現在、三井記念美術館で開催されているのは、
“円覚寺の至宝 鎌倉禅林の美” という展覧会です。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)
古都・鎌倉を代表する名刹の一つで、
1282年に鎌倉幕府第8代執権北条時宗により創建された円覚寺。
その歴史と文化を総合的に紹介する展覧会です。
出展されているのは、円覚寺と円覚寺派寺院の至宝、総点数110点!
しかも、その半数が、国宝or重要文化財という豪華絢爛な展覧会です。
展覧会の見どころは、やはり 「開山箪笥」 でしょう。
開山箪笥とは、円覚寺を開山した無学祖元ゆかりの南宋、元時代の品々の総称で、
特に貴重なものであるがゆえに、普段は箪笥の引き出しの中に厳重に保管されているのだそう。
いわば、タンス貯金の元祖ともいうべき、品々です (←?)。
一括して重要文化財に指定されているという開山箪笥の一部が、今展では特別公開されています。
そんな開山箪笥の中で特に目を惹くのが、堆朱の名品の数々。
堆朱とは、彫漆の一種。
まず素地の上に、何層もの漆を塗り重ねます。
一度に塗布できる漆の層は、数十ミクロンほど。
それが固まらないと、その上に漆は塗り重ねられません。
つまり、1㎜塗り重ねるだけでも、相当の漆の量と手間が必要となります。
そうして塗り重ねた漆を、今度は彫って、レリーフ状を表していきます。
とは言え、漆の硬さは、かなりのもの。
木を彫るのとは勝手が違い、とても骨が折れるそうです。
ちなみに、彫りの際に少しでも失敗したらジエンド。
漆を塗り重ねるところから、またやり直し。
実は、こう見えて (?)、超絶技巧な逸品なのです。
もし、堆朱を見ても、「ふーん」 としか思わなかった方は、
きっと、それは鎌倉彫 (レリーフ状にした素地の上に漆を塗ったもの) と同一視したからでしょう。
そう、鎌倉彫は、堆朱を簡略化して生まれたもの。
鎌倉で鎌倉彫が産まれたのは、開山箪笥のおかげといっても過言ではないのです。
ちなみに、開山箪笥の中には、こんなものもありました。
その名は、《払子(ほっす)》。
現在では法要の際に用いられているそうですが、
元々は、蚊や蝿などを追払うためにインドで用いられた道具とのこと。
蚊や蝿って、手で追い払ったところで、何度も舞い戻ってくるんですよね。
《払子》 はどれくらいの効果があるのでしょう??
さてさて、展覧会には、開山箪笥の至宝以外にも、見どころがいっぱい。
まず何と言っても、鎌倉の仏像が充実しています。
禅宗の寺院ということで、姿勢がピンとした仏像が多いのかと思いきや。
中には、リラックスモード全開の仏像も。
個人的に強く印象に残っているのは、浄智寺の 《韋駄天像》 です。
プロポーションが、若干変。
寸詰まりな感じがします。
速く走れる気配がありませんでした。“いだてん” なのに。
また、仏像だけでなく、鎌倉と縁が深い高僧たちの像も充実しています。
こちらは、開山箪笥のオーナー・無学祖元の坐像。
手にはしっかり払子を持っています。
気になるのは、椅子に止まった2羽の鳥。
サイズやフォルム的に、雀かと思いきや、鳩とのこと。
確かに、言われてみれば、鳩サブレの鳩です。
この2羽の鳩は、鶴岡八幡宮の使者。
中国まで飛んでいき、無学祖元を日本に連れてきたそうな。
可愛く見えて、意外とタフな2羽です。
ちなみに、こちらは円覚寺と並ぶ鎌倉の名刹・建長寺の開山、蘭渓道隆の坐像。
頬骨が出て、鼻の下は長め。
そして、顎が尖っています。
だいぶ個性的な顔立ちです。
アップで見ると、若干ニヤケ顔であるのがわかります。
口元が緩むのを抑えられていません。
どことなくTEAM NACSのリーダー・森崎博之さんに似ているような。
鎌倉というと、都心から近い観光地。
そんな印象が強かったですが、いい意味で鎌倉のイメージが変わる展覧会でした。
奈良や京都とはまた違った、歴史の深い街だったのですね。
いざ円覚寺の至宝。
1位を目指して、ランキングに挑戦中。
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“円覚寺の至宝 鎌倉禅林の美” という展覧会です。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)
古都・鎌倉を代表する名刹の一つで、
1282年に鎌倉幕府第8代執権北条時宗により創建された円覚寺。
その歴史と文化を総合的に紹介する展覧会です。
出展されているのは、円覚寺と円覚寺派寺院の至宝、総点数110点!
