約100万冊にのぼる蔵書数を誇る東洋文庫ミュージアム。
そんな日本最大級、いや、アジア最大級の本の博物館で、
現在、開催されているのが、“大宇宙展―星と人の歴史” という展覧会です。
宇宙展ではなく、「大」 宇宙展。
宇宙にロマンを感じる僕としては、涎が出るような展覧会です。
どんなワクワクする展示品に出逢えるのだろうと、
展覧会を訪れる前は、天にも昇る気持ちでした・・・・・・・・・・・・・が。
よくよく考えたら、こちらは本のミュージアム。
展示のメインは、宇宙の写真でも、宇宙を描いた絵でもなく、天文学の本でした。
数式的なものもたびたび登場するため、
文系脳で理解するのは、かなりの無理ゲー。
難解すぎる天文学書を前にして、さぞかし僕の顔は青ざめていたことでしょう。
その姿を見た誰かが、「とに~の顔は青かった」 とか言ったとか言わなかったとか。
とはいえ、全部が全部、ちんぷんかんぷんだったわけではなく。
興味深い展示品も数多くありました。
例えば、10世紀ペルシャの天文学者スーフィーが著した 『星座の書』。
実は、こちらに描かれているのは、世界最古の星座絵なのだそう。
古代ギリシャのプトレマイオスによる天文学書 『アルマゲイスト』 をもとに、
スーフィーは、そこに登場する48の星座を絵図を交えて解説したのだそうです。
やがて、このアラビア風の星座絵は、
ヨーロッパに逆輸入され、古代ギリシャ風にアレンジされました。
それらが、僕らがプラネタリウムで見るあの星座絵の元になっているのだとか。
なお、展示の 『星座の書』 は、アンドロメダ座のページが開いてありましたが。
気になる他の星座に関しても、数点ほどがパネルで紹介されていました。
あんな絵が、こんな絵に。
ヨーロッパ人のアレンジ力、恐るべしです。
また、今回の出展作品の中で、最も長いこと、
鑑賞してしまったのが、《蘇州文廟宋天文図 (淳祐天文図)》 。
こちらは、世界最古とされる石碑天文図の拓本です。
もととなった石碑は1190年頃に、黄裳なる人物によって描かれたのだそう。
何よりも興味深かったのは、今の僕らが知っている星座とは全く違う星座の数々です。
天狗座。孫座。老人座。
弧天座にいたっては、射手座よりも射手座感 (?) がありました。
他に気になったのは、器府座なる謎の星座。
一体、夜空のどのあたりに、
こんなスペースインベーダーのような星座があるのでしょうか??
さらに、こんな星座も。
厠 (=トイレ) 座に、屎 (くそ) 座。
小学生的な発想を持ったヤツが考えた星座なのか。
それとも、星座を考えるのがだんだん面倒くさくなってきて、適当に付けただけなのか。
ともあれ、中国式がプラネタリウムに採用されなくてよかったです。
最後に、個人的にもっとも興味深かった展示品をご紹介いたしましょう。
こちらは、江戸時代の瓦版の写しの一つ。
1803年に起きたとある出来事を報じた瓦版です。
なんでも常陸国 (現在の茨城県) の海岸に、
奇妙な 「うつろ舟」 なるものが漂着したのだそう。
その舟の中には、謎の文字が書かれており、
舟の中には、謎の箱を大事そうに抱えた謎の女性が一人乗っていたのだとか。
この 「うつろ舟」 は、もしかしたらUFOなのかも。
この謎の女性は、もしかしたら宇宙人なのかも。
真相は未だによくわかっていないそうです。
ちなみに、この瓦版によると、「うつろ舟」 の窓は障子だそうです。
大気圏を突入してきたこの障子は、きっと地球上には存在しない物質で作られているのでしょう。