明治神宮が創建されて、今年でちょうど丸100年。
それを記念して、現在、明治神宮では、
“神宮の杜芸術祝祭” という芸術と文化の祭典が開催されています。
その第一弾として、3月からスタートしていたのが、“天空海闊” と名付けられた野外彫刻展。
明治神宮の内苑の4か所に、
名和晃平さんや松山智一さんといった人気作家の新作が展示されています。
どの作品も明治神宮の杜と、巧いこと調和していました。
三沢厚彦さんの作品に関しては、
あまりに調和しすぎているので、一瞬ビビってしまったほど。
さまざまな動植物が生息しているという明治神宮の杜に、ついに虎が現れたのかと。
ちなみに、鏡によるインスタレーション作品を得意とする船井美佐さんの作品にいたっては・・・・・
調和というレベルを超えて、完全に杜の景色に溶け込んでいました。
ステルスアートです。
さてさて、そんな “神宮の杜芸術祝祭” の第二弾として、
明治神宮ミュージアムで、今月7月より開催されているのが・・・・・
“紫幹翠葉 −百年の杜のアート” という展覧会。
国内外で活躍する40名の現代アーティストが、
明治神宮に思いを寄せて制作した作品を紹介する展覧会です。
出展作家の中には、日本画家も含まれていますが、
油彩画家も写真家も彫刻家も全員、屏風や掛け軸、衝立といった、
日本の伝統的なフォーマットで制作しているのが、今展の一番の特徴です。
特に圧巻だったのが、30名の作家によって製作された扇面画。
清川あさみさんや流麻二果さん、小瀬村真美さんをはじめ、
普段は決して扇面画を描かないアーティストによる貴重な作品の数々を目にすることが出来ます。
彼ら彼女らの扇面画が観れるのは、この展覧会だけ。
現代アート好きなら一見の価値はあります。
個人的に一番印象に残ったのは、平井武人さんによる扇面画。
フリーメイソン感の強い扇面画です。
明治神宮に思いを寄せた結果がコレということは。。。
もしかして、明治天皇とフリーメイソンの間に強い関係が?
・・・・・いやいや、これ以上考えるのはやめておきましょう。
扇面画以外で印象的だったのが、杉戸洋さんによるこちらの作品です。
タイトルは、《ほうき》。
やる気がでなくて、制作を “放棄” した作品なのかと思いきや。
明治神宮には参道を清めるように箒を使う 「掃き屋さん」 なる職業があるのだそう。
その一切無駄がないプロフェッショナルな動きに感動したという杉戸さん。
箒跡をモチーフに、作品を制作したのだそうです。
確かに、無駄のないシンプルな作品。
いや、でも、無駄がなさ過ぎて、
その説明を聞かなければ、誰がこれを観て、箒跡だとわかろうか。
無駄がないといえば、天明屋尚さんによる新作の屏風作品も。
一か所、顔料がキラキラ光るところはあったものの。
全体的には、何も描かれていないシンプルな金屏風です。
タイトルは、《八咫烏》。
どこがどう八咫烏??
と、思ってサイドに回ってみると・・・・・・・
実は後ろにもう一枚、屏風が設置されていました。
隠れて見えない部分が大半ですが、おそらく黒一色の屏風です。
いや、もしかしたら、見えない部分に八咫烏が描かれているのかも。
屏風の設置の仕方で、想像力を膨らませる。
禅問答のような作品でした。
最後にもう一点、屏風作品をご紹介。
れいわ新選組じゃないほうの山本太郎さんによる 《羽衣バルーン》 です。
『カールじいさんの空飛ぶ家』 がモチーフ・・・ではなく、能楽の 『羽衣』 をモチーフとした作品。
天女が国土の繁栄と現世への祝福の舞を踊りながら天上へと帰るシーンが描かれているそうです。
もちろん能楽では、風船は登場しませんが、
この風船は、能舞台に使われる揚幕の5色を表しているとのこと。
ありえない光景なのに、どこかで一度目にしたことがあるような。
不思議な感覚にとらわれる作品でした。