水戸芸術館で開催中の展覧会、
“道草展:未知とともに歩む” に行ってきました。
ゲリラ豪雨が発生したり。猛暑日が続いたり。
ストローが紙製になったり。レジ袋が有料化になったり。
ここ最近、異常気象や環境汚染について考える機会が増えてきました。
今後、我々人類は環境とどう共生していくべきなのか。
植物への関心やフィールドワークから生まれた美術作品を通じて、考察しようという展覧会です。
出展作家は、国内外で活躍する6名。
その中には、北海道を拠点に活動する露口啓二さんや、
露口啓二 展示風景
昨年、ワタリウム美術館で日本初個展が開催されたロイス・ワインバーガーも含まれています。
ロイス・ワインバーガー 展示風景
実は、ロイス・ワインバーガーは今年4月に亡くなったばかり。
それゆえ、今展には彼の新作にして遺作が出展されています。
それが、こちらの屋外に展示された 《ワイルド・エンクロージャー》 という作品。
生前、ワインバーガーは、「最も良い庭師は、庭を放っておく」 と述べたのだそう。
水戸芸術館の芝生の一部を、あえて雑にめくり、
そこをしばらく放っておくことで、どんな植生になるかを観察しようという作品です。
当たり前ですが、展覧会初日は、まだ何も変化なし。
会期終了の11月には、どれだけカオスに変化しているのでしょうか?
もしその辺りで水戸芸術館に行かれる方がいらっしゃれば、是非、ご報告お願いいたします。
さてさて、展覧会では他にも、香港のロー・ヨクムイによる映像作品、
ロー・ヨクムイ 《殖物》
韓国のアーティストユニット、ミックスライスによる映像作品、
ミックスライス 《つたのクロニクル》
スイス出身のウリエル・オルローによるインスタレーション作品が紹介されていたのですが。。。
ウリエル・オルロー 展示風景
環境がテーマだからなのでしょうか。
環境音楽が耳に残らないように、
どれだけ観ても、ビックリするくらいに頭に内容が入ってきませんでした。
観たその瞬間から、スルスルと内容が抜けていくといいましょうか。
作品そのものが、もはや環境と化していたような印象を受けました (汗)
そんな無味無臭な作品が多かっただけに、
展覧会のラストを飾る上村洋一さんの新作インスタレーションが強く印象に残りました。
終わり良ければ総て良し。
最後の最後で、イイものを観たなァという感じです。
タイトルは、《息吹のなかで》。
オホーツク海の流氷が生みだす 「流氷鳴り」 をテーマにした体験型の作品です。
まず作品に入る前に鑑賞者は、ブラックライトを手渡されます。
暗幕を抜けると、そこには真っ暗な空間が。
さらに、足元には砂が敷き詰められています。
会場内に流れているのは、オホーツク海の環境音や流氷鳴りを再現した音。
まるで暗い海の中を漂っているような没入感があります。
手にしているブラックライトを壁に当てると、さまざまな言葉が浮かび上がりました。
そこに記されていたのは、地球温暖化により、
流氷が減少したことで、流氷鳴りが聴くことができなくなった現状。
これまでテレビなどで、地球温暖化を警告する映像を何度も目にしていますが。
(南極の氷が崩壊したり、シロクマが小さな氷に乗っていたり)
それらを映像で目にした時よりも、
この作品を体験している時の方が、地球温暖化をよりリアルに感じられました。
ちなみに。
現在、現代美術ギャラリーの第9室では、
“クリテリオム97 肥後亮祐” が開催されています。
こちらでは、オーストラリアの北東にある存在しない島、
サンディ島を題材にした作品の数々が展示されています。
18世紀にクック船長によって記録されて以来、
存在すると信じられていたサンディ島 (またはセーブル島とも)。
長年にわたり、地図や海図にはもちろん、辞書や百科事典にも掲載されていました。
もちろんGoogle Mapにも。
しかし、2012年、オーストラリアの海洋調査チームが、
その地点に向かったところ、そこに島はなく、ただの海だったことが判明したのだそうです。
地図にあるのに実際はなかったサンディ島。
地図に無い村、杉沢村の逆バージョンですね (←?)。
非常に興味深い展覧会でしたので、是非、道草展のあとは、こちらに道草を。