす前に、展覧会に行く予定をとばしませぬように。
さてさて、今回の福沢一郎展に出展されている作品数は、
珍しい写真作品や88年ぶりの公開となる油彩画などを含む計103点。
《静物(叔母の肖像)》 1930年 千葉県立成東高等学校蔵
その中で特に印象に残った作品をいくつかまとめてご紹介いたしましょう。
まずは、展覧会のメインビジュアルにも使われている 《煽動者》 です。
《煽動者》 1931年 一般財団法人福沢一郎記念美術財団蔵
宙に浮かぶ2人の男。
手前の男性は、なんとなくリンカーンに似ています。
あと、ちょっと中居君にも似ています。
担当学芸員さん曰く、後ろの男性は、トランプ大統領に似ているとのことでした (似てるかなぁ?)
《煽動者》 というからには、人々を煽動しているのでしょうが。
見ようによっては、口から吹き出したビームに対して、人々から抗議されているようにも見えます。
そんなところは、確かにトランプ似ている気もしなくはありません。
何はともあれ、一度目にしたら、脳裏に焼き付いて離れないインパクトの強い一枚です。
続いては、地獄をモチーフにした絵が集められた、
福沢一郎地獄絵ゾーン (=この一角だけ照明が暗めです) で・・・
ひときわ異彩を放っていたこちらの作品。
《トイレット・ペーパー地獄》 1974年 群馬県立近代美術館蔵
その名も、《トイレット・ペーパー地獄》 です。
もちろん題材は、この絵が描かれた前年に起こったオイルショック。
人々がトイレットペーパーを求め、殺到するさまを皮肉たっぷりに描いています。
もし、福沢一郎が現在まで生きていたら、
《渋谷ハロウィン地獄》 や 《ツイッター炎上地獄》 といった作品を描いていたかもしれないですね。
展覧会タイトルには、"笑いとばせ" とありますが。
「アハハ!」 と笑い飛ばせる福沢一郎作品は、意外と多くありません。
「クックックッ・・・」 と『ちびまる子ちゃん』 の野口さんのような笑いが洩れる作品が大多数。
ただ、こちらの作品は、純粋に笑いとばせました。
《教授たち 会議で他のことを考えている》 1931年 一般財団法人福沢一郎記念美術財団蔵
タイトルは、《教授たち 会議で他のことを考えている》。
おそらく、真面目な会議の真っ最中なのでしょうが、
教授たちが心の中で考えていることが、なぜかスクリーンと化した背もたれにダダ洩れしています。
スケベなことを考えてることがバレバレです。
その隣の教授は、デートプランか何かを考えているのでしょうか?
そうそう、会場は撮影禁止となっていますが。
ブラジルやメキシコを訪問した福沢が、
その影響を受けて描いた作品の数々を紹介したコーナーにある・・・
《埋葬》 という作品だけは、撮影が可能となっていました。
《埋葬》 1957年 東京国立近代美術館蔵
ちなみに、この 《埋葬》 という作品を90度横倒しにし、
それを原画として制作されたのが、東京駅にあるステンドグラス作品 《天地創造》 なのだとか。
(参考:新・無料で観れる 美術百選 《東京駅 その2(東京都千代田区)》)
東京駅で 《天地創造》 を目にするたびに、
「どこかどう天地創造なのかよくわかんないなァ (苦笑)」 と首を傾げていたのですが。
なるほど。そのまま首を傾げた状態で、観てみれば良かったのですね。
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