浮世絵界の最大流派といえば、”歌川派”。
歌川豊春を祖としたこの歌川派からは、
歌川広重、歌川国芳、歌川国貞、月岡芳年をはじめ、
人気、実力ともにトップクラスの浮世絵師が多数輩出されています。
一方、日本が世界に誇る浮世絵師・葛飾北斎。
意外と知られていないかもしれませんが、
北斎にも、後世になってから、”葛飾派” と呼ばれた弟子たちがいました。
その数、孫弟子も含めて、実に200人とも言われています。
・・・・・・・・と言っても。
よほど浮世絵に詳しい人でない限り、
北斎の弟子の名前は頭にパッと浮かばないはず。
お笑い界に例えるならば、歌川派は吉本興業、
北斎一門はさしずめ、たけし軍団といったところでしょうか。
そんな今ひとつマイナーな北斎の弟子たちにスポットを当てたのが、
現在、すみだ北斎美術館で開催中の ”北斎師弟対決!” という展覧会。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。作品はすべてすみだ北斎美術館蔵)
すみだ北斎美術館のコレクションの中から、
北斎と弟子が同じテーマで描いた作品を並べて展示し、その両者を見比べる展覧会です。
左)葛飾北斎 《冨嶽三十六景 隠田の水車》 右)春婦斎北妙 《冨嶽三十六景 隠田の水車》
左)葛飾北斎 『椿説弓張月』続編 巻三 石櫃を破て曚雲出現す
右)二代葛飾戴斗 『画本西遊全伝』四編 五 青竜山の妖怪三蔵を摂去 (いずれも通期展示)
”対決!” とはありますが、
基本的には、北斎師匠の一人勝ち。
良くも悪くも、「師匠を追い抜いてやろう!」 という野心的な弟子はほぼおらず。
師匠のスタイルを、素直に自身の作品に取り入れていました。
例えば、魚屋から浮世絵師に転身した魚屋北渓 (ととやほっけい)。
彼が描いた 《養老の滝》 の滝の表現にご注目ください。
魚屋北溪 《養老の滝》
滝が勢いよく流れる様を、直線で表現しています。
この独特な表現は、北斎の滝の描き方に倣ったものなのだそう。
確かに、北斎も滝を直線で描いていますね。
葛飾北斎 《諸国瀧廻り 美濃ノ国養老の滝》
また例えば、北斎が辰政と名乗っていた時期に、
「辰」 の一字を貰ったという柳々居辰斎による 《兎手柄囃 六》。
柳々居辰斎 《兎手柄囃 六》
おそらくセクシーアピールなのでしょう。
女性が不自然なほどにお尻を突き出しています。
この江戸時代のグラビアポーズ (?) を考案したのも、北斎師匠。
葛飾北斎 《雪中二美人》
やはり不自然なほどにお尻を突き出しています。
現実で女性にこんなポーズを取られたら、
惹かれるどころか、むしろ引く気がするのですが・・・。
何はともあれ、この師匠にしてこの弟子あり、といったところです。
ちなみに。
数多く紹介されていた弟子たちの中で、
特に師匠に大きな影響を受けていたのが、二代葛飾戴斗。
二代葛飾戴斗 『神功皇后 三韓退治図会』三 翠燕孤児を将て猛虎に逢
二代葛飾戴斗 『花鳥画伝』初編 加奈阿利 (注:出展は前期のみ)
大きな影響を受けていたというか、
師匠の描いた絵を、そっくりそのまま自身の作品に採用していました。
こちらが、上で紹介した二代葛飾戴斗の元ネタとなる北斎の作品です↓
葛飾北斎 『唐詩選画本 五言律』二
葛飾北斎 《小禽》 (注:出展は前期のみ)
トレース疑惑。
もう少しオリジナリティを出してみてはいかがでしょう?
