日本初の私立美術館とされる大倉集古館。
一代で大倉財閥を作り上げた大倉喜八郎が、
大正6年に自邸の敷地の一角に創設した東洋美術を専門とする美術館です。
そんな大倉集古館は、2014年より増改築工事のため休館していました。
以降、5年半にも及ぶ長い休館期間を経て、今年9月。
ホテルオークラ東京本館が、The Okura Tokyoへと生まれ変わった、
そのほぼ同じタイミングで、大倉集古館もついにリニューアルオープンしたのです!
・・・・・とはいえ、伊東忠太が設計した独特な建築の外観は、ほぼ昔のまま。
美術館の周囲の雰囲気も、リニューアル前と何ら変わりないように思えます。
ちなみに、建物前に設置されていた・・・・・
大倉喜八郎の立派なブロンズ像も健在。
入り口脇にベンチに座ったマスコットキャラ (?) がいるのは、
世界広しといえど、大倉集古館かマクドナルドくらいなものでしょう。
と、ほとんど何も変化していないだけに、
「何でリニューアルに5年半もかかったんだろう?」 と、はなはだ疑問だったのですが。
中に入ってみて、その理由が判明しました。
かつては地上2階建ての建物でしたが、
リニューアルにより、地上2階地下1階の建物に!
そう、地下1階分まるまる新たなスペースが生まれていたのです。
また、実は曳家工事により、以前の位置から少しだけ場所が移動しているのだそう。
こう見えて (?)、かなりの大工事だったのですね。
そりゃ5年半もかかるのも納得です。
そんな大倉集古館のリニューアルを記念して、
1階展示室で開催されていたのが、“大倉集古館名品展” という展覧会。
国宝の 《古今和歌集序》 や、
国宝 《古今和歌集序》(部分) 平安時代・12世紀 (注:展示期間は9/12~10/14)
横山大観の大作 《夜桜》 を筆頭に、
横山大観 《夜桜》(左隻) 昭和4年(1929)
大倉集古館コレクションを代表する作品の数々を、
惜しげもなく一挙大公開した、大盤振る舞いな展覧会です。
5年半待った甲斐がありました。
さらに、2階の展示室では、リニューアル1発目として、
“大倉集古館リニューアル記念特別展 桃源郷展―蕪村・呉春が夢みたもの―” という特別展が開催中。
こちらは、桃源郷をテーマにした展覧会で、
師弟関係にある与謝蕪村と呉春の2人が描いた作品を中心に紹介するものです。
「桃源郷=ユートピア」 なのかと思いきや、どうやらそう単純ではない様子。
似てはいるもの、厳密にいえば、単なる理想郷とは違うようです。
桃源郷が登場するのは、中国の詩人・陶淵明が記した 『桃花源記』。
趙伯駒(款) 《武陵桃源図巻》(部分) 明末~清初・17世紀 林原美術館蔵
時は10世紀。武陵という土地に、とある漁師がいました。
ある日、彼は道に迷ってしまいます。
すると、桃花の林が現れました。
さらに、彼は進むと、豊かな集落へとたどり着きました。
そこの住民たちに、漁師は何日も手厚い歓待を受けたのです。
岐路に着く際、彼は村人から、
「この場所のことは、くれぐれも語らないように!」 と念を押されました。
帰宅後、結局のところ、漁師は他の人に、その場所の情報を漏らしてしまいます (←口、軽っ!)
しかし、誰一人として、その地を訪れることは出来なかったのだそうな。
二度と訪れることができなかった不思議な土地。
それが、桃源郷の最大のポイントであろうそうです。
さてさて、この題材を与謝蕪村は妙に気に入っていたようで、
晩年に何点も桃源郷をモチーフにした作品に残しているのだとか。
与謝蕪村 《武陵桃源図》左幅(2幅のうち) 江戸・安永10年(1781)個人蔵
さらに、弟子である呉春もまた、
桃源郷をモチーフにした作品をいくつも残しているそうです。
こちらの 《武陵桃源図屏風》 も、そのうちの一つ。
呉春 《武陵桃源図屏風》(左隻部分) 江戸時代・18世紀 大倉集古館蔵
こちらは、休館期間中に大倉集古館が、
ポップアートコレクションで知られるキミコ・パワーズさんから購入したという作品で、
日本で公開されるのは今回が初、いうなれば今展の目玉作品です。
桃のピンク色はうっすらと残っていましたが、全体的には薄茶色。
色味が地味すぎて、桃源郷感はそれほど感じられませんでした。
この絵を含め、全体艇に色味が茶系。
リニューアルオープンの特別展としては、やや地味な印象でした。
ちなみに。
”桃源郷展” の作品よりもインパクトがあったのは、
呉春繋がりで地下通路に貼られていた逸翁美術館での展覧会ポスターです。
完全に 『ゴジラ』 を意識したポスター。
公式が病気です (笑)
逸翁美術館にめちゃめちゃ行ってみたくなりました。
1位を目指して、ランキングに挑戦中。
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一代で大倉財閥を作り上げた大倉喜八郎が、
大正6年に自邸の敷地の一角に創設した東洋美術を専門とする美術館です。
そんな大倉集古館は、2014年より増改築工事のため休館していました。
以降、5年半にも及ぶ長い休館期間を経て、今年9月。
ホテルオークラ東京本館が、The Okura Tokyoへと生まれ変わった、
そのほぼ同じタイミングで、大倉集古館もついにリニューアルオープンしたのです!
