“ドジっ娘はトーストをくわえて登校する” や、
“崖やビルの上で、事件の真相を告白する” など、
漫画やドラマの世界に、たくさんのお約束があるように。
“貴族の女性が雪玉で遊んでいるなら、それはきっと『源氏物語』 のワンシーン” や、
土佐光起 《源氏物語朝顔図》(部分) 絹本着色 日本・江戸時代 17世紀 根津美術館蔵
“中国の儒学者・周茂叔は、蓮とセットで描かれがち” など、
重要美術品 伝小栗宗湛 《周茂叔愛蓮図》(部分) 紙本墨画淡彩 日本・室町時代 15−16世紀
日本の古美術の世界にも、たくさんのお約束があるようです。
そんな日本絵画におけるテーマ (画題) の数々を紹介してくれるのが、
現在、根津美術館で開催中の展覧会、“はじめての古美術鑑賞 絵画のテーマ” 。
観るだけで、古美術の鑑賞レベルがアップする展覧会です。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)
タイトルに、“はじめての” とはありますが。
決して、初心者のためだけの展覧会ではありません。
日本美術が好きな人の3割しか知らないことを教えてくれるので、中級者や上級者にもオススメ。
ハナタカさんになれること請け合いです。
例えば、こちらの水墨画をご覧ください。
伝馬遠 《林和靖観梅図》 絹本墨画淡彩 中国・元時代 14世紀 根津美術館蔵
画面右側に、ハットリくんの頭巾みたいなのをかぶった男性が描かれています。
彼は、一体何者なのか。
名札など付いていないので、特定するのは不可能なような気がします。
しかし、実は、絵の中に十分なヒントが描かれており、
その正体を北宋の詩人・林和靖と特定できるのだそうです。
20年間、深い山でひっそりと孤独に暮らした林和靖。
彼は、庭に梅を植え、鶴を飼っていたとのこと。
確かに、この絵の中には、梅も鶴も描かれていますね。
ちなみに、梅と鶴をこよなく愛した林和靖は、
尋ねてきた役人に対して、こんな発言をしたのだそう。
「梅が妻、鶴が子」。
今風に言えば (?)、「梅は俺の嫁。鶴は俺の娘」 ですね。
また例えば、こちらの伝牧谿の 《蘆蟹図》 をご覧ください。
伝牧谿 《蘆蟹図》 絹本墨画 中国・元~明時代 14世紀 根津美術館蔵
一見すると、蟹と蘆 (あし) が描かれただけの何の変哲もない絵ですが、
実は、この絵には、「合格祈願」「学業成就」 の願いが込められているのだそうです。
かつて中国には、科挙というエリート官僚を選抜する試験がありました。
その上位の合格者は、上から甲、乙、丙と振り分けられます。
トップオブトップである甲に選ばれるのは、たった3名のみ。
甲と言えば、甲羅。甲羅と言えば、蟹。
そう。蟹の絵には、そんな甲への合格祈願の意味が込められているのだとか。
また、科挙の合格者を読み上げる儀式を、伝臚 (でんろ) というのだそうで、
そこから、伝臚の 「臚」 と同じ発音の 「蘆」 が描かれるようになったとのこと。
・・・・・・・・って、連想が回りくどいにもほどがあります。
“蟹と蘆・・・・・あぁ、なるほど!甲と伝臚を掛けているのか!”
そんな風にノーヒントでわかるヤツは、そもそも余裕で科挙に合格できるはずです。
ちなみに。
今回出展されていた中で、特に印象に残っているのが、伝牧谿の 《猿猴図》 という一枚。
伝牧谿 《猿猴図》(部分) 絹本墨画 日本・江戸時代 17世紀 根津美術館蔵
猿・・・なのかも、イマイチ定かではない謎の生物が描かれています。
そして、その表情は、完全に死んでました。
見れば見るほど、逆にこちらの精気を奪われるようでした。
こっちみんな!
表情と言えば、《朱衣達磨図》 も印象的な一枚でした。
江月宗玩賛 《朱衣達磨図》(部分) 絹本着色 日本・室町時代 16世紀 栃木・長林寺蔵
坊主っぽい頭といい、赤系統の服といい。
三遊亭好楽を彷彿とさせるものがあります。
そして、その表情は、大喜利の回答をしたあとのドヤ顔を彷彿とさせるものがありました。
といったところで、本日のブログはお開き。また明日。
┃会期:2019年5月25日(土)~7月7日(土)
┃会場:根津美術館
┃http://www.nezu-muse.or.jp/jp/exhibition/index.html
1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!
