森アーツセンターギャラリーで開催中の・・・
“大英博物館 古代エジプト展” に行ってきました。
エジプト展と言えば・・・。
先日、上野の森美術館で開催中の “ツタンカーメン展” を訪れて、軽いショックを受けたばかり
そこで植えつけられたエジプト展に対する不信感は、いまだに解消されていません。
そんな中、あえて “大英博物館 古代エジプト展” に行ってみたのですが。
結論としては、行ってみて、正解でした。いや、大正解でした。
“ツタンカーメン展” の半額で入場できますし、
“ツタンカーメン展” よりも混んでいなかったですし、
(とは言え、エジプト展は人気コンテンツのため、普通の美術展に比べると混んでいます)
何よりも、 “ツタンカーメン展” よりも見応えがありました!
“ツタンカーメン展” と期間が被らなかったら、
こちらの展覧会の方に、もっと人気が集中したはず。
“大英博物館 古代エジプト展” で唯一残念な点は、そのタイミングの悪さです (笑)
この展覧会の目玉は何と言っても、
全長37メートルにも及ぶ世界最大の 『死者の書』 である 《グリーンフィールド・パピルス》 。
昨年、大英博物館で全容が初公開されたばかりで、
イギリス国外で全公開されるのは、この日本での展覧会が初めて、という超貴重な展示品です。
会場では、全37メートルの 《グリーンフィールド・パピルス》 が余すことなく、一挙に展示されています。
保管上の理由から、全部で96点のシートに分けられている 《グリーンフィールド・パピルス》 が、
森アーツセンターギャラリーの会場に、一堂に並んでいるその様は、まさに壮観。
今年の夏の思い出の1ページに、確実に刻まれる光景でした。
さてさて、ここで、 『死者の書』 について、簡単に説明を。
『死者の書』 とは、その名前から、おどろおどろしいイメージが浮かびますが、
実際は、たくさん試練が待つ旅路で、死者に守護の力を与える呪文集のこと
《グリーンフィールド・パピルス》 で例を挙げれば、
この挿絵の下には、呪文がヒエログリフで書かれているのですが、
それを唱えれば、 “このようにワニやヘビが向きを変えて逃げていきますよ♪” ということ。
呪文を唱えるには、当然、口を開けることが出来なくてはいけません。
そこで、 《グリーンフィールド・パピルス》 の中には、死者の口を開ける儀式の方法も描かれています。
(下の画像は、参考までに、別の “口開け儀式” 様子を描いたもの。今回の展覧会に出展されています)
他にも、難所である冥界の丘や冥界の門についてのガイドなども詳細に記されていて、
『死者の書』 とは、いわば、“死人版るるぶ” や “冥界の歩き方” のようなガイドブックの的な書です。
今回、 《グリーンフィールド・パピルス》 で、死後の世界を知って、まず思ったことは・・・
「死んだら大変だなぁ (笑) 」
ということ。
死ぬのは、簡単でしょうが。
死んでからが、とても困難です。
SASUKEばりの難所を、いくつも通過しなければならないのです。
しかし、それでも、まだ最大の難所が待ち構えています。
それは、オシリス神による “審判”
死者は、ここで、 「~しませんでした。」 という42か条の罪の否定告白をしなければなりません。
少しでも間違えると、自分の心臓は怪物アメミトに食べられてしまいます。
そこで、ゲームオーバー。
楽園である “イアルの野”(画像下) には行けないのです。
その42か条の罪の否定告白は、こちらのページで見ることが出来ます。
1条に 「盗みをしなかったこと」 があって、
4条にも、 「盗みをしなかったこと」 があります。
大事なことだから2度言ったのでしょうか?
ちなみに、僕は、32条の 「会話中に言葉を増やさなかったこと」 に抵触する可能性が大です (笑)
あの世で、心臓が食べられてしまうのでしょうか。。。
また、 《グリーンフィールド・パピルス》 に関して言えば、途中で現れる謎のキャラクターに要注目です。
研究者も、なんだかわかっていない謎キャラとのこと。
オバケのQ太郎の元ネタかもしれません。
さてさて、すっかり 《グリーンフィールド・パピルス》 の紹介に終始してしまいましたが。
もちろん、展示は、これだけに非ず。
《オシリス神像》 に、
《パセンホルの木棺》 に、
《ミイラマスク》 に。
大英博物館が世界に誇るエジプトコレクションが約180点も展示されています。
どれも見応え十分ですので、時間には余裕を持って、お出かけくださいませ。
《グリーンフィールド・パピルス》 以外で、個人的なオススメは、 《動物の風刺パピルス》 。
猫やハイエナが、アヒルやヤギの群れを飼育し、
ライオンとガゼルが、ゲームで遊んでいます。
およそ3000年以上も前から、動物を擬人化した作品があったのかと思うと、大変興味深いです。
エジプト版鳥獣戯画図といった印象でした。
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大英博物館 古代エジプト展
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