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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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wall to wall Noriyuki Haraguchi

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渡辺省亭ブームの火付け役としても知られる加島美術。
近世から現代までの日本美術を専門とする京橋のギャラリーです。

そんな加島美術が、つい昨日の3月7日に、
神楽坂の地に新たなギャラリーをオープンさせました。





その名は、√K Contemporary (ルートK コンテンポラリー)
次世代を担う優れたアーティストを広く紹介していく現代美術専門のギャラリーです。
いうなれば、加島美術のネクストブランドといったところでしょうか。

さて、そのこけら落としとして、
現在開催されているのが、“wall to wall Noriyuki Haraguchi” という展覧会。
「もの派」 を代表するアーティストの一人で、
国内外で活躍する原口典之さん (1946~) の個展です。
ちなみに、原口さんは、5年に1度ドイツで開催される、
世界最大の国際展 “ドクメンタ” に日本人作家として初めて選出されたアーティスト。
まさに、オープニングを飾るに相応しい豪華な展覧会といえましょう。

1階と2階。
約300平米の展示スペースで紹介されていたのは、シンプルながらも、
“もの (=物質)” そのものの存在感がダイレクトに伝わってくる作品の数々。





風景の一部として溶け込む感じではなく、
ハッキリと “そこにある” ということを主張している感じがありました。
特にインパクトがあったのが、吹き抜け空間に設置された新作の 《円塔》 です。




その高さは、実に約4m。
もはやアート作品というよりも、
何か古代遺跡のモニュメントのような印象を受けました。
ちなみに、一応、売り物ではあるとのこと。
家に4m以上の吹き抜け空間がある方は、いかがでしょうか?
一家に一 《円塔》


今後の展覧会は、基本的に1階と2階の展示フロアで開催されるそうですが。
オープニングを飾る今回のスペシャルな展覧会は、
地下にある多目的レンタルスペースも会場となっています。





スペースの壁の一部が崩落しており、
思わずギョッとしていましましたが、実はこちらも原口さんの新作。





展覧会のタイトルにもなっている 《wall to wall》 です。
モルタルで壁を作り、その一部を破壊し、その開いた空間にキャンバスを貼る。
なんともダイナミックな作品です。
何も描かれていないキャンバスに、これほどまでに心を揺さぶられた経験は初めて。
いや、きっと最初で最後の経験でしょう。


また、こちらの地下スペースでは、
原口さんの代表作 《オイルプール》 も展示されています。




表面の黒く光っているものは、顔料ではなく、オイル。
それも、廃油です。




実にドラム缶12個分の廃油が、
この鉄製の巨大なプールを満たしています。
当然ですが、匂いもします。
ただの廃油と言ってしまえば、それまでなのですが。
見れば見るほど、美しく感じられました。
さらに、見つめ続けていると、神々しさすら感じられました。

ちなみに、展覧会の会期中には、
最近では俳優としても活躍しているダンサーで舞踊家の田中泯さんが、
この 《オイルプール》 の中で踊るスペシャルイベントが開催されるとのこと。
廃油にまみれながら踊るだなんて・・・。
どろんこクイズで不正解になるよりも、悲惨なことになりそうです・・・。
とはいえ、興味津々!
気になる方は、是非、公式HPをチェックくださいませ。


さらに、今回のスペシャルな展覧会は、
√K Contemporaryの屋上にも作品が設置されています。




神楽坂の景色と絶妙に調和していました。
お見忘れなきように。




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