現在、東京都美術館のギャラリーA・B・Cでは、
“伊庭靖子展 まなざしのあわい” という展覧会が開催されています。
こちらは、美術界の第一線で活躍する伊庭靖子さんの、
美術館では10年ぶりとなる、東京では初となる個展です。
伊庭さんといえば、自ら撮影した写真をもとに写実的な絵画を制作するアーティスト。
作品のモチーフとして選ばれているのは、クッションや陶磁器といった身近なアイテム、
それも、ニトリや東急ハンズで売っていそうな、ごくごくありふれたタイプのアイテムです。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)
そんなクッションが、ただクローズアップして描かれているだけなのに。
そんな陶磁器が、ただ大きな画面に描かれているだけなのに。
実物の作品を前にすると、胸を打つほどの感動を覚えます。
それは、「クッションや陶器が本物そっくりでビックリ!」 という単純な感動ではありません。
おそらく伊庭さんはもととなる写真を哲学者なみに、来る日も来る日も見つめているのでしょう。
そうして掴み取ったモチーフの本質や存在感、
モチーフと光や空気との関係性といったものまでを、作品に描き込んでいるのではなかろうか。
少し大袈裟にいえば、彼女の眼を通した “この世界のあり方” が描かれているように思えるのです。
伊庭さんの作品と向き合った際に湧きおこる 「この世界はこんな風に見えるんだ!」 という感覚。
それは、初めてコンタクトレンズを目に入れたときの感激、
「この世界はこんなにもクッキリしてたんだ!」 という感覚に近いものがあります。
伊庭さんの作品を観れば、心も眼も晴れること請け合いです。
さてさて、今回の最新個展には、新作も数多く出展されていました。
その一つが、こちらのシリーズ。
伊庭靖子 《Untitled 2018-02》 油彩・カンヴァス 作家蔵(協力:MA2 Gallery) 撮影:木奥惠三 Keizo Kioku
これらは東京都美術館の中で撮影した写真をもとに描いたシリーズだそうで、
モチーフとなっている壺には、透明なアクリルボックスが被せられています。
アクリルボックスが加わったことで、光が反射したり、
周囲の風景が写り込んだり、なんとも複雑なことになっていました。
また、アクリルボックスというヴェールに包まれたことで、
モチーフの壺は、その本質が掴めそうで掴めず、どこかミステリアスな雰囲気を醸し出しています。
そんなモデル (?) のミステリアスな雰囲気と、全体を包みこみ柔らかな光の加減と。
あくま僕の中での勝手なイメージですが、
なんとなくマキアージュのCMっぽい印象を受けました。
また、展覧会のラストで発表されていたのは、
伊庭さん初めて取り組んだという映像作品 《depth #2019》 。
大きなスクリーンに映し出されているのは、テレビの砂嵐・・・・・ではなく、
ステレオグラム (立体視)、いわゆる、『目が良くなるマジカルアイ』 の映像版です。
じーっと見つめ続けていると、何やら映像が浮かび上がってきます。
作品を鑑賞している間、視力もアップするというお得な作品です (←?)。
なお、僕は小学生の頃から、なぜか異常に立体視が得意なので、一発で見えましたが。
世の中には、立体視が苦手という方も・・・。
しかし、どうぞご安心くださいませ。
反対側のスクリーンには、立体視の映像をつくる過程の映像も。
一部は、「こう見えますよ」 という同じ場面が映し出されています。
これまでの作風とはあきらかに違うので、若干戸惑いはありましたが。
よくよく考えると、“見つめ続けることで新たなイメージが浮かび上がる” という意味では、
これまでの絵画作品も、こちらの映像作品も、スタンスは共通しているのかもしれませんね。
ちなみに、どの作品もじーっと見つめ続けたくなるものばかりでしたが、
とりわけ長い時間、じーっと見つめ続けてしまったのは、《Untitled 2015-01》 という一枚です。
さまざまな陶磁器やガラス瓶が、不思議なフォーメーションで描かれています。
背景は、まるでNHKの体操番組のセットのよう (←?)。
そのため、今にも陶磁器やガラス瓶が動き出しそうな予感があります。
“静” 物画でありながら、“動” を感じる一枚でした。
それと、展示された場所も含めて、
じーっと見つめ続けてしまったのが、《Untitled 2018-04》。
絵に描かれた陶器のつるつるしっとりした触感と、
展示室内のゴツゴツザラザラした壁が、実に対照的です。
というか、これまでに何度も東京都美術館を訪れていますが、
このときほど、展示室の壁を意識的に眺めたことはありませんでした。
伊庭さんの作品の数々に触れたおかげで、
どうやらモノをじーっと見つめる癖が付いてしまったようです。
┃会期:2019年7月20日(土)~10月9日(水)
┃会場:東京都美術館 ギャラリーA・B・C
┃https://panasonic.co.jp/ls/museum/exhibition/19/190706/index.html
~読者の皆様へのプレゼント~
こちらの “伊庭靖子展” の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、8月13日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。
1位を目指して、ランキングに挑戦中。
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“伊庭靖子展 まなざしのあわい” という展覧会が開催されています。