“崖やビルの上で、事件の真相を告白する” など、
漫画やドラマの世界に、たくさんのお約束があるように。
“貴族の女性が雪玉で遊んでいるなら、それはきっと『源氏物語』 のワンシーン” や、
土佐光起 《源氏物語朝顔図》(部分) 絹本着色 日本・江戸時代 17世紀 根津美術館蔵
“中国の儒学者・周茂叔は、蓮とセットで描かれがち” など、
重要美術品 伝小栗宗湛 《周茂叔愛蓮図》(部分) 紙本墨画淡彩 日本・室町時代 15−16世紀
日本の古美術の世界にも、たくさんのお約束があるようです。
そんな日本絵画におけるテーマ (画題) の数々を紹介してくれるのが、
現在、根津美術館で開催中の展覧会、“はじめての古美術鑑賞 絵画のテーマ” 。
観るだけで、古美術の鑑賞レベルがアップする展覧会です。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)
タイトルに、“はじめての” とはありますが。
決して、初心者のためだけの展覧会ではありません。
日本美術が好きな人の3割しか知らないことを教えてくれるので、中級者や上級者にもオススメ。
ハナタカさんになれること請け合いです。
例えば、こちらの水墨画をご覧ください。
伝馬遠 《林和靖観梅図》 絹本墨画淡彩 中国・元時代 14世紀 根津美術館蔵
画面右側に、ハットリくんの頭巾みたいなのをかぶった男性が描かれています。
彼は、一体何者なのか。
名札など付いていないので、特定するのは不可能なような気がします。
しかし、実は、絵の中に十分なヒントが描かれており、
その正体を北宋の詩人・林和靖と特定できるのだそうです。
20年間、深い山でひっそりと孤独に暮らした林和靖。
彼は、庭に梅を植え、鶴を飼っていたとのこと。
確かに、この絵の中には、梅も鶴も描かれていますね。
ちなみに、梅と鶴をこよなく愛した林和靖は、
尋ねてきた役人に対して、こんな発言をしたのだそう。
「梅が妻、鶴が子」。
今風に言えば (?)、「梅は俺の嫁。鶴は俺の娘」 ですね。
また例えば、こちらの伝牧谿の 《蘆蟹図》 をご覧ください。
伝牧谿 《蘆蟹図》 絹本墨画 中国・元~明時代 14世紀 根津美術館蔵
一見すると、蟹と蘆 (あし) が描かれただけの何の変哲もない絵ですが、
実は、この絵には、「合格祈願」「学業成就」 の願いが込められているのだそうです。
かつて中国には、科挙というエリート官僚を選抜する試験がありました。
その上位の合格者は、上から甲、乙、丙と振り分けられます。
トップオブトップである甲に選ばれるのは、たった3名のみ。
甲と言えば、甲羅。甲羅と言えば、蟹。
そう。蟹の絵には、そんな甲への合格祈願の意味が込められているのだとか。
また、科挙の合格者を読み上げる儀式を、伝臚 (でんろ) というのだそうで、
そこから、伝臚の 「臚」 と同じ発音の 「蘆」 が描かれるようになったとのこと。
・・・・・・・・って、連想が回りくどいにもほどがあります。
“蟹と蘆・・・・・あぁ、なるほど!甲と伝臚を掛けているのか!”
そんな風にノーヒントでわかるヤツは、そもそも余裕で科挙に合格できるはずです。
ちなみに。
今回出展されていた中で、特に印象に残っているのが、伝牧谿の 《猿猴図》 という一枚。
伝牧谿 《猿猴図》(部分) 絹本墨画 日本・江戸時代 17世紀 根津美術館蔵
猿・・・なのかも、イマイチ定かではない謎の生物が描かれています。
そして、その表情は、完全に死んでました。
見れば見るほど、逆にこちらの精気を奪われるようでした。
こっちみんな!
表情と言えば、《朱衣達磨図》 も印象的な一枚でした。
江月宗玩賛 《朱衣達磨図》(部分) 絹本着色 日本・室町時代 16世紀 栃木・長林寺蔵
坊主っぽい頭といい、赤系統の服といい。
三遊亭好楽を彷彿とさせるものがあります。
そして、その表情は、大喜利の回答をしたあとのドヤ顔を彷彿とさせるものがありました。
といったところで、本日のブログはお開き。また明日。
┃会期:2019年5月25日(土)~7月7日(土)
┃会場:根津美術館
┃http://www.nezu-muse.or.jp/jp/exhibition/index.html
1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!