今年で開館35周年を迎える長谷川町子美術館。
この美術館を訪れたことがない方のおそらく半数近くが、
『サザエさん』 などの原画を展示するミュージアムと勘違いしていることでしょう。
しかし、そうではなく、長谷川町子とその姉である毬子が集めた美術品を紹介する美術館です。
今年2020年は、ちょうど長谷川町子の生誕100年の節目の年。
それを記念し、こちらでは現在、“収蔵コレクション展 「長谷川町子が愛したものたち」Ⅰ” と題し、
長谷川町子が1992年に亡くなるまでに、自ら蒐集に携わった作品を3期にわけて紹介しています。
(注:長谷川町子美術館の館内は写真撮影禁止です。特別な許可を得て撮影しています。)
シャガールやルオー、東山魁夷、加山又造といった、
西洋絵画、日本美術の巨匠の作品を堪能できる展覧会。
美術コレクターとしての長谷川町子の一面を知ることができる展覧会です。
ちなみに。
長谷川町子美術館の2階の一角には、アニメの 『サザエさん』 を紹介するコーナーも。
磯野家の模型やアニメの設定画など、
アニメ 『サザエさん』 にまつわるさまざまな資料が紹介されています。
また、モニターでは過去の放送作品も。
久しぶりに永井一郎さんや増岡弘さんの声を耳にして、思わずグッと込み上げるものがありました。
さてさて、そんな長谷川町子美術館と道を挟んで反対側、
明るい窓のお向かいさんとして、このたび分館としてオープンしたのが・・・・・・・・
長谷川町子記念館。
まさしく長谷川町子が描いた 『サザエさん』 などの原画を展示するミュージアムです。
磯野家は平屋建てですが、
長谷川町子記念館は、長谷川町子美術館と同じく2階建て。
1階には、原画をタッチパネルで閲覧できるコーナーや、
(c)長谷川町子美術館
カツオの気持ちになって (?) 、板塀にバーチャル落書きができるコーナーなど、
インタラクティブで楽しいコーナーが多数用意されています。
さらに、『サザエさん』 の原作漫画に登場する居間を再現したコーナーも。
おひつや扇風機、蝿よけの食卓カバーなど、
可能な限り、昭和の暮らしが再現されています。
なお、現在は夏モードですが、季節が変われば、居間の光景も変わるようです。
続いては2階の常設展示室へ。
(注:長谷川町子記念館の2階は写真撮影禁止です。特別な許可を得て撮影しています。)
こちらでは、幼年期から晩年、そして没後まで、
長谷川町子に関するさまざまな資料が紹介されています。
それらの中には、もちろん貴重な漫画の原画の数々も。
こちらの常設展示室にて、特に 『サザエさん』 に関して、数々の驚きの事実を知ることとなりました。
その中でもまず最初に驚いたのが、
『サザエさん』 の1stシーズン (?) にマスオもタラオも登場していないという事実。
しかも、若き日の長谷川町子は、『サザエさん』 の連載を終わらせたかったそうで、
何の前触れもなく、唐突にサザエを嫁入りさせ、その回をもって最終回としたのだそうです。
しかし、続編を求める読者の声が多く、半年後に復活。
マスオとタラオが登場するのは、そのリスタート時からなのだそう。
なお、この時点では、サザエ一家と波平一家は別の家に住んでいたとのこと。
いわゆるマスオさん状態になるのは、しばらく経ってからなのだそうです。
また、当初、『サザエさん』 は、福岡県の地元紙であるフクニチの夕刊で連載されていましたが、
評判が評判を呼び、『夕刊北海タイムス』 や 『京都日日新聞』 などの地方紙でも連載されるように。
そして、最終的には、全国紙である朝日新聞の朝刊で連載されるまでになったのです。
いきなり国民的な漫画としてブレイクしたわけではなく、
『水曜どうでしょう』 的なスタイルでブレイクした漫画だったのですね。
ちなみに。
個人的に一番驚かされた事実が、こちら↓
サザエさん一家の隣の家に住む伊佐坂家は、
もともとは 『似たもの一家』 という別の漫画の主人公一家だったという事実。
確かに、甚六さんだのお軽さんだの、
魚に関係ない名前の一家で、昔から怪しいなァとは思っていたんですよね (←?)。
長年の謎が解けて、スッキリしました。
他にも紹介したいものは、いろいろありますが、キリが無いので、この辺で。
続いては、企画展示室にまいりましょう。
こちらでは、9月27日まで “長谷川町子の漫画創作秘話” が開催中。
『サザエさん』 の原画を中心にした多数の資料で、長谷川町子の創作の秘密に迫る展覧会です。
こちらも見応えたっぷりの展覧会。
あれもこれも紹介したいところですが、
何よりも印象に残っているのは、やはり14歳の長谷川町子が描いた水彩画でしょうか。
14歳にして、この画力!
その翌年に、日本初の女性漫画家としてデビューするのも納得です。
それから、特に圧巻だったのが、
漫画版の 『サザエさん』 の表紙と、その原画を紹介するコーナー。
ロゴも含めて、一つとして同じスタイルがありませんでした。
アニメ 『サザエさん』 は、いい意味でマンネリしているのに。
漫画の表紙は全然マンネリ化していませんでした。
むしろ実験的な印象さえ受けます。
長谷川町子の多様さ、引き出しの多さにただただ驚かされました。
長谷川町子美術館と長谷川町子記念館。
両方観られて、一般900円です。
是非行ってくださいね。
ちなみに。
長谷川町子記念館には、こだわりのグッズが満載の購買部 (=ミュージアムショップ) と、
これまたこだわりのメニューが満載の喫茶部 (=ミュージアムカフェ) が併設されています。
せっかくなので、珈琲とドライパパイアを注文してみることに。
すると、番号札ならぬ、長谷川町子キャラ札が渡されました。
僕が受け取ったのは、「波平さん」。
他にどんなのがあるのか見せて頂いたところ・・・・・・
「サザエさん」 や 「カツオくん」、呼び捨ての 「タマ」 などがありました。
そして、「いじわるばあさん」 も。
本当の意地悪なおばあさんの手元に、この札が渡らないことを祈るのみです (笑)
席について、しばらくすると、「波平さん、お待たせしました!」 と呼ぶ店員さんの声が。
珈琲は 『サザエさん』 がプリントされたカップに入って提供されました。
ちなみに、こちらのカップは、なんと1点ものなのだそう。
お店にはカップが100個あるそうなのですが、一つとして同じデザインのものが無いのだとか。
コンプリートするためには、100回通う必要がありそうです。
長谷川町子記念館の喫茶部は、ゆかいだな。
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