注:ちひろ美術館・東京は、3月31日より当面のあいだ、
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、臨時休館することになりました。
今後の開館については、改めて美術館の公式サイトや、
ツイッター、フェイスブックなどでお知らせするそうです。
なお、この記事は、3月27日に書かれたものです。
先日は、ちひろ美術館・東京に行ってきました。
なんだかんだで半年ぶりの訪問。
久しぶりに訪れたら、絵本カフェのレイアウトが少し変わっていました。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
これは、新型コロナウイルスの感染症予防対策のためとのこと。
席と席の間を、十分に設けているのだそうです。
また、もう一つ変わっていたのが、
デジタルガイドが導入されていたこと。
こちらは、いわさきちひろの作品や美術館についての、多言語解説の無料配信サービス。
スマホの端末でちひろ美術館・東京のWi-Fiにアクセスした上で、
館内にあるQRコードを読み込むと、音声と文字による解説を楽しむことができるようです。
さてさて、そんなちひろ美術館・東京で、
現在開催されているのは、“没後10年 瀬川康男 坦雲亭日乗-絵と物語の間” という展覧会。
今年2020年に、没後10周年を迎える、
“絵本界の鬼才” こと瀬川康男 (1932〜2010) にスポットを当てた展覧会です。
ちなみに、タイトルにある 『坦雲亭日乗』 とは、
長野県にある古い大きな家に移り住んだ瀬川康男が、
その家を 「坦雲亭」と名付け、そこでの日々を書き記した日記のこと。
1983年の夏から、2010年に亡くなるまで、
入院中の日を除き、毎日欠かさず書き続けたそうです。
その数、実に102冊。
今展では、この 『坦雲亭日乗』 に綴られた言葉とともに、
絵本の原画やスケッチなどの瀬川作品約80点が紹介されています。
なお、サブタイトルにある “絵と物語の間” という言葉も、
『坦雲亭日乗』 に登場するこんな文章から採用されているようです。
さてさて、もし、川康男という名前にピンと来なくとも、
彼が児童文学作家の松谷みよ子と手掛けた絵本は、どこかで一度は目にしたことがあるはず。
そう、『いないいないばあ』 です。
発行部数は、680万部以上!
日本で一番売れている絵本です。
その絵を描いた人物という印象が強かったので、
なんとなく、可愛いほっこり系の展覧会を想像していたのですが・・・・・・・
いい意味で、裏切られました!!
キッチュでグロテスク。
おどろおどろしくて、かつシュールです。
一度目にしただけで、即、網膜にこびり付くような圧倒的なパワーがありました。
ちなみに、こちらは、瀬川康男のアトリエを再現したコーナー。
これまでいろんな画家のアトリエを拝見してきましたが、
瀬川康男のアトリエは、それらの中でもとりわけぶっ飛んでいた印象がありました。
圧とクセがスゴいです。
さて、そんなアトリエの再現も見どころの一つですが。
もう一つ見逃せないのが、瀬川がもっとも魂を込めた、
と言っても過言ではない 『絵巻平家物語』 シリーズの原画の数々です。
『絵巻平家物語』 は、1983年から1990年まで取り組んだ全9巻に及ぶ超大作。
平清盛や源義経など、『平家物語』 の登場人物の人生を描いたものです。
膨大な資料と取材をもとに、構想に構想を重ねたのだそう。
彼は、こんな言葉を残しています。
「絵のために苦しむことはみな苦しんだ、という気がする」 と。
それほどの力作。
彼が絵に込めた想い (情念?) が、画面からひしひしと伝わってきます。
そのため、真剣に向き合えば向き合うほど、
観ているこちらもだいぶ苦しくなってくるものがあります。
是非、適宜途中休憩を挟みながら、ご鑑賞くださいませ。
もしも、瀬川康男の展覧会で、心がオーバーヒートしてしまったら、
同時開催中の “いわさきちひろ 子どものしあわせ-12年の軌跡” へ。
こちらは、いわさきちひろが1963年から晩年までの12年間、
毎月1冊のペースで描き続けた雑誌 『子どものしあわせ』 の表紙絵を紹介する展覧会です。
これまで何度か目にしたことがあったあの絵もこの絵も、
実は、雑誌の表紙絵として描かれたものだったとは!
その意外な事実にビックリさせられました。
正直なところ、『子どものしあわせ』 という雑誌は知らなかったのですが。
1955年に創刊され、現在もなお発刊され続けているとのこと。
とりあえず、一番気になったのは、1968年9月号です。
“子どもは人質なのかスパイなのか”。
どういう2択なんだ!