しかも、その半数が、国宝or重要文化財という豪華絢爛な展覧会です。
展覧会の見どころは、やはり 「開山箪笥」 でしょう。
開山箪笥とは、円覚寺を開山した無学祖元ゆかりの南宋、元時代の品々の総称で、
特に貴重なものであるがゆえに、普段は箪笥の引き出しの中に厳重に保管されているのだそう。
いわば、タンス貯金の元祖ともいうべき、品々です (←?)。
一括して重要文化財に指定されているという開山箪笥の一部が、今展では特別公開されています。
そんな開山箪笥の中で特に目を惹くのが、堆朱の名品の数々。
堆朱とは、彫漆の一種。
まず素地の上に、何層もの漆を塗り重ねます。
一度に塗布できる漆の層は、数十ミクロンほど。
それが固まらないと、その上に漆は塗り重ねられません。
つまり、1㎜塗り重ねるだけでも、相当の漆の量と手間が必要となります。
そうして塗り重ねた漆を、今度は彫って、レリーフ状を表していきます。
とは言え、漆の硬さは、かなりのもの。
木を彫るのとは勝手が違い、とても骨が折れるそうです。
ちなみに、彫りの際に少しでも失敗したらジエンド。
漆を塗り重ねるところから、またやり直し。
実は、こう見えて (?)、超絶技巧な逸品なのです。
もし、堆朱を見ても、「ふーん」 としか思わなかった方は、
きっと、それは鎌倉彫 (レリーフ状にした素地の上に漆を塗ったもの) と同一視したからでしょう。
そう、鎌倉彫は、堆朱を簡略化して生まれたもの。
鎌倉で鎌倉彫が産まれたのは、開山箪笥のおかげといっても過言ではないのです。
ちなみに、開山箪笥の中には、こんなものもありました。
その名は、《払子(ほっす)》。
現在では法要の際に用いられているそうですが、
元々は、蚊や蝿などを追払うためにインドで用いられた道具とのこと。
蚊や蝿って、手で追い払ったところで、何度も舞い戻ってくるんですよね。
《払子》 はどれくらいの効果があるのでしょう??
さてさて、展覧会には、開山箪笥の至宝以外にも、見どころがいっぱい。
まず何と言っても、鎌倉の仏像が充実しています。
禅宗の寺院ということで、姿勢がピンとした仏像が多いのかと思いきや。
中には、リラックスモード全開の仏像も。
個人的に強く印象に残っているのは、浄智寺の 《韋駄天像》 です。
プロポーションが、若干変。
寸詰まりな感じがします。
速く走れる気配がありませんでした。“いだてん” なのに。
また、仏像だけでなく、鎌倉と縁が深い高僧たちの像も充実しています。
こちらは、開山箪笥のオーナー・無学祖元の坐像。
手にはしっかり払子を持っています。
気になるのは、椅子に止まった2羽の鳥。
サイズやフォルム的に、雀かと思いきや、鳩とのこと。
確かに、言われてみれば、鳩サブレの鳩です。
この2羽の鳩は、鶴岡八幡宮の使者。
中国まで飛んでいき、無学祖元を日本に連れてきたそうな。
可愛く見えて、意外とタフな2羽です。
ちなみに、こちらは円覚寺と並ぶ鎌倉の名刹・建長寺の開山、蘭渓道隆の坐像。
頬骨が出て、鼻の下は長め。
そして、顎が尖っています。
だいぶ個性的な顔立ちです。
アップで見ると、若干ニヤケ顔であるのがわかります。
口元が緩むのを抑えられていません。
どことなくTEAM NACSのリーダー・森崎博之さんに似ているような。
鎌倉というと、都心から近い観光地。
そんな印象が強かったですが、いい意味で鎌倉のイメージが変わる展覧会でした。
奈良や京都とはまた違った、歴史の深い街だったのですね。
いざ円覚寺の至宝。
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