今年も、菊池ビエンナーレの季節がやってきました。
年齢制限無し。サイズ制限無し。
2年に1度の現代陶芸の祭典、ガチンコバトルです。
第8回となる今回には、日本国内を中心に総数276点がエントリー!
入選作は過去最大となる52点でした。
その入選作全点が、今、菊池寛実記念 智美術館で開催中の展覧会、
“第8回菊池ビエンナーレ 現代陶芸の〈今〉” で一挙大公開されています。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
栄えあるグランプリ、つまり大賞に輝いたのは、
佐賀県有田町在住の中村清吾さんによる 《白磁鉢》 という作品です。
緊張感もありつつ、柔らかさもありつつ。
シンプルながらオリジナリティあるそのフォルムは、
カブトムシやクワガタムシなどの甲虫をイメージしているのだそう。
確かに、そう言われると、甲虫のように見えてきます。
それだけに、陶芸というよりも、バイオテクノロジーに近いものを感じました。
続く優秀賞に輝いたのは、こちらの作品。
一見すると、ロシア・アヴァンギャルドのタワーのようにも思えますが、
福岡の小石原焼の “若きホープ” 森山寛二郎さんの 《切り継ぎ―廻―》 という作品です。
「切り継ぎ」 とは、森山さんのオリジナルの技法。
ロクロで成形したモノを一旦切って開き、
それらを継いで組み合わせることで、これまでにない形を作り出しています。
“そんな面倒くさいことしないで、最初からこの形を作ればいいんじゃね??”
とも思いましたが、おそらくロクロで作らないと、この独特な弧は生まれないのでしょうね。
なお、奨励賞を受賞したのは、今回も前回と同じく3名。
伊藤公洋さんの 《志野彩文盤》、
中里浩子さんの 《Flower Scapes》、
高橋朋子さんの 《銀彩塞器 皓月》 が、それぞれ受賞しています。
さてさて、菊池ビエンナーレは、かれこれ第5回から拝見していますが。
今回の第8回でもっとも印象的だったのは、
常連組があまり参加していなかったということ。
まるで、和牛やミキ、カミナリが出ない今年のM−1のようです。
また、ベテランや中堅作家に混じって、1991年生まれの青木岳文さんや、
1991年生まれの川瀬理央さん、
1992年生まれの田中陽子さんなど、
フレッシュな若手作家が目立っていたのも印象的でした。
今、お笑い界は、“お笑い第7世代” が注目を集めていますが、
陶芸界にも、“陶芸第○世代” が台頭し始めているのかもしれません。
ちなみに、前回、20代で奨励賞を受賞した若手の注目株、釣光穂さん。
今年は惜しくも入賞を逃してしまいましたが、独自のアミモノ陶芸 (※) は今回も健在。
(※粘土をひも状に細く撚って、編み物をするように下から積み上げて制作する技法)
個人的には、前回の作品よりも、
仕上がりが綺麗に、かつ、色がよりポップになっていたように感じました。
第9回こそ、大賞か優秀賞を!
こうして気になる作家を見つけて応援できるのが、菊池ビエンナーレの醍醐味ですね。
今回の入選作の中で特に気になったのは、波部圭亮さんの 《平成器》 。
平成時代に最も作られた器=ペットボトルを、
陶で大量に制作したコンセプチュアルな作品です。
コカコーラだとかアクエリアスだとか、
特には具体的なモデルはないとのことでしたが。
(形的には、ブレンディ?)
あえて錆びさせているため、表面は緑色とゴールドに。
その取り合わせのせいで、ついついライフガードを思い浮かべてしまいました。
それからもう一つ気になったのが、大塚茂吉さんの 《ふりむく猫》 です。
もともとは、画家だったという大塚茂吉さん。
訪れたイタリアで、テラコッタに出会い、
陶芸による立体像を制作するようになったのだそうです。
特徴的なのは、その表面。
全体的にビッシリ無数に穴を開け、
その穴に象嵌の技法で白土を埋めているのだとか。
ニャンとも手間のかかる作品です。
1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!