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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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珠玉のコレクション─いのちの輝き・つくる喜び

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先日7月10日。

新宿西口に、SOMPO美術館がオープンいたしました!

 

SOMPO美術館の前身となる東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館は、

日本初の高層階美術館として開館以来、損保ジャパン本社ビルの42階に位置していましたが。

SOMPO美術館は、本社ビルの敷地内に新たに建設されました。

地下1階から地上6階まで、まるまるSOMPO美術館なのです。

 

 

 

ちなみに、1階がエントランス、3階から5階までの3フロアが展示室となっています。

美術館に入ったらまずは5階へ。

そこから4階、3階、2階、1階と、下へ下へと進んでいく。

グッゲンハイム美術館形式、アーティゾン美術館形式が採用されていました。

 

 

さて、そんな新生SOMPO美術館のオープニングを飾るのが、

“珠玉のコレクション─いのちの輝き・つくる喜び” という展覧会。

SOMPO美術館コレクションの中から選りすぐりの70点を紹介する展覧会です。

 

(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)

 

 

展覧会は全部で6章立て。

まずは、「四季折々の自然」 と題し、

動物画を得意とした山口華楊の大作 《葉桜》 を筆頭に、

 

山口華楊 《葉桜》 1921年 絹本彩色 164.7×273.5cm

 

 

有島生馬や吉田博、さらには、東山魁夷や平山郁夫の作品など、

 

 

 

これまでまとまって紹介される機会があまり無かった、

SOMPO美術館の日本美術コレクションが一挙公開されています。

こんな作品も所蔵していただなんて!

リニューアル1発目にして、SOMPO美術館の新たな一面を知ることとなりました。

ちなみに、展覧会の冒頭に飾られていたのは、目にも鮮やかな桜の絵画2点。

 

 

 

作者は、岸田夏子さん。

あの岸田劉生の孫にして、

《麗子像》 でお馴染みの麗子の娘にあたる洋画家です。

岸田夏子さんは、約30年にわたって、桜を描き続けているのだとか。

“夏” 子さんなのに (←?)。

 

 

続く第2章は、「『FACE』グランプリの作家たち」

 

 

 

2012年度からSOMPO美術館が開催している公募コンクール、

『FACE』において、グランプリや優秀賞を受賞した歴代作家の作品が紹介されていました。

 

第3章ではいよいよ、SOMPO美術館とは深い関係にある 「東郷青児」 が紹介されています。

 

 

 

美術館のロゴにも採用されている 《超現実派の散歩》 はもちろん、

珍しい立体作品や東郷青児が原画を手がけた安田火災 (←損害保険ジャパンの前身) カレンダーなど、

 

 

 

文字通り、珠玉の東郷青児コレクションが紹介されていました。

それらの中には、代表作の 《望郷》 も。

 

                 東郷青児 《望郷》  1959年 油彩・キャンヴァス 116.1×90.7cm ©Sompo' Museum of Art, 19017

 

 

美しい作品であることを、改めて実感させられました。

その滑らかな肌に、思わず目が吸い寄せられます。

また、60年以上前の作品とは思えない革新的なセンスに、改めて驚かされました。

CGが存在しなかった時代にこの絵を観た人の目には、現代の僕ら以上に革新的に映ったはずです。

そして、何よりも改めて気になったのは、小指の曲げっぷり。

曲げすぎじゃない??

もしや複雑骨折でもしてるのではないかと、やや心配になりました。

 

 

と、それはさておき。

ラストとなる3階の展示室では、

「風景と人の営み」 「人物を描く」 「静物画─花と果物」 という3つの章で構成されていました。

これまで常設展示でお馴染みだったグランマ・モーゼスやルノワールといった、、

 

 

 

西洋絵画コレクションの数々が出展されています。

なお、東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館時代には、

常にゴッホの 《ひまわり》 の両サイドに飾られていたゴーギャンとセザンヌの絵画は・・・・・

 

 

 

今回のリニューアルを機に、晴れて独立 (←?)。

どちらも名品ながらも、センターの 《ひまわり》 のせいで、

これまで、なんとなく “じゃない方” 的な扱いをされてきましたが、

これからはきっと、多くの方に、ちゃんと注目して鑑賞してもらえることでしょう。

 

 

ではでは、そんな不動のセンター、

 

               フィンセント・ファン・ゴッホ 《ひまわり》 1888年 油彩・キャンヴァス 100.5×76.5cm

 

 

ゴッホの 《ひまわり》 はと言いますと・・・・・

 

 

 

絶対に盗めないであろう頑丈な展示ケース内にて、堂々の大トリを飾っていました。

さすがの貫禄です。

ロンドン・ナショナル・ギャラリーの 《ひまわり》 も、本当に素晴らしかったのですが。

あちらを観た上で、SOMPO美術館の 《ひまわり》 を観てみると、

こちらのほうが、絵の具の厚みがあって、よりゴッホらしさを感じられると言いましょうか。

心をガッと鷲掴みにされるものがありました。

好みは人それぞれでしょうが、僕はSOMPO美術館の 《ひまわり》 の方が好きです。

この作品が日本にあって良かった。

そう強く実感させられました。

星星
 

 

ちなみに。

展覧会を観終えて、2階に降りると、

そこには土日祝はミュージアムカフェとしての営業を予定している休憩スペースと、

 (注:ただし、今は新型コロナウィルスの影響のため休止) 

 

 

 

《ひまわり》 グッズ多めのミュージアムショップがありました。

 

 

 

そんなミュージアムショップの中では、

《望郷》 を完全3D化させたフィギュアも販売されています。

 

 

 

小指の曲げっぷりまで忠実に再現されています。

改めて、複雑骨折でもしてるのではないかと、やや心配になりました。

 

 

 ┃会期:7月10日(金)~9月4日(金)
 ┃会場:
SOMPO
美術館
 ┃
https://www.sompo-museum.org/

 





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