弟子たちの作品と見比べることで、
北斎のオリジナリティが、より際立っていたように思います。
葛飾北斎 『北斎漫画』三編
人魚の描き方一つとっても、
オリジナリティが爆発しています。
師匠よあなたは強かった。
そんなことを改めて実感させられる展覧会でした。
ちなみに。
そんな北斎師匠が今年の大河ドラマの主役 (?) 麒麟を描いた作品もありました。
葛飾北斎 『絵本庭訓往来』初編
戦がない世の中になった時、コイツがくるのですね。
それはそれで、新たなパニックが起こりそうな予感がします。
なお、現在、4階の展示室2では、
常設展の拡大版にあたる ”常設展プラス” が開催されていました。
こちらでは、なんと 『北斎漫画』 (複製本) の立ち読みコーナーが設けられています。
本屋やコンビニと違って、
思う存分立ち読みが楽しめますよ。
葛飾北斎先生の漫画が読めるのは、すみだ北斎美術館だけ。
┃会期:2020年2月4日(火) 〜4月5日(日)
┃※前後期で一部展示替えを実施 ◎前期(2/4~3/8) ◎後期(3/10~4/5)
┃会場:すみだ北斎美術館
┃https://hokusai-museum.jp/modules/Exhibition/#1
~読者の皆様へのプレゼント~
“北斎師弟対決!” の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、2月20日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。
1位を目指して、ランキングに挑戦中。
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歌川豊春を祖としたこの歌川派からは、
歌川広重、歌川国芳、歌川国貞、月岡芳年をはじめ、
人気、実力ともにトップクラスの浮世絵師が多数輩出されています。
一方、日本が世界に誇る浮世絵師・葛飾北斎。
意外と知られていないかもしれませんが、
北斎にも、後世になってから、”葛飾派” と呼ばれた弟子たちがいました。
その数、孫弟子も含めて、実に200人とも言われています。
・・・・・・・・と言っても。
よほど浮世絵に詳しい人でない限り、
北斎の弟子の名前は頭にパッと浮かばないはず。
お笑い界に例えるならば、歌川派は吉本興業、
北斎一門はさしずめ、たけし軍団といったところでしょうか。
そんな今ひとつマイナーな北斎の弟子たちにスポットを当てたのが、
現在、すみだ北斎美術館で開催中の ”北斎師弟対決!” という展覧会。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。作品はすべてすみだ北斎美術館蔵)
すみだ北斎美術館のコレクションの中から、
北斎と弟子が同じテーマで描いた作品を並べて展示し、その両者を見比べる展覧会です。
左)葛飾北斎 《冨嶽三十六景 隠田の水車》 右)春婦斎北妙 《冨嶽三十六景 隠田の水車》
左)葛飾北斎 『椿説弓張月』続編 巻三 石櫃を破て曚雲出現す
右)二代葛飾戴斗 『画本西遊全伝』四編 五 青竜山の妖怪三蔵を摂去 (いずれも通期展示)
”対決!” とはありますが、
基本的には、北斎師匠の一人勝ち。
良くも悪くも、「師匠を追い抜いてやろう!」 という野心的な弟子はほぼおらず。
師匠のスタイルを、素直に自身の作品に取り入れていました。
例えば、魚屋から浮世絵師に転身した魚屋北渓 (ととやほっけい)。
彼が描いた 《養老の滝》 の滝の表現にご注目ください。
魚屋北溪 《養老の滝》
滝が勢いよく流れる様を、直線で表現しています。
この独特な表現は、北斎の滝の描き方に倣ったものなのだそう。
確かに、北斎も滝を直線で描いていますね。
葛飾北斎 《諸国瀧廻り 美濃ノ国養老の滝》
また例えば、北斎が辰政と名乗っていた時期に、
「辰」 の一字を貰ったという柳々居辰斎による 《兎手柄囃 六》。
柳々居辰斎 《兎手柄囃 六》
おそらくセクシーアピールなのでしょう。
女性が不自然なほどにお尻を突き出しています。
この江戸時代のグラビアポーズ (?) を考案したのも、北斎師匠。
葛飾北斎 《雪中二美人》
やはり不自然なほどにお尻を突き出しています。
現実で女性にこんなポーズを取られたら、
惹かれるどころか、むしろ引く気がするのですが・・・。
何はともあれ、この師匠にしてこの弟子あり、といったところです。
ちなみに。
数多く紹介されていた弟子たちの中で、
特に師匠に大きな影響を受けていたのが、二代葛飾戴斗。
二代葛飾戴斗 『神功皇后 三韓退治図会』三 翠燕孤児を将て猛虎に逢
二代葛飾戴斗 『花鳥画伝』初編 加奈阿利 (注:出展は前期のみ)
大きな影響を受けていたというか、
師匠の描いた絵を、そっくりそのまま自身の作品に採用していました。
こちらが、上で紹介した二代葛飾戴斗の元ネタとなる北斎の作品です↓
葛飾北斎 『唐詩選画本 五言律』二
葛飾北斎 《小禽》 (注:出展は前期のみ)
トレース疑惑。
もう少しオリジナリティを出してみてはいかがでしょう?
弟子たちの作品と見比べることで、
北斎のオリジナリティが、より際立っていたように思います。
葛飾北斎 『北斎漫画』三編
人魚の描き方一つとっても、
オリジナリティが爆発しています。
師匠よあなたは強かった。
そんなことを改めて実感させられる展覧会でした。
ちなみに。
そんな北斎師匠が今年の大河ドラマの主役 (?) 麒麟を描いた作品もありました。
葛飾北斎 『絵本庭訓往来』初編
戦がない世の中になった時、コイツがくるのですね。
それはそれで、新たなパニックが起こりそうな予感がします。
なお、現在、4階の展示室2では、
常設展の拡大版にあたる ”常設展プラス” が開催されていました。
こちらでは、なんと 『北斎漫画』 (複製本) の立ち読みコーナーが設けられています。
本屋やコンビニと違って、
思う存分立ち読みが楽しめますよ。
葛飾北斎先生の漫画が読めるのは、すみだ北斎美術館だけ。
┃会期:2020年2月4日(火) 〜4月5日(日)
┃※前後期で一部展示替えを実施 ◎前期(2/4~3/8) ◎後期(3/10~4/5)
┃会場:すみだ北斎美術館
┃https://hokusai-museum.jp/modules/Exhibition/#1
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“北斎師弟対決!” の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、2月20日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。
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