現在、すみだ北斎美術館で開催されているのは、“大江戸歳事記” という展覧会。
本来は、春に開催される予定でしたが、
会期を6/30~8/30に変更して開催されています。
テーマは、江戸の年中行事。
正月や端午の節句、お月見といった毎年行われる歳事・イベントを、
葛飾北斎とその門人たちが描いた作品約120点を通して紹介する展覧会です。
大山北李 《享保雛図》 (前期) すみだ北斎美術館蔵
葛飾応為 『女重宝記』 五 たなばたまつり(通期) すみだ北斎美術館蔵
葛飾北斎 『北斎漫画』 四編(通期) すみだ北斎美術館蔵
ひな祭りや七夕、節分など、
令和の今でも行われている歳事も多く紹介されていましたが。
「閻魔参」 や 「玄猪」 など、現代ではポピュラーではない歳事も多く紹介されていました。
例えば、9月9日に行われていたという重陽。
葛飾北斎 「菊慈童」 (前期) すみだ北斎美術館蔵
この日は、菊の花びらを浮かべた菊酒を飲んで祝ったのだそうです。
また、重陽の夜、菊の花に綿を乗せておき、
その翌朝に、朝露が染み込んだ綿で顔を拭うと、歳を取らないという風習があったのだとか。
「んなこたぁない!」 と、タモさんばりにツッコミたくなる風習です。
「んなこたぁない!」 といえば、二日灸という歳事も。
2月2日に、灸をすえると効能が2倍になるとされていたのだそうです。
なので、この日は嫌がる子どもも灸をすえられていたとのこと。
江戸時代に生まれてなくて良かった。
どの世代の人のおかげか存じ上げませんが、
この明らかに意味のない歳事を無きものにしてくださってありがとうございます。
個人的に特に印象に残ったのが、才蔵市なるもの。
芸人のはしくれとして、漫才のルーツが、太夫と才蔵がペアになり、
町家の門々を巡って芸を披露する正月の祝福芸であることは知っていましたが。
そのコンビの結成方法は、実に意外なものでした。
なんでも年末になると、日本橋あたりに才蔵市なるものが立ち、
この市で太夫は、ボケ役の才蔵を務める人物を見定め、雇ったのだそうです。
ということは、才蔵市には、なかなか売れなかったり、
結局、最後まで売れ残る才蔵が何人もいたのでしょうね。
そうえば、NSCにも、なかなかコンビが決まらないヤツがいましたっけ。
才蔵市では、いろんなドラマが生まれていたに違いありません。
そうそう。
もう一つ印象的だったのが、鶏の絵馬を家に飾るという風習です。
これは、ゴキブリ除けだったとのこと。
鶏がゴキブリを食べることに由来しているのだそうです。
「あ、だから、金鳥のマークは鶏なのか!」 と一人で納得したのですが。
家に帰ってから、金鳥のマークについて調べてみたところ、
金鳥の創業者が 『鶏口と為るも牛後と為る勿れ』 を信条としていたことに由来するそうです。
まったく関係ありませんでした。
ちなみに。
現在、すみだ北斎美術館の3階には、
ワシントンD.C.にあるフリーア美術館が所蔵する北斎の肉筆画・・・・・
《十二ヵ月花鳥図》 の高精細な複製画が特別展示されています。(展示は8月30日まで)
個人的にオススメなのは、3月の部分に描かれているコウモリ。
これまでに描かれたコウモリの中で、
もっとも可愛いコウモリなのではなかろうか。
┃会期:2020年6月30日(火)~8月30日(日)
┃会場:すみだ北斎美術館
┃https://hokusai-museum.jp/