現在、東京ステーションギャラリーが猛プッシュしているのは、
サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ (1868~1944) というアーティスト。
その日本初となる大々的な回顧展 “メスキータ” を開催しています。
東京ステーションギャラリーで、
「えっ、誰??」 というアーティストの回顧展が開催されるのは、もはやデフォルト。
そして、それらの展覧会がすこぶる面白いのも、デフォルト。
今回の “メスキータ” 展もご多分に漏れず、面白かったです。
すべらんなぁ~。
さてさて、こちらの版画のモデルとなっているのが、今回の主役メスキータ。
ユダヤ系オランダ人としてアムステルダムに生まれた人物です。
《メメント・モリ(頭蓋骨と自画像)》 1926年、個人蔵 Photo: J&M Zweerts
《メメント・モリ(頭蓋骨と自画像)》 以外にも、いくつか自画像が紹介されていましたが・・・
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)
どれもこれも、違う顔でした。
結局のところ、どういう顔だったのでしょう??
そんないくつもの顔を持つ (?) メスキータですが、
芸術家としても、版画家、デザイナー、美術学校での指導者と、いくつもの顔を持っていました。
生涯を通じて、多くの版画作品を残すも、
1944年に、妻と息子とともにナチスに拘束されてしまいます。
その数か月後、彼と妻はアウシュヴィッツで、息子は別の強制収容所で殺害されてしまいました。
さて、僕らが今こうしてメスキータの作品を鑑賞できるのは、
自宅に残されていた彼の作品を、ナチスから必死に守った彼の友人や教え子たちのおかげです。
その教え子たちの中の一人が、何を隠そう、だまし絵でお馴染みのM.C.エッシャー。
「エッシャーが、命懸けで守った男。」 という、
展覧会のキャッチコピーには、そういう意味が込められていたのです。
とはいえ、“あのエッシャーを指導したから”、“あのエッシャーが作品を守ったから”、
「だから、メスキータの作品は貴重なので観ておくべき!」 というわけでは決してなく。
純粋に一人の版画家として、作品が面白いのです。
むしろ、これまでフィーチャーされてこなかったのが不思議なほどに、どの作品も魅力的でした。
もしかしたら、逆にエッシャーのせいで、
これまで影に隠れてしまっていたのかもしれません。
メスキータの版画作品の魅力。
それは何と言っても、その独創性にあります。
一つとして、普通 (?) の作品がないのです。
例えば、メスキータが人物画を制作すると、こんな風に仕上がります。
《ヤープ・イェスルン・デ・メスキータの肖像》 1922年、個人蔵 Photo: J&M Zweerts
野生爆弾くっきーの白塗りモノマネのようにも見えますが、もちろんそうではありません。
実の息子ヤープを描いた肖像画なのだそう。
鼻と鼻の下の表現が、独特も独特です。
目の下には、『DEATH NOTE』 のLばりのクマがあるのかと思いきや、その正体はメガネとのこと。
この表現もまた独特です。
ついでにいえば、格子状の背景もなかなかに独特。
この1枚に、どれだけオリジナリティを詰め込んでいるのでしょう。
また例えば、メスキータがシカをモチーフに制作すると、こんな風に仕上がります。
哺乳類と鳥類の中間のような顔立ち。
2本の角は、ちょうど (?) 三角形を形づくっています。
あまりに個性的すぎるため、しばらく見ていると、
「あれっ?僕が思い浮かべているシカのほうが違っているのかな??」 と不安になってきました。
またまた例えば、メスキータが花をモチーフに制作すると、こんな風に仕上がります。
花と葉はともかくも。
その背景を謎の紋様がビッシリと埋め尽くしています。
それによる何かしらの効果があるのかと言われれば・・・・・おそらく一切無いのでしょう。
ただ単純に面白そうだから、“やってみた”。
そんな印象を受けました。
会場には、この他にも、普通じゃない作品がズラリ。
メスキータワールドにどっぷりとハマることができます。
どの作品もインパクトがありましたが、個人的に一番印象に残っているのは、
そのシチュエーションからして独創的な 《ファンタジー:稲妻を見る二人》 という作品。
《ファンタジー:稲妻を見る二人》 1914年、個人蔵 Photo: J&M Zweerts
大の大人が2人して、稲妻を無表情で見つめるって、どんな状況だよ。
それも、目ん玉ひん剥いて。
・・・・・そういえば、肝心の稲妻の表現は貧弱だな!
稲妻よりも、2人のほうがよっぽどインパクトあるわ!
