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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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ダリとTシャツと私

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本家 (?) である “日曜” のほうでは、
まず取り上げられないであろう美術館のニッチなトピックを紹介するコラム。
それが、『月曜美術館』 。
アートファンのための会員制クラブ、アーチクラブの会報誌 「arch」 での連載ではありますが。
美術館に行きたいのに行けないSTAY HOME週間ということで特別に、
「arch」 の編集長さんとデザイナーの新貝直人さんが、過去回の公開を快諾してくださいました。

本日お届けするのは、ダリに関するお話。
日本全国のダリファンのハートを掴んで離さないあるグッズについて深掘りしました。




福島県の裏磐梯高原に、
日本全国からダリファンが集う、
ダリファンの聖地のような美術館があります。
その名は諸橋近代美術館。
大型スポーツショップSUPER SPORTS XEBIOでおなじみ、
「ゼビオ」 を創業した諸橋廷蔵氏 (1934~2003) のコレクションをもとに、
1999年に開館したアジア最大級のダリ常設美術館です。
ダリファンのお目当てはもちろん、世界でも3本の指に入るダリコレクション。
特にダリの彫刻コレクションには定評があり、
それを見るために毎年足繁く通っているダリファンも少なくありません。

また、コレクションと同じくらいに、
ダリファンが楽しみにしているのが、ここでしか買えないオリジナルのダリグッズです。
会津の伝統的な紋様とふにゃふにゃした時計がコラボした扇子や、
1枚1枚図柄が違うというアリ柄の角皿も人気グッズだそうですが。
不動の人気を誇っているのは、毎年新作が発表されるダリのTシャツ。
通称、ダリTです。
毎年、ほぼ完売。
昨年は900枚を完売したそうです。
そんな大人気のダリTの秘密を、学芸員の大野方子さんに伺ってきました。

―デザインで心掛けていることはありますか?

「ダリというと過激なパフォーマンスで知られた人ですが、
 一方で人を驚かせることを楽しんでいた人だと思うので、
 そういったダリの性格や色がデザインに出せればと。
 また、ダリTを見て展覧会を思い出してもらえるように、
 その年の展覧会のテーマに沿ったデザインを心掛けています。
 例えば、イギリスの作家を取り上げた年のダリTは、
 ダリのトレードマークでもあるヒゲをユニオンジャック柄に。昨
 年は、“食” をテーマにした展覧会だったので、
 ダリのヒゲがパスタのようにフォークに絡め取られているデザインを採用しました」

―ちなみに、大野さんの一番お気に入りのダリTは?

「思い入れが一番強いのは、当館へ着任した私が最初に袖を通した2013年のダリT。
 まだらのアニマル模様のヒゲのデザインです。
 動物と言えば、ダリはオセロットというネコ科の動物を飼っていたことがあります。
 ちょうどこのようなまだら模様で、小型の豹みたいな見た目の動物です。
 『バブー』 という名をつけて可愛がり、どこにでも連れて出かけたのだとか。
 普通の家猫じゃないのが、さすがダリですよね!
 クラシカルを貫いたダリのヒゲと、
 派手なアニマル模様のミックスが楽しい一枚です。」

・・・あ、熱い。
実は、大野さん。寝ても覚めてもダリのことを考えているという人物。
一度話し始めると、ダリ愛が止まらなくなる名物学芸員さんです。
せっかくなので、ダリの魅力も伺ってみることに。

「お騒がせの芸術家というイメージが強いですが、
 とんでもなく繊細な一面も持ち合わせています。
 そうしたギャップがダリの大きな魅力です。
 皆様にも、ぜひ作品やダリTを通して、
 彼の人間的な側面を知って頂けたらと思っています!」

さて、気になる最新ダリTには、
現在開催中のダリとエッシャー、福田繁雄とのコラボ展 (注:展覧会は終了しています) に合わせて、
エッシャーの作品にインスパイアされたデザインが採用されました。
ちなみに、打ち合わせの際に館長が、
Tシャツを着ているのに裸に見えるだまし絵風なデザインを提案したようですが、
その場で却下されたとのこと。
ダリTに妥協なし!


【この記事を振り返って・・・】
この記事を書いた翌年、つまり去年に、代官山蔦屋書店にて、
大野さんと 「恋のダリ騒ぎ」 と題したトークショーを行いました。
(その詳細は、こちらに→20周年出張トーク【ダリナイト 〜恋のダリ騒ぎ〜】
1年ぶりにお会いした大野さんは、
ダリに対して、ちょっとした倦怠期に突入していました (笑)




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