歌川広重や歌川国貞、歌川国芳・・・といった、
数々の浮世絵師を輩出した浮世絵界の最大派閥 “歌川派” 。
その知られざる系譜にスポットを当てた展覧会が、現在、弥生美術館で開催されています。
その名も、“もうひとつの歌川派?! 国芳・芳年・年英・英朋・朋世” です。
歌川派の系譜として、一般的に知られているのは、
「歌川国芳→月岡芳年→水野年方→鏑木清方→伊東深水」 というライン。
しかし、今回の展覧会が注目したのは・・・
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
「歌川国芳→月岡芳年→右田年英→鰭崎英朋→神保朋世」 というラインです。
師匠の名前の1字をちゃんと弟子が受け継いでいるため、
名前を並べると、「国芳→芳年→年英→英朋→朋世」 と、まるでしりとりのようになっています。
さて、展覧会の冒頭を飾るのは、もちろん歌川国芳と月岡芳年。
(注:浮世絵作品は、期間中、展示替えがあります)
弥生美術館で浮世絵が展示されるのは、かなりのレアケース。
それだけに、ちょっとしか展示されていないだろうと決めつけていたのですが (←?)。
代表作や他では珍しい作品などが取り揃えられており、意外と充実したラインナップでした。
浮世絵ファンの皆さま、要チェックですよ。
続いて紹介されていたのは、右田年英。
月岡芳年門下の四天王の一人で、
同じく四天王の水野年方と双璧をなす実力の持ち主です。
確かに、どの作品も国芳や芳年と比べても遜色の無い出来映え。
浮世絵が衰退してしまった明治・大正時代ではなく、
もう少し早い時代に生まれていたら、もっと有名な浮世絵師になっていたかもしれません。
ちなみに、展覧会では、年英一門の集合写真も紹介されていました。
童顔だったのでしょう。
良い意味で、師匠感がまったく感じられませんでした。
師匠と弟子、というよりも、サークルの集合写真のよう。
さらに、弟子たちとともに侍のコスプレをした写真も紹介されていました。
一番右の下っ端みたいな格好をしているのが年英。
武将の格好しないんかい!
その偉ぶらない姿に、右田年英の好感度が爆上がりしました。
そんな年英の弟子たちの中でエース的存在だったのが、鰭崎英朋です。
読み方は、ひれざきえいほう。
彼の 「鰭崎」 という変わった名字には、こんな由来があるのだそう。
その昔、先祖が源頼朝にご馳走を振る舞ったところ、
あろうことか、頼朝の喉に魚の鰭が刺さってしまったのだそうです。
それゆえに、鰭崎。
鰭崎一族は、一生その時の失敗を背負って生きていかねばならないのですね。
と、それはさておきまして。
鰭崎英朋といえば、明治から大正にかけて活躍した挿絵界のスーパースターです。
一見、浮世絵とはまったく関係ないような印象を受けますが、
彼の代表作として知られる、泉鏡花 『続風流線』 の口絵の一部にご注目。
明治末期の作品なのに、国芳が使用していた芳桐印が見て取れます。
当時、まだ若手だった英朋。
売れっ子・泉鏡花の口絵に抜擢されたその大仕事に、
テンションが上がり、並々ならぬ決意を込めて、芳桐印を刻み込んだのかもしれません。
とにかく、系譜はきちんと受け継がれていたようです。
ちなみに、会場では数多くの鰭崎英朋作品が紹介されていますが、
中でも特に見逃せないのは、《焼けあと》 という日本画作品。
こちらは、長らく行方不明で、つい先日新発見されたばかり。
実に115年ぶりの公開となる作品です!
↑あまりにも貴重なので、煽ることにしました (笑)
100年以上も前の作品とは思えないほど、綺麗な状態です。
気になる方は、是非、弥生美術館へ!
さて、展覧会のラストを飾るのは、神保朋世 (じんぼともよ)。
『銭形平次捕物控』 の挿絵でも知られる挿絵画家です。
明治34年生まれで、平成6年にお亡くなりになったのだそう。
国芳から続く系譜は、なんと平成まで続いていたのですね。
なお、展覧会では、彼ら以外にも、
国芳、芳年の遺伝子を引き継いだ挿絵画家の作品も紹介されています。
最中の先祖はマカロンですが、挿絵の先祖は浮世絵だった?!
そんな新たな事実を発見できる展覧会でした。
ちなみに。
弥生美術館に併設された竹久夢二美術館では、
“はいからモダン袴スタイル展” という展覧会が開催中です。
こちらは、女性の袴スタイルをテーマにした展覧会。
いつ頃から女性が袴を履くようになったのか?
タカラジェンヌの袴はなぜ緑なのか?
卒業式に袴を着るようになった意外な理由とは?
袴についてのあれこれがよくわかる展覧会です。
“もうひとつの歌川派?!” と同じチケットで鑑賞できるので、併せてお楽しみくださいませ。
┃会期:2020年1月7日(火)~3月29日(日)
┃会場:弥生美術館
┃http://www.yayoi-yumeji-museum.jp/index.html
~読者の皆様へのプレゼント~
“もうひとつの歌川派?!展” の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、1月15日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。
1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!
