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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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1000年に1つのゆるキャラ

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本家 (?) である “日曜” のほうでは、
まず取り上げられないであろう美術館のニッチなトピックを紹介するコラム。
それが、『月曜美術館』 。
アートファンのための会員制クラブ、アーチクラブの会報誌 「arch」 での連載ではありますが。
美術館に行きたいのに行けないSTAY HOME週間ということで特別に、
「arch」 の編集長さんとデザイナーの新貝直人さんが、過去回の公開を快諾してくださいました。

さてさて、本日は、『月曜美術館』 の過去回を紹介する最終日。
東京国立博物館は意外とドラマや映画のロケ地になっているということを紹介した回や、
ミュゼ浜口陽三ヤマサコレクションでしか食べられない㊙アイスをフィーチャーした回など、
まだまだ紹介したい回はたくさんありますが。
こんな状況ですので、紙面が一番ポップだった記事を取り上げたいと思います。




太宰府天満宮のすぐ隣にある九州国立博物館。通称、九博。
東京、京都、奈良に次いで、108年ぶり (!) に新設された国内4番目の国立博物館です。
収蔵品は年々増加し、今や1500件を数えるほどに。
そんな九博コレクションの中で絶対にムシすることが出来ないのが、『針聞書』。
戦国時代に元行なる人物によって書かれた医学書です。
針の打ち方や人体解剖図、そして、当時、
病気の原因と考えられていた虫たちがその特徴や治療法とともに記載されています。
虫とはいっても、蚊やヒアリといった実在の虫ではなく。
肝臓に棲み人を怒りっぽくさせる 「肝積」 や、
普段は肺に棲み人の身体を抜け出しては気絶させる 「肺虫」 など、
体内でいろいろな悪さをする架空の 「はらのむし」 です。
いたって真面目な医学書なのですが、
想像で描かれたという虫たちの姿は、どう見てもゆるキャラ。
笑わずにはいられません。

開館当初からジワジワ話題だったという 『針聞書』。
さらなる人気アップを目指して、
九博はあらゆる手段で 「はらのむし」 を猛プッシュしています。
その熱中ぶりは、まさに “「はらのむし」の虫” といえましょう。

まず驚かされるのが、ミュージアムショップにあるオリジナルグッズの数々。
ディ●ニーストア並のグッズ展開です。
ノートやペン、小瓶に入ったフィギュアなど、常時10種以上のアイテムが販売されています。
売れ筋は、マスキングテープと付箋。
過去には、ぬいぐるみもあったそうですが、こちらは完売してしまったそうです。
なお、「はらのむし」 は全63種類。
その中でよくグッズ化されるのは、
毎年開催される人気投票 (←AKB48か!) で上位に選ばれる7匹 (←神7か!) とのこと。
ちなみに、職員の久保田さんの推し虫は、ベロを出した姿がキュートな蟯虫だそう。
ただ、コイツはたまに身体を抜け出して、
その人の悪事を閻魔様に告げ口するのだとか。
可愛い姿に油断しませぬように。

さらに、九博は、グッズ展開だけに飽き足らず、
2016年には公式ソングとして、『はらのむし体操』 を制作しています。




歌詞、楽曲、振付ともにオリジナル。
HPで動画を公開するのはもちろん、
九博の館内で 『はらのむし体操』 を来場者で踊るイベントを何度も開催しているそうです。
そして、今年はついに 「はらのむし」 を主人公にしたオリジナルアニメを制作!
しかも、ただのアニメではなく、
今話題の映像スタジオ、モンブラン・ピクチャーズとタッグを組んだ本格的なアニメです。
こちらもHPで公開されています。




5話すべて面白いですが、個人的には最終話が特にオススメ。




国立の博物館が、ここまで笑いに走るだなんて!
九博そのものに何かの虫が棲みついてしまったのでは、と若干心配になりました (笑)

そんな九博のこれまでの努力が実り、
今では子供から大人、そして、本職の鍼灸師さんまでが、
『針聞書』 を目的に九博を訪れるほどの看板作品になっているそうです。
作品保護のため、普段は精巧に作られた複製品が展示されていますが、
年に1か月ほどは実物の 「はらのむし」 にお目にかかれるそうですよ。
なお、毎年公開する日は3月の啓蟄からと決まっているそう。
なるほど。虫が出てくる日だけに。


【この記事を振り返って・・・】
去年の夏、九州国立博物館を初訪問しました。
なので、「はらのむし」 の本物たちには会えず。
今年、彼らに逢いに行こうと計画していたのですが、コロナのせいで・・・・・。
『針聞書』 の中に、コロナの退治の仕方は載ってないのかしら?




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