と、カミナリばりにツッコミたくなる作品でした。
最後に、もう一点強く印象に残った作品を。
《母と子》 という一枚です。
白と黒のクッキリとしたコントラスト。
何より、母と子の組み合わさり方。
短絡的な発想であるのは重々承知していますが、
この一枚が、エッシャーに大きく影響を与えたのかも、と想像せずにはいられませんでした。
1位を目指して、ランキングに挑戦中。
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サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ (1868~1944) というアーティスト。
その日本初となる大々的な回顧展 “メスキータ” を開催しています。
東京ステーションギャラリーで、
「えっ、誰??」 というアーティストの回顧展が開催されるのは、もはやデフォルト。
そして、それらの展覧会がすこぶる面白いのも、デフォルト。
今回の “メスキータ” 展もご多分に漏れず、面白かったです。
すべらんなぁ~。
さてさて、こちらの版画のモデルとなっているのが、今回の主役メスキータ。
ユダヤ系オランダ人としてアムステルダムに生まれた人物です。
《メメント・モリ(頭蓋骨と自画像)》 1926年、個人蔵 Photo: J&M Zweerts
《メメント・モリ(頭蓋骨と自画像)》 以外にも、いくつか自画像が紹介されていましたが・・・
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)
どれもこれも、違う顔でした。
結局のところ、どういう顔だったのでしょう??
そんないくつもの顔を持つ (?) メスキータですが、
芸術家としても、版画家、デザイナー、美術学校での指導者と、いくつもの顔を持っていました。
生涯を通じて、多くの版画作品を残すも、
1944年に、妻と息子とともにナチスに拘束されてしまいます。
その数か月後、彼と妻はアウシュヴィッツで、息子は別の強制収容所で殺害されてしまいました。
さて、僕らが今こうしてメスキータの作品を鑑賞できるのは、
自宅に残されていた彼の作品を、ナチスから必死に守った彼の友人や教え子たちのおかげです。
その教え子たちの中の一人が、何を隠そう、だまし絵でお馴染みのM.C.エッシャー。
「エッシャーが、命懸けで守った男。」 という、
展覧会のキャッチコピーには、そういう意味が込められていたのです。
とはいえ、“あのエッシャーを指導したから”、“あのエッシャーが作品を守ったから”、
「だから、メスキータの作品は貴重なので観ておくべき!」 というわけでは決してなく。
純粋に一人の版画家として、作品が面白いのです。
むしろ、これまでフィーチャーされてこなかったのが不思議なほどに、どの作品も魅力的でした。
もしかしたら、逆にエッシャーのせいで、
これまで影に隠れてしまっていたのかもしれません。
メスキータの版画作品の魅力。
それは何と言っても、その独創性にあります。
一つとして、普通 (?) の作品がないのです。
例えば、メスキータが人物画を制作すると、こんな風に仕上がります。
《ヤープ・イェスルン・デ・メスキータの肖像》 1922年、個人蔵 Photo: J&M Zweerts
野生爆弾くっきーの白塗りモノマネのようにも見えますが、もちろんそうではありません。
実の息子ヤープを描いた肖像画なのだそう。
鼻と鼻の下の表現が、独特も独特です。
目の下には、『DEATH NOTE』 のLばりのクマがあるのかと思いきや、その正体はメガネとのこと。
この表現もまた独特です。
ついでにいえば、格子状の背景もなかなかに独特。
この1枚に、どれだけオリジナリティを詰め込んでいるのでしょう。
また例えば、メスキータがシカをモチーフに制作すると、こんな風に仕上がります。
哺乳類と鳥類の中間のような顔立ち。
2本の角は、ちょうど (?) 三角形を形づくっています。
あまりに個性的すぎるため、しばらく見ていると、
「あれっ?僕が思い浮かべているシカのほうが違っているのかな??」 と不安になってきました。
またまた例えば、メスキータが花をモチーフに制作すると、こんな風に仕上がります。
花と葉はともかくも。
その背景を謎の紋様がビッシリと埋め尽くしています。
それによる何かしらの効果があるのかと言われれば・・・・・おそらく一切無いのでしょう。
ただ単純に面白そうだから、“やってみた”。
そんな印象を受けました。
会場には、この他にも、普通じゃない作品がズラリ。
メスキータワールドにどっぷりとハマることができます。
どの作品もインパクトがありましたが、個人的に一番印象に残っているのは、
そのシチュエーションからして独創的な 《ファンタジー:稲妻を見る二人》 という作品。
《ファンタジー:稲妻を見る二人》 1914年、個人蔵 Photo: J&M Zweerts
大の大人が2人して、稲妻を無表情で見つめるって、どんな状況だよ。
それも、目ん玉ひん剥いて。
・・・・・そういえば、肝心の稲妻の表現は貧弱だな!
稲妻よりも、2人のほうがよっぽどインパクトあるわ!
と、カミナリばりにツッコミたくなる作品でした。
最後に、もう一点強く印象に残った作品を。
《母と子》 という一枚です。
白と黒のクッキリとしたコントラスト。
何より、母と子の組み合わさり方。
短絡的な発想であるのは重々承知していますが、
この一枚が、エッシャーに大きく影響を与えたのかも、と想像せずにはいられませんでした。
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