何はともあれ。
こちらの展覧会で、ちひろ作品に心が癒されることは間違いなし。
瀬川康男の作品を観て、心が沸き立たされたら、
いわさきちひろの作品を観て、心をクールダウンさせて、
そしたら、また瀬川康男の作品を観て、心を沸き立たせて・・・の繰り返し。
サウナと水風呂のように、両方の展覧会を行き来しつつ、お楽しみください。
1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、臨時休館することになりました。
今後の開館については、改めて美術館の公式サイトや、
ツイッター、フェイスブックなどでお知らせするそうです。
なお、この記事は、3月27日に書かれたものです。
先日は、ちひろ美術館・東京に行ってきました。
なんだかんだで半年ぶりの訪問。
久しぶりに訪れたら、絵本カフェのレイアウトが少し変わっていました。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
これは、新型コロナウイルスの感染症予防対策のためとのこと。
席と席の間を、十分に設けているのだそうです。
また、もう一つ変わっていたのが、
デジタルガイドが導入されていたこと。
こちらは、いわさきちひろの作品や美術館についての、多言語解説の無料配信サービス。
スマホの端末でちひろ美術館・東京のWi-Fiにアクセスした上で、
館内にあるQRコードを読み込むと、音声と文字による解説を楽しむことができるようです。
さてさて、そんなちひろ美術館・東京で、
現在開催されているのは、“没後10年 瀬川康男 坦雲亭日乗-絵と物語の間” という展覧会。
今年2020年に、没後10周年を迎える、
“絵本界の鬼才” こと瀬川康男 (1932〜2010) にスポットを当てた展覧会です。
ちなみに、タイトルにある 『坦雲亭日乗』 とは、
長野県にある古い大きな家に移り住んだ瀬川康男が、
その家を 「坦雲亭」と名付け、そこでの日々を書き記した日記のこと。
1983年の夏から、2010年に亡くなるまで、
入院中の日を除き、毎日欠かさず書き続けたそうです。
その数、実に102冊。
今展では、この 『坦雲亭日乗』 に綴られた言葉とともに、
絵本の原画やスケッチなどの瀬川作品約80点が紹介されています。
なお、サブタイトルにある “絵と物語の間” という言葉も、
『坦雲亭日乗』 に登場するこんな文章から採用されているようです。
さてさて、もし、川康男という名前にピンと来なくとも、
彼が児童文学作家の松谷みよ子と手掛けた絵本は、どこかで一度は目にしたことがあるはず。
そう、『いないいないばあ』 です。
発行部数は、680万部以上!
日本で一番売れている絵本です。
その絵を描いた人物という印象が強かったので、
なんとなく、可愛いほっこり系の展覧会を想像していたのですが・・・・・・・
いい意味で、裏切られました!!
キッチュでグロテスク。
おどろおどろしくて、かつシュールです。
一度目にしただけで、即、網膜にこびり付くような圧倒的なパワーがありました。
ちなみに、こちらは、瀬川康男のアトリエを再現したコーナー。
これまでいろんな画家のアトリエを拝見してきましたが、
瀬川康男のアトリエは、それらの中でもとりわけぶっ飛んでいた印象がありました。
圧とクセがスゴいです。
さて、そんなアトリエの再現も見どころの一つですが。
もう一つ見逃せないのが、瀬川がもっとも魂を込めた、
と言っても過言ではない 『絵巻平家物語』 シリーズの原画の数々です。
『絵巻平家物語』 は、1983年から1990年まで取り組んだ全9巻に及ぶ超大作。
平清盛や源義経など、『平家物語』 の登場人物の人生を描いたものです。
膨大な資料と取材をもとに、構想に構想を重ねたのだそう。
彼は、こんな言葉を残しています。
「絵のために苦しむことはみな苦しんだ、という気がする」 と。
それほどの力作。
彼が絵に込めた想い (情念?) が、画面からひしひしと伝わってきます。
そのため、真剣に向き合えば向き合うほど、
観ているこちらもだいぶ苦しくなってくるものがあります。
是非、適宜途中休憩を挟みながら、ご鑑賞くださいませ。
もしも、瀬川康男の展覧会で、心がオーバーヒートしてしまったら、
同時開催中の “いわさきちひろ 子どものしあわせ-12年の軌跡” へ。
こちらは、いわさきちひろが1963年から晩年までの12年間、
毎月1冊のペースで描き続けた雑誌 『子どものしあわせ』 の表紙絵を紹介する展覧会です。
これまで何度か目にしたことがあったあの絵もこの絵も、
実は、雑誌の表紙絵として描かれたものだったとは!
その意外な事実にビックリさせられました。
正直なところ、『子どものしあわせ』 という雑誌は知らなかったのですが。
1955年に創刊され、現在もなお発刊され続けているとのこと。
とりあえず、一番気になったのは、1968年9月号です。
“子どもは人質なのかスパイなのか”。
どういう2択なんだ!
何はともあれ。
こちらの展覧会で、ちひろ作品に心が癒されることは間違いなし。
瀬川康男の作品を観て、心が沸き立たされたら、
いわさきちひろの作品を観て、心をクールダウンさせて、
そしたら、また瀬川康男の作品を観て、心を沸き立たせて・・・の繰り返し。
サウナと水風呂のように、両方の展覧会を行き来しつつ、お楽しみください。
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