現在、太田記念美術館で開催されているのは、“江戸の凸凹 ― 高低差を歩く” という展覧会です。
こちらは、台地や谷や、低地といった江戸 (東京) の凸凹、
つまり、地形の高低差に焦点を当てたユニークな浮世絵展です。
『ブラタモリ』 ファン必見の展覧会と言えましょう。
西側には武蔵野台地が、東側には低地が広がり、
実は日本でも、いや、世界でも屈指の凸凹タウンである東京。
今ではすっかり、ビルなどの高い建物が乱立し、
地形の起伏はあまり感じられないかもしれませんが。
高低差を意識して描かれた浮世絵を観れば、その凸凹っぷりを実感せざるを得ません。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)
しかも、神田に目黒に品川に王子にエトセトラに、
実に都内のあちらこちらに、凸凹な地形は点在しています。
東京には、“何でもある” と言いますが、まさかこれほどまでに高低差もあったとは。
東京の新たな一面を知れる展覧会でもありました。
なぜ、凸凹を描くのか?
「そこに凸凹があるから」 というような、
特に深い理由もなく描かれたであろう浮世絵もありましたが。
中には、昇亭北寿の 《東都芝愛宕山 遠望品川海》 や、
葛飾北斎の 《諸国瀧廻 東都葵ヶ丘の滝》 のように、
まず間違いなく、凸凹を意図的に描いた作品も多く存在していました。
とりわけ凸凹愛 (?) を感じたのが、
歌川広重の 《名所江戸百景 品川御殿やま》 という一枚です。
黒船に備え、急きょお台場を建設することになった江戸幕府。
そのため、大量の土砂が必要となり、御殿山一体の地形をごっそりと削り取りました。
その削り取られたあとの姿を描いたのが、この一枚。
正直なところ、風景としては全く味気がありません (笑)
しかし、あえてこの風景を描いた広重。
もしかしたら、元祖地形マニアだったのかもしれませんね。
ちなみに、そんな広重は、タモさんよりも 『全力坂』 よりも先に、
東京の坂をフィーチャーした 《東都名所坂つくし》 なるシリーズも手掛けていたのだそう。
やはり地形マニアであった可能性は濃厚です。
さてさて、今回出展されていた中で、
印象的だった浮世絵をいくつかご紹介いたしましょう。
まずは、北尾政美の 《浮繪東都中洲夕涼之景》 という一枚。
夜空にリボンのような謎の飛行物体が飛んでいるのかと思いきや。
あのリンゴの皮を剥いたようなのは、花火なのだそうです。
江戸の花火大会は、今よりも相当に地味だったのかもしれませんね。
続いては、歌川豊春の 《江戸名所 上野仁王門之図》。
上野の大通りから、いわゆる上野の山 (上野恩寵公園) を望むアングルで描かれた作品です。
注目すべきは、手前に描かれた3つの橋。
これは不忍池から流れる川にかけられた橋なのだそう。
さて、現在、その橋は3つとも残っていませんが、
橋があった場所で、行列のできる老舗の甘味処が営業をしています。
その名は、あんみつ みはし。
そう、三つの橋があった場所にあったから、店名が 「みはし」 なのだそうです。
あんみつ みはしで使える蘊蓄です。
最後に紹介したいのは、歌川広重の 《江都名所》 シリーズ。
担当した学芸員さん曰く、
「こういう展覧会でないと展示する機会がない広重屈指の地味なシリーズ」 とのことです。
確かに、全体的に華や見どころのない地味な絵でした。
広重自身も、このシリーズにそこまで思い入れがないのでしょうか。
タイトル部分のデザインが、雑にもほどがありました。
80年代のB級ゾンビ映画のようなセンスです。
1位を目指して、ランキングに挑戦中。
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こちらは、台地や谷や、低地といった江戸 (東京) の凸凹、
つまり、地形の高低差に焦点を当てたユニークな浮世絵展です。
『ブラタモリ』 ファン必見の展覧会と言えましょう。
西側には武蔵野台地が、東側には低地が広がり、
実は日本でも、いや、世界でも屈指の凸凹タウンである東京。
今ではすっかり、ビルなどの高い建物が乱立し、
地形の起伏はあまり感じられないかもしれませんが。
高低差を意識して描かれた浮世絵を観れば、その凸凹っぷりを実感せざるを得ません。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)
しかも、神田に目黒に品川に王子にエトセトラに、
実に都内のあちらこちらに、凸凹な地形は点在しています。
東京には、“何でもある” と言いますが、まさかこれほどまでに高低差もあったとは。
東京の新たな一面を知れる展覧会でもありました。
なぜ、凸凹を描くのか?
「そこに凸凹があるから」 というような、
特に深い理由もなく描かれたであろう浮世絵もありましたが。
中には、昇亭北寿の 《東都芝愛宕山 遠望品川海》 や、
葛飾北斎の 《諸国瀧廻 東都葵ヶ丘の滝》 のように、
まず間違いなく、凸凹を意図的に描いた作品も多く存在していました。
とりわけ凸凹愛 (?) を感じたのが、
歌川広重の 《名所江戸百景 品川御殿やま》 という一枚です。
黒船に備え、急きょお台場を建設することになった江戸幕府。
そのため、大量の土砂が必要となり、御殿山一体の地形をごっそりと削り取りました。
その削り取られたあとの姿を描いたのが、この一枚。
正直なところ、風景としては全く味気がありません (笑)
しかし、あえてこの風景を描いた広重。
もしかしたら、元祖地形マニアだったのかもしれませんね。
ちなみに、そんな広重は、タモさんよりも 『全力坂』 よりも先に、
東京の坂をフィーチャーした 《東都名所坂つくし》 なるシリーズも手掛けていたのだそう。
やはり地形マニアであった可能性は濃厚です。
さてさて、今回出展されていた中で、
印象的だった浮世絵をいくつかご紹介いたしましょう。
まずは、北尾政美の 《浮繪東都中洲夕涼之景》 という一枚。
夜空にリボンのような謎の飛行物体が飛んでいるのかと思いきや。
あのリンゴの皮を剥いたようなのは、花火なのだそうです。
江戸の花火大会は、今よりも相当に地味だったのかもしれませんね。
続いては、歌川豊春の 《江戸名所 上野仁王門之図》。
上野の大通りから、いわゆる上野の山 (上野恩寵公園) を望むアングルで描かれた作品です。
注目すべきは、手前に描かれた3つの橋。
これは不忍池から流れる川にかけられた橋なのだそう。
さて、現在、その橋は3つとも残っていませんが、
橋があった場所で、行列のできる老舗の甘味処が営業をしています。
その名は、あんみつ みはし。
そう、三つの橋があった場所にあったから、店名が 「みはし」 なのだそうです。
あんみつ みはしで使える蘊蓄です。
最後に紹介したいのは、歌川広重の 《江都名所》 シリーズ。
担当した学芸員さん曰く、
「こういう展覧会でないと展示する機会がない広重屈指の地味なシリーズ」 とのことです。
確かに、全体的に華や見どころのない地味な絵でした。
広重自身も、このシリーズにそこまで思い入れがないのでしょうか。
タイトル部分のデザインが、雑にもほどがありました。
80年代のB級ゾンビ映画のようなセンスです。
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