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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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もつれるものたち展

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現在、オラファー・エリアソン展が絶賛開催中の東京都現代美術館。

その1階展示室では、“もつれるものたち が開催されています。

 

 

 

 

こちらは、パリとサンフランシスコを拠点とし、

世界各地で展覧会やアーティスト支援を行う団体、

カディスト・アート・ファウンデーションとの共同企画で行われる展覧会です。
木や化石、道具、工芸品など、私たちの暮らしとは切り離せない “もの”。

その側面にスポットを当てる12人/組の作家を紹介する展覧会です。

 

例えば、トム・ニコルソン。

国内外の植民地主義をテーマに多くの作品を制作してきたオーストラリアのアーティストです。

 

 

 

今回出展されていたのは、《相対的なモニュメント(シェラル)》 というプロジェクト。

「シェラル・モザイク」 とは、第一次世界大戦中に、オーストラリア兵が、

ガザ付近のシェラルの町で発見した6世紀のビザンティン様式のモザイクのこと。

これらのモザイクは兵士たちによって剥がされ、

オーストラリアに運ばれ、オーストラリア戦争記念館の壁に埋め込まれたのだそうです。

そんなモザイクを新たに作り直して、

今も土地の所有が争われているガザへと返還しようというのが、彼のプロジェクト。

ハンドアウトの解説によれば、このプロジェクトを通じて、支配と移動の問題、

返還によって起こりうる変化や新たな政治的認識について考察しているのだとか。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ムズっ!

 

 

気を取り直しまして。

例えば、アメリカ生まれドイツ在住のアーティストで、

アート界だけでなく、各国の映画祭でも注目されているジュマナ・マナ。

 

 

 

ハンドアウトの解説によりますと。

映像と彫刻を主なメディアとし、特に植民地主義の遺産や、

暮らしと関わるシステムに表出する力関係を探求してきた彼女。

身体、考古学、産業構造、文化的環境を参照し、

融合するマナの作品は、彼女が関わる場所や移動に特徴づけられているのだそう。
今回出展されている 《貯蔵(保険)》 と題された彫刻たちは、

建築物の断片を想起させ、元の場所から移設された考古学的遺構のように置かれています。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

もうこの段階で、だいぶ頭にはてなマークが浮かんでいますが。

頑張って、ハンドアウトの解説に食らいつきます。

 

キャビネットのような形状は、レバント地方の農村建築に特徴的な貯蔵庫で、

いわば現代の冷蔵庫の祖先にあたるカビヤスに触発されているのだそうです。

それはしばしば家の中に作りつけられ、家族や村落の種子や穀物、油、ワインが蓄えられた。

粘土や消石灰、牛糞、干し草でできていて、

上部に空洞が、下部には穀物を詰めるための小さな穴がある。
実際のカビヤスより開口部を広げ、

人体のスケールにより近づけた彫刻たちは人格化されているようにも見える。

また、その形に抽象性をもたせることで鑑賞者の見方を広げ、

もの=身体に、人々が持つ習慣や、領域、系譜がいかに反映されるのかについての考察を促す。

現代の貯蔵方法を示唆するグリッド構造をもうひとつの特徴とする本作は、

人々の暮らしや知識が、生存の実践から、資本増加のための中央集権的な経済システム・・・・zzz

 

 

はっ!すいません。

解説があまりにムズすぎて、途中から寝てしまいました。

 

 

この他にも。

 

大型作品 《不確かな風向》 (1998) は、

風のエネルギーの流れによって絶えず変容する環境を示唆する。

大阪湾と六甲山の一連のエコロジカル・マッピングは、

当時の国土庁から委託された調査報告として作られた。

地震や都市災害の危険地域の特定や防災計画を目的に、

それぞれの土地の特性を複数の層に分けて可視化している。

4点の 《パーソナル・ランドスケープ》 (2000-2001)は、

フランスで訪れた都市の地図に、抽象的、幾何学的な図形などを描き加えたものである。

これについて作家は、「風景を目で見た印象でとらえるのではなく、

風景を構成している仕組そのものを主体的に判読すること」 と述べている。
科学と芸術を織り交ぜた地図作成という表現言語を発展させ、

独自の環境目録や、主観的な風景の制作を通じて、

地球温暖化、自然資源の枯渇や土壌汚染などの問題を提示している。

また、自然と文明の対立に異を唱え、土地環境、

自然の循環、人間活動の連関、その長期的かつ重要な相互作用を想起させる。

 

と説明された磯辺行久さんの作品や、

 

 

 

《正しい判断で知りなさい》 と題するシリーズの新たな展開としての本作は、

形ある知の証として、彼が受け継いだものを実際に用いて、

凝り固まった西洋主義的な知識の限界を指摘する。

展示台には、彼が祖母から受け継いだ木彫のウーメラ (投槍器) と、

彼の叔父が執筆した書籍 「ティム・ケンプ氏のオーラルヒストリー」 の写本が展示されているが、

それらはガラスケースによってアクセスが遮られ、沈黙している。

一方、壁面には、彼が先人から受け継いだ技法で、

赤黄土を吹き付けて転写したウーメラのコンポジションがある。

作品は、身体に内在する祖先との精神的なつながりに重点を置きながら、

ものとその表象、身体の関係を探求する。
彼がいとこのヘイリー・マシューと協働で制作した本作は、高齢者たちとの経験を分かち合うと共に、

それが自らの生にいかに息づいているかを共有するプロセスでもあった。

私的であると同時にコレクティブな彼の実践は、

祖先から受け継いだものを植民地主義的な言説から解放し、

新たな意味を見出しながら、共同体の遺産とその継承について探り続ける。

 

と解説されたデイル・ハーディングの作品などがあります。

 

 

 

自粛明けの頭には、少々・・・いや、かなりハードな現代アート展。

何よりも頭がもつれる展覧会です。

ここ最近流行りの (?) インスタ映えする現代アートではなく、
ゴリゴリの現代アートがお好きな方は、きっと満足できることでしょう。

星

 

そうでない方には、鑑賞料がやや割高に感じられるかもしれません。

 

 

さてさて、もつれるといえば。

AKB48チーム8のメンバーが各地の美術館を訪れ、写真を通じて、アートの力を発信していく。

読売新聞オンラインでスタートした新企画 「美術館女子」 に対して、

 

チャラチャラしているという意見があがり、現在、プチ炎上中ですが。

その記念すべき第1回の舞台・東京都現代美術館の展覧会は、全然チャラチャラしてなかったです。

 

 

ちなみに。

個人的に一番印象に残ったのは、

フィリピン生まれロンドン在住のピオ・アバドによるこちらの作品です。

 

 

 

白い台にズラリと並んでいたのは、全部で98種類のポストカード。

作品タイトルは、《ジェーン・ライアンとウィリアム・サンダースのコレクション》。

実はポストカードに使われている絵画は、

第10代フィリピン大統領マルコスとその妻イメルダが所有し、

後にフィリピン政府に差し押さえられたものなのだそうです。

ジェーン・ライアンとウィリアム・サンダースとは、二人がスイス銀行の口座名に使っていた偽名。

そういうことも含めて、2人の不正に関する記事が・・・・・・・

 

 

 

それぞれのポストカードの裏に記載されていました。

なんとも皮肉の効いた作品です。

なお、これらのポストカードは持ち帰ることが可能となっています。

ポストカード1枚、100円と考えたら、13枚で1300円。

あっ、余裕で鑑賞料の元が取れましたね。

 

 

 

 

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