現在、代官山ヒルサイドフォーラムでは、
“没後15年─心の絆─ ロバート・ハインデル展” が開催されています。
こちらは、その生涯にわたって、ダンサーを主題とした絵を描き続け、
『現代のドガ』 と呼ばれたアメリカの画家ロバート・ハインデルの回顧展です。
(注:館内は写真撮影禁止です。特別な許可を得て撮影しています。)
出展作品は、約60点。
それらの中には、個人コレクターが所蔵する作品も多く含まれています。
ロバート・ハインデルの魅力は何と言っても、
ダンサーの肉体的な美しさ、動きの美しさが、一目で感じられる点にあるでしょう。
まさに “決定的瞬間” という言葉がピッタリなほどに、
ダンサーがもっとも肉体的に美しく見えるシーンを切り取って、描いています
特に印象的だったのは、こちらの 《ウォール》 という作品です。
おそらく描かれているのは、バーレッスン中の何気ない一コマ。
ただ、何気ない一コマなのに、物語がギュッと詰まっているような印象を受けます。
もし、この5人が登場人物のドラマがあったら、
間違いなく、この場面がタイトルバックに使われることでしょう。
それと、青を基調とした画面の下部に、
赤いラインが入っているのも印象的でした。
具象画でありながら、どこか抽象画のような作品です。
抽象画のような、といえば、こんな作品群も。
こちらは、ダンサーが踊る床や舞台に付ける 「フロアー・マークス」 を描いたシリーズです。
ダンサーは不在ですが、むしろ不在だからこそ、
“ここでこんな踊りをするのだろう” とか “ここにダンサーの汗が染みこんでいるんだろう” とか、
ダンサーの存在が感じられるという不思議な味わいの作品群でした。
他に印象的だったのは、並んで展示されたこちらの2点。
こちらの2点は、ハインデルの晩年に描かれたものです。
色味といい、ブレ具合 (?) といい、
どことなくフランシス・ベーコンっぽいなァと思ったら、
まさしく、終生敬愛したというベーコンにインスパイアされた作品なのだそう。
幻想的。というか、白昼夢的。
心がゾワッとする作品でした。
その他にも、国際的に活躍された吉田都さんをモデルにした作品や、
イラクがクウェートへ進攻したニュースに心を痛め、
砂漠や戦地をイメージ制作したという、その名も 《サダム リビジティッド》 など、
印象に残った作品は多々ありましたが、
もう一つ最後に紹介するとしたら、やはり 《ペンギンカフェにて》 でしょう。
“何このゆるキャラ??” と思いきや、
このペンギンはれっきとしたバレエの登場人物なのだとか。
『ペンギンカフェ』 という演目があるのだそうです。
白鳥やブラックスワンだけでなく、ペンギンもいただんて。
バレエの世界は奥が深いです
ちなみに。
こちらの展覧会の会期はたった2週間しかありません。
見逃し厳禁ですよ。