・・・・・とはいえ、伊東忠太が設計した独特な建築の外観は、ほぼ昔のまま。
美術館の周囲の雰囲気も、リニューアル前と何ら変わりないように思えます。
ちなみに、建物前に設置されていた・・・・・
大倉喜八郎の立派なブロンズ像も健在。
入り口脇にベンチに座ったマスコットキャラ (?) がいるのは、
世界広しといえど、大倉集古館かマクドナルドくらいなものでしょう。
と、ほとんど何も変化していないだけに、
「何でリニューアルに5年半もかかったんだろう?」 と、はなはだ疑問だったのですが。
中に入ってみて、その理由が判明しました。
かつては地上2階建ての建物でしたが、
リニューアルにより、地上2階地下1階の建物に!
そう、地下1階分まるまる新たなスペースが生まれていたのです。
また、実は曳家工事により、以前の位置から少しだけ場所が移動しているのだそう。
こう見えて (?)、かなりの大工事だったのですね。
そりゃ5年半もかかるのも納得です。
そんな大倉集古館のリニューアルを記念して、
1階展示室で開催されていたのが、“大倉集古館名品展” という展覧会。
国宝の 《古今和歌集序》 や、
国宝 《古今和歌集序》(部分) 平安時代・12世紀 (注:展示期間は9/12~10/14)
横山大観の大作 《夜桜》 を筆頭に、
横山大観 《夜桜》(左隻) 昭和4年(1929)
大倉集古館コレクションを代表する作品の数々を、
惜しげもなく一挙大公開した、大盤振る舞いな展覧会です。
5年半待った甲斐がありました。
さらに、2階の展示室では、リニューアル1発目として、
“大倉集古館リニューアル記念特別展 桃源郷展―蕪村・呉春が夢みたもの―” という特別展が開催中。
こちらは、桃源郷をテーマにした展覧会で、
師弟関係にある与謝蕪村と呉春の2人が描いた作品を中心に紹介するものです。
「桃源郷=ユートピア」 なのかと思いきや、どうやらそう単純ではない様子。
似てはいるもの、厳密にいえば、単なる理想郷とは違うようです。
桃源郷が登場するのは、中国の詩人・陶淵明が記した 『桃花源記』。
趙伯駒(款) 《武陵桃源図巻》(部分) 明末~清初・17世紀 林原美術館蔵
時は10世紀。武陵という土地に、とある漁師がいました。
ある日、彼は道に迷ってしまいます。
すると、桃花の林が現れました。
さらに、彼は進むと、豊かな集落へとたどり着きました。
そこの住民たちに、漁師は何日も手厚い歓待を受けたのです。
岐路に着く際、彼は村人から、
「この場所のことは、くれぐれも語らないように!」 と念を押されました。
帰宅後、結局のところ、漁師は他の人に、その場所の情報を漏らしてしまいます (←口、軽っ!)
しかし、誰一人として、その地を訪れることは出来なかったのだそうな。
二度と訪れることができなかった不思議な土地。
それが、桃源郷の最大のポイントであろうそうです。
さてさて、この題材を与謝蕪村は妙に気に入っていたようで、
晩年に何点も桃源郷をモチーフにした作品に残しているのだとか。
与謝蕪村 《武陵桃源図》左幅(2幅のうち) 江戸・安永10年(1781)個人蔵
さらに、弟子である呉春もまた、
桃源郷をモチーフにした作品をいくつも残しているそうです。
こちらの 《武陵桃源図屏風》 も、そのうちの一つ。
呉春 《武陵桃源図屏風》(左隻部分) 江戸時代・18世紀 大倉集古館蔵
こちらは、休館期間中に大倉集古館が、
ポップアートコレクションで知られるキミコ・パワーズさんから購入したという作品で、
日本で公開されるのは今回が初、いうなれば今展の目玉作品です。
桃のピンク色はうっすらと残っていましたが、全体的には薄茶色。
色味が地味すぎて、桃源郷感はそれほど感じられませんでした。
この絵を含め、全体艇に色味が茶系。
リニューアルオープンの特別展としては、やや地味な印象でした。
ちなみに。
”桃源郷展” の作品よりもインパクトがあったのは、
呉春繋がりで地下通路に貼られていた逸翁美術館での展覧会ポスターです。
完全に 『ゴジラ』 を意識したポスター。
公式が病気です (笑)
逸翁美術館にめちゃめちゃ行ってみたくなりました。
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