数々の浮世絵師を輩出した浮世絵界の最大派閥 “歌川派” 。
その知られざる系譜にスポットを当てた展覧会が、現在、弥生美術館で開催されています。
その名も、“もうひとつの歌川派?! 国芳・芳年・年英・英朋・朋世” です。
歌川派の系譜として、一般的に知られているのは、
「歌川国芳→月岡芳年→水野年方→鏑木清方→伊東深水」 というライン。
しかし、今回の展覧会が注目したのは・・・
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
「歌川国芳→月岡芳年→右田年英→鰭崎英朋→神保朋世」 というラインです。
師匠の名前の1字をちゃんと弟子が受け継いでいるため、
名前を並べると、「国芳→芳年→年英→英朋→朋世」 と、まるでしりとりのようになっています。
さて、展覧会の冒頭を飾るのは、もちろん歌川国芳と月岡芳年。
(注:浮世絵作品は、期間中、展示替えがあります)
弥生美術館で浮世絵が展示されるのは、かなりのレアケース。
それだけに、ちょっとしか展示されていないだろうと決めつけていたのですが (←?)。
代表作や他では珍しい作品などが取り揃えられており、意外と充実したラインナップでした。
浮世絵ファンの皆さま、要チェックですよ。
続いて紹介されていたのは、右田年英。
月岡芳年門下の四天王の一人で、
同じく四天王の水野年方と双璧をなす実力の持ち主です。
確かに、どの作品も国芳や芳年と比べても遜色の無い出来映え。
浮世絵が衰退してしまった明治・大正時代ではなく、
もう少し早い時代に生まれていたら、もっと有名な浮世絵師になっていたかもしれません。
ちなみに、展覧会では、年英一門の集合写真も紹介されていました。
童顔だったのでしょう。
良い意味で、師匠感がまったく感じられませんでした。
師匠と弟子、というよりも、サークルの集合写真のよう。
さらに、弟子たちとともに侍のコスプレをした写真も紹介されていました。
一番右の下っ端みたいな格好をしているのが年英。
武将の格好しないんかい!
その偉ぶらない姿に、右田年英の好感度が爆上がりしました。
そんな年英の弟子たちの中でエース的存在だったのが、鰭崎英朋です。
読み方は、ひれざきえいほう。
彼の 「鰭崎」 という変わった名字には、こんな由来があるのだそう。
その昔、先祖が源頼朝にご馳走を振る舞ったところ、
あろうことか、頼朝の喉に魚の鰭が刺さってしまったのだそうです。
それゆえに、鰭崎。
鰭崎一族は、一生その時の失敗を背負って生きていかねばならないのですね。
と、それはさておきまして。
鰭崎英朋といえば、明治から大正にかけて活躍した挿絵界のスーパースターです。
一見、浮世絵とはまったく関係ないような印象を受けますが、
彼の代表作として知られる、泉鏡花 『続風流線』 の口絵の一部にご注目。
明治末期の作品なのに、国芳が使用していた芳桐印が見て取れます。
当時、まだ若手だった英朋。
売れっ子・泉鏡花の口絵に抜擢されたその大仕事に、
テンションが上がり、並々ならぬ決意を込めて、芳桐印を刻み込んだのかもしれません。
とにかく、系譜はきちんと受け継がれていたようです。
ちなみに、会場では数多くの鰭崎英朋作品が紹介されていますが、
中でも特に見逃せないのは、《焼けあと》 という日本画作品。
こちらは、長らく行方不明で、つい先日新発見されたばかり。
実に115年ぶりの公開となる作品です!
↑あまりにも貴重なので、煽ることにしました (笑)
100年以上も前の作品とは思えないほど、綺麗な状態です。
気になる方は、是非、弥生美術館へ!
さて、展覧会のラストを飾るのは、神保朋世 (じんぼともよ)。
『銭形平次捕物控』 の挿絵でも知られる挿絵画家です。
明治34年生まれで、平成6年にお亡くなりになったのだそう。
国芳から続く系譜は、なんと平成まで続いていたのですね。
なお、展覧会では、彼ら以外にも、
国芳、芳年の遺伝子を引き継いだ挿絵画家の作品も紹介されています。
最中の先祖はマカロンですが、挿絵の先祖は浮世絵だった?!
そんな新たな事実を発見できる展覧会でした。
ちなみに。
弥生美術館に併設された竹久夢二美術館では、
“はいからモダン袴スタイル展” という展覧会が開催中です。
こちらは、女性の袴スタイルをテーマにした展覧会。
いつ頃から女性が袴を履くようになったのか?
タカラジェンヌの袴はなぜ緑なのか?
卒業式に袴を着るようになった意外な理由とは?
袴についてのあれこれがよくわかる展覧会です。
“もうひとつの歌川派?!” と同じチケットで鑑賞できるので、併せてお楽しみくださいませ。
┃会期:2020年1月7日(火)~3月29日(日)
┃会場:弥生美術館
┃http://www.yayoi-yumeji-museum.jp/index.html
~読者の皆様へのプレゼント~
“もうひとつの歌川派?!展” の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、1月15日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。
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