一時は開催が危ぶまれていた “ショパン-200年の肖像” が、
先日6月2日に、練馬区立美術館にて無事に開幕いたしました!
こちらは2019年に、日本とポーランドが国交100周年を迎えたことを記念して開催される展覧会。
ポーランドが産んだ世界的ピアニストで作曲家のフリデリク・ショパンにスポットを当てた展覧会です。
具体的に、どんな展覧会なのは、こちらのねりびちゃんねる動画で、
担当の小野寛子学芸員が、楽しくわかりやすく解説してくれていますよ↓
さてさて、出展作品は約250点 (!) と、かなり密密な展覧会ですが。
(注:館内は写真撮影禁止です。特別な許可を得て撮影しています。)
その中でも、特に見逃せないのはや何と言っても、
ショパンが直筆した楽譜と、ショパンの直筆による手紙です。
↑こちらのねりびちゃんねるの中で、
小野さんがポーランドの国宝と発言していますが。
会場で展示ケースを目にして、そのことが本当であることを実感させられました。
なんとも物々しい展示ケース!
きっとルパンやキャッツアイからも守れるはず。
それくらいの厳重さで、楽譜や手紙は保管されていました。
ちなみに、こちらの展示ケース、
保存のため、基本的には照明が付いていないのですが、
鑑賞者が近づくと、ちゃんと照明が付くというハイテク仕様になっています。
楽譜もポーランド語も全く読めないので、
個人的には、この展示ケースに感動してしまいました (笑)
また、楽譜と肖像画以外で、抑えておきたいのは、
やはりポーランドから初来日したショパンの肖像画でしょう。
描いたのは、ショパンと交流のあった画家アリ・シェフェール。
この絵についても、ねりびちゃんねるで詳しく解説しています。
確かに、実物は小野さんが仰るように、“鼻が立派!” でした。
そして、画像では伝わりにくいですが、
図録やネット上の画像で観るよりも、顔色が悪かったです。
まさに、“胃が弱そうな感じ” でした。
展覧会には、アリ・シェフェールが描いたもの以外の、ショパンの肖像画も。
例えば、こちらはショパンと交流のあった、
ポーリーヌ・ヴィアルドという歌手が描いたショパンのスケッチ↓
針すなおさんが描いた寺門ジモンみたいな感じでした。
だいぶイメージが変わります。
また例えば、こちらはドラクロワが有人であったショパンと、
その恋人であるジョルジュ・サンドの2人を描いた肖像画を再現したもの。
(元の絵は後に切り分けられ、別々の肖像画になっているそうです)
こちらは、ショパンが劇画調。
一瞬、さいとう・たかを先生が描いたのかと思いました。
ジョルジュ・サンドに向かって、「俺の後ろに立つな」 と言っているのかもしれません。
さて、同時代の交流のあった人物がショパンの肖像画を描いているのは理解できますが。
今回の展覧会で何より驚かされたのは、それ以降の世代から現代にいたるまで、
ポーランドの芸術家の多くがショパンをモチーフにした作品を製作していたことです。
会場には、そんなショパン作品がズラリ勢揃いしています。
ショパンの人気ぶりに、ただただビックリ!
日本でいえば、坂本龍馬みたいな感じでしょうか。
いや、でも、坂本龍馬をモチーフにした作品を、
現代アーティストが制作しているかといえば、そんなことはなく。
ショパンの顔の何がそこまで、ポーランドのアーティストを刺激するのか。
ただただ不思議でなりません。
何はともあれ、多くのポーランド人にショパンが神格化されていることはわかりました。
それをもっとも感じたのが、ユゼフ・メンチナ=クシェシュによる絵画。
タイトルは、《フリデリク=ショパンの最後の和音》 とのこと。
・・・・・いや、冷静に考えて、何、最後の和音って?!
ユゼフ・メンチナ=クシェシュにとっては、
ショパンは死ぬ瞬間までピアノを弾き続けていたのでしょうね。
そして、最後の最後に和音を奏でたのでしょうね。
どんなイメージなん?!
また、少し前にポーランドでは、
「若手作家のためのショパン像コンクール」 なる催しが開催されていたそうです。
ちなみに、その2015年の回で、最高賞となる2等を受賞したのが、こちらの作品。
(この回は、1等と3等は該当作が無しだったとか)
タイトルは、《AC/DCを聴きながら描いたフリデリク・ショパンの肖像》 とのこと。
(AC/DC・・・オーストラリア出身の世界的ハードコアロックバンド)
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こんな落書きみたいなのが最高賞って。。。
開催する意義も基準もよくわからないコンクールです。