こちらは、美術界の第一線で活躍する伊庭靖子さんの、
美術館では10年ぶりとなる、東京では初となる個展です。
伊庭さんといえば、自ら撮影した写真をもとに写実的な絵画を制作するアーティスト。
作品のモチーフとして選ばれているのは、クッションや陶磁器といった身近なアイテム、
それも、ニトリや東急ハンズで売っていそうな、ごくごくありふれたタイプのアイテムです。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)
そんなクッションが、ただクローズアップして描かれているだけなのに。
そんな陶磁器が、ただ大きな画面に描かれているだけなのに。
実物の作品を前にすると、胸を打つほどの感動を覚えます。
それは、「クッションや陶器が本物そっくりでビックリ!」 という単純な感動ではありません。
おそらく伊庭さんはもととなる写真を哲学者なみに、来る日も来る日も見つめているのでしょう。
そうして掴み取ったモチーフの本質や存在感、
モチーフと光や空気との関係性といったものまでを、作品に描き込んでいるのではなかろうか。
少し大袈裟にいえば、彼女の眼を通した “この世界のあり方” が描かれているように思えるのです。
伊庭さんの作品と向き合った際に湧きおこる 「この世界はこんな風に見えるんだ!」 という感覚。
それは、初めてコンタクトレンズを目に入れたときの感激、
「この世界はこんなにもクッキリしてたんだ!」 という感覚に近いものがあります。
伊庭さんの作品を観れば、心も眼も晴れること請け合いです。
さてさて、今回の最新個展には、新作も数多く出展されていました。
その一つが、こちらのシリーズ。
伊庭靖子 《Untitled 2018-02》 油彩・カンヴァス 作家蔵(協力:MA2 Gallery) 撮影:木奥惠三 Keizo Kioku
これらは東京都美術館の中で撮影した写真をもとに描いたシリーズだそうで、
モチーフとなっている壺には、透明なアクリルボックスが被せられています。
アクリルボックスが加わったことで、光が反射したり、
周囲の風景が写り込んだり、なんとも複雑なことになっていました。
また、アクリルボックスというヴェールに包まれたことで、
モチーフの壺は、その本質が掴めそうで掴めず、どこかミステリアスな雰囲気を醸し出しています。
そんなモデル (?) のミステリアスな雰囲気と、全体を包みこみ柔らかな光の加減と。
あくま僕の中での勝手なイメージですが、
なんとなくマキアージュのCMっぽい印象を受けました。
また、展覧会のラストで発表されていたのは、
伊庭さん初めて取り組んだという映像作品 《depth #2019》 。
大きなスクリーンに映し出されているのは、テレビの砂嵐・・・・・ではなく、
ステレオグラム (立体視)、いわゆる、『目が良くなるマジカルアイ』 の映像版です。
じーっと見つめ続けていると、何やら映像が浮かび上がってきます。
作品を鑑賞している間、視力もアップするというお得な作品です (←?)。
なお、僕は小学生の頃から、なぜか異常に立体視が得意なので、一発で見えましたが。
世の中には、立体視が苦手という方も・・・。
しかし、どうぞご安心くださいませ。
反対側のスクリーンには、立体視の映像をつくる過程の映像も。
一部は、「こう見えますよ」 という同じ場面が映し出されています。
これまでの作風とはあきらかに違うので、若干戸惑いはありましたが。
よくよく考えると、“見つめ続けることで新たなイメージが浮かび上がる” という意味では、
これまでの絵画作品も、こちらの映像作品も、スタンスは共通しているのかもしれませんね。
ちなみに、どの作品もじーっと見つめ続けたくなるものばかりでしたが、
とりわけ長い時間、じーっと見つめ続けてしまったのは、《Untitled 2015-01》 という一枚です。
さまざまな陶磁器やガラス瓶が、不思議なフォーメーションで描かれています。
背景は、まるでNHKの体操番組のセットのよう (←?)。
そのため、今にも陶磁器やガラス瓶が動き出しそうな予感があります。
“静” 物画でありながら、“動” を感じる一枚でした。
それと、展示された場所も含めて、
じーっと見つめ続けてしまったのが、《Untitled 2018-04》。
絵に描かれた陶器のつるつるしっとりした触感と、
展示室内のゴツゴツザラザラした壁が、実に対照的です。
というか、これまでに何度も東京都美術館を訪れていますが、
このときほど、展示室の壁を意識的に眺めたことはありませんでした。
伊庭さんの作品の数々に触れたおかげで、
どうやらモノをじーっと見つめる癖が付いてしまったようです。
┃会期:2019年7月20日(土)~10月9日(水)
┃会場:東京都美術館 ギャラリーA・B・C
┃https://panasonic.co.jp/ls/museum/exhibition/19/190706/index.html
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こちらの “伊庭靖子展” の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、8月13日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。
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