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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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バスキア展 メイド・イン・ジャパン

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ジャン=ミシェル・バスキア
©Roland Hagenberg



1980年代に、彗星のごとく現れ、
わずか27歳でこの世を去った天才画家ジャン=ミシェル・バスキア。
生前からカリスマ的人気を誇っていましたが、
ここ近年、ロンドンやパリで回顧展が開催されるなど、世界規模でその人気が高まっています。

そんなバスキアの日本初となる大規模な展覧会が、
森アーツセンターギャラリー (六本木ヒルズ森タワー52階) で開催中です。
その名も、“バスキア展 メイド・イン・ジャパン”
今年の芸術の秋、もっとも話題の展覧会です。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。なお、数点の作品に限り、写真撮影は可能です)


こちらは、ロンドンやパリで開催されたものとは一味も二味も違う日本オリジナルの展覧会。
「日本とバスキアのつながり」 に焦点が当てられています。
日本とバスキア。
何も接点が無いような印象がありますが、実はバスキアは3度ほど来日しています。
さらに、自身の作品の中に、日本のモチーフを多く取り入れているのです。
例えば、こちらの 《炭素/酸素》 という一枚。


ジャン=ミシェル・バスキア
Carbon/Oxygen, 1984
acrylic, oilstick and silkscreen on canvas
224 x 196 cm
Hall Collection
Photo: Raul Valverde / onwhitewall.com
Artwork © Estate of Jean-Michel Basquiat.
Licensed by Artestar, New York



画面の右上に、明らかに五重塔的なものが描かれています。
(画面の中央には、『名探偵コナン』 の犯人的なものが描かれていますが、それはきっと関係ありません!)


また例えば、こちらの 《プラスティックのサックス》 という一枚。


ジャン=ミシェル・バスキア
Plastic Sax, 1984
agnès b collection
Artwork © Estate of Jean-Michel Basquiat.
Licensed by Artestar, New York



よく見ると、画面のあちこちに、「おりがみ」 の文字が見て取れます。
しかも、右下には、昔懐かしのトーヨーの折り紙のパッケージも描かれています。
日本のテクノロジーや文化に、大いに感銘を受けたというバスキア。
中でも特に感銘を受けたのが、日本の折り紙だったのだとか。
そう聞いて、急にバスキアが身近に感じられました (笑)

日本のモチーフが取り入れられた作品がいくつもある中で、
個人的に印象に残っているのは、こちらのよく似た2点の作品です。


Artwork © Estate of Jean-Michel Basquiat.
Licensed by Artestar, New York



どちらの作品にも、『200YEN』 の文字が書き込まれていました。
バスキア作品なのに、だいぶリーズナブルです(笑)
なお、左側の作品のタイトルは、《偽り》 とのこと。
危うく騙されて買ってしまうところでした (←?)。


さてさて、今回のバスキア展。
当初、出品数は80点と予告されていましたが、
蓋を開けてみれば大幅に増えて、なんと1.5倍以上の約130点に!
その中には、日本各地の公立美術館が所蔵するバスキア作品や、


Artwork © Estate of Jean-Michel Basquiat.
Licensed by Artestar, New York



株式会社ZOZOの創立者の前澤さんが約123億円で購入して話題となったあの作品も。


ジャン=ミシェル・バスキア
Untitled, 1982
Yusaku Maezawa collectionyusaku,Chiba
Artwork © Estate of Jean-Michel Basquiat.
Licensed by Artestar, New York



さらには、国内外のアートコレクターが所有する貴重なコレクションも数多く含まれています。
美術館が所蔵している作品は、仮に見逃したとしても、
その美術館を訪れれば、観られる可能性は大いにありますが。
個人蔵の作品に関しては、よほどのコネクションが無い限り、まず目にすることは出来ません。
これだけのバスキア作品を集めるのは、おそらく二度と実現不可能。
そういう意味でも、この秋必見の展覧会です。
星星星
ただし、会期はわずか2ヶ月ほど。
バスキアの人生並みに駆け抜けてしまうので、ご注意を!

ちなみに。
今回の展覧会を通じて、何よりも感じたのは、バスキアのスピード感。


ジャン=ミシェル・バスキア
Fooey, 1982
The Museum of art,Kochi
Artwork © Estate of Jean-Michel Basquiat.
Licensed by Artestar, New York



バスキアの作品には、まったく迷いが感じられません。
おそらくアドリブで楽しみながら、サササッと制作していたのでしょう。
実際はそんなことはないのでしょうが、
作品によっては、「秒で完成させた?」 と思わせるものもありました。
これまでは、アクションペインティングのポロックの作品にスピードを感じていましたが、
バスキア作品と比べてしまうと、ポロックのストロークは、まるでハエが止まってるかのよう。
それくらいに、バスキアの作品には圧倒的なスピード感があります。
おそらく、このスピード感が、スマホ社会のスピーディーな現代人にマッチしているのでは?
ここ近年改めてバスキアの評価が高まっているのには、そんな理由もあるのかもしれません。


さてさて、バスキアのパワーにすっかり当てられ、
展覧会を観終える頃には、バスキア熱は最高潮に!
バスキアの絵画が欲しいところですが、さすがに買えません (泣)。
せめてグッズコーナーで、バスキアグッズを。


(注:数に限りあり。完売次第、販売終了となるそうです)


キャップ、フーディ、リュック、ベアブリック…etc
中にはヨガマットもありました。
前澤さんにあやかって、バスキアのある生活を送ってみようと思います。




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