渋谷区立松濤美術館で開催中の “藤田嗣治と愛書都市パリ ―花ひらく挿絵本の世紀―” に行ってきました。
「これまでに、どれだけの藤田嗣治作品を観てきたことでしょうか?!」
というくらいに、藤田嗣治の作品は目にしてきた気がします。
あまりに目にしているので、
もはや藤田嗣治の作品には、有難味が感じられないほどです (笑)
それだけに。
今回の渋谷区立松濤美術館での美術展も、
“あぁ、はいはい。また藤田さんね(;^□^)”
というくらいのノリで訪れました。
(↑だったら、行かなきゃいいのに!)
・・・ところが。
今回の美術展で紹介されているのは、
藤田嗣治の作品は、藤田嗣治の作品でも。
絵画作品ではなく、藤田嗣治が手がけた挿絵本の数々。
《朝日の中の黒鳥》 に、
(表紙です)
《芭蕉とその弟子のハイカイ》 など。
(「古池や蛙飛びこむ水の音」 の挿絵です)
藤田嗣治っぽい挿絵本から、藤田嗣治っぽくない挿絵本 (←?) まで。
これまで見たことのない藤田嗣治の挿絵本が、数多く展示されています。
今回の美術では、全点は紹介されていませんでしたが、
実は、藤田嗣治が生涯で手がけた挿絵本は、30点以上にも及ぶそうで、
その数は、あのピカソでも半数に及ばなかったのだとか。
そんなブックデザイナーとしての藤田嗣治の一面に、
初めてスポットを当てた美術展だけに、藤田嗣治に食指気味の僕でも、十分に楽しむことが出来ました。
ただ、王道ではなく、マニアックな美術展である感じは否めないので、
一般の人向けいうよりは、ある程度、美術が好きな玄人向けな美術展といった印象です。
個人的に、一番印象に残っているのは、
ジャン・コクトーのテキストと藤田嗣治のイラストからなる挿絵本 《海龍》 。
175部しか刷られなかったという超レアな限定本です。
他の挿絵本にも美しい挿絵はありましたが、
この挿絵本に登場する挿絵に関しては、どれもズバ抜けて美しい!
むしろ、今まで目にした藤田嗣治の油彩画よりも、僕は、こっちの挿絵のが好きかも。
藤田嗣治というと、 『乳白色の画家』 というイメージばかりが先行していますが。
この挿絵を観ると、藤田嗣治の描く線の美しさが、よくわかります。
これら以外にも、会場では、
《海龍》 の挿絵をまだまだ目にすることが出来ますので、気になった方は是非!
あまりに 《海龍》 が、自分的にツボすぎて、
正直なところ、他の作品の印象は、すべて吹っ飛んでしまいました (笑)
藤田嗣治の挿絵本だけでなく、他の同時代の画家の挿絵本も紹介されていたのですが。
やはり、それらも吹っ飛んでしまいました (笑)
強いて他に挙げるならば、 《突風》 という挿絵本に関して。
藤田嗣治によって描かれているのは、
この本の著者でもあるジュオザス・ティスリャヴァ。
“ここ最近、彼の顔を、どこかで目にしたような・・・”
と、長いことデジャヴに悩まされた末に、その答えに思い至りました。
「あっ、サカナクションのヴォーカルに似てるんだ」
最近、この曲をヘビーローテーションで視聴しているのです↓
美術館には、おそらく1時間ほど滞在したはずですが、
《海龍》 とサカナクションの印象しか残っていません。
自分の好みにバチッとハマる作品に出会うと、こういう弊害もあるのですね。
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藤田嗣治と愛書都市パリ ―花ひらく挿絵本の世紀―
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