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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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没後220年 画遊人・若冲

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現在、岡田美術館で開催されているのは、

“没後220年 画遊人・若冲 ―光琳・応挙・蕭白とともに―” という展覧会。

 

 

 

若冲の貴重な初期作品 《花卉雄鶏図》 や、

 

伊藤若冲 《花卉雄鶏図》(部分) 18世紀中頃 岡田美術館蔵

 

 

2016年に83年ぶりに再発見され話題となった重要美術品の 《孔雀鳳凰図》

 

重要美術品 伊藤若冲 《孔雀鳳凰図》(部分) 宝暦5年(1755)頃 岡田美術館蔵

 

 

そのユーモラスな表情にジワジワくるものがある 《笠に鶏図》 など、

 

伊藤若冲 《笠に鶏図》(部分) 18世紀後半 岡田美術館蔵

 

 

岡田美術館が収蔵する伊藤若冲作品全7件を、4年ぶりに一挙公開する展覧会です。

なお、4年前は 《孔雀鳳凰図》 だけ、別フロアで展示されていましたが、

今回は岡田美術館開館以来初めて、7件すべてが一室に集結しています。

この貴重な機会を是非お見逃しないように!

星星

 

ちなみに、タイトルの “画遊人” とは、

館長の小林忠さんによる造語で、北斎が自称した 「画狂人」 をもじったもの。

とにかく絵を描くことが好きで好きで仕方なく、

女遊びもしなければ、酒も飲まず、絵に没頭していたという若冲。

40歳になったら、家督を弟に譲り、

ただひたすら家にこもって、遊ぶように絵画を描いていました。

だから、画遊人。

 

自分が面白いと思うから、絵を制作する。

そうして完成した作品と、自由気ままなスタイルが多くの人を楽しませる。

どこか所ジョージさんの世田谷ベースに通じるところがあります。

誰もそう呼んでないし、定着する気もまったくしませんが、

これからは若冲のことを、“江戸時代の所さん” と呼びたいと思います。

 

 

 

と、それはさておき。

《花卉雄鶏図》《孔雀鳳凰図》 が素晴らしかったのは当然として。

今回改めて鑑賞して特に印象に残ったのが、《三十六歌仙図屏風》 でした。

 

伊藤若冲 《三十六歌仙図屏風》 寛政8年(1796) 岡田美術館蔵
 

 

描かれているのは、平安時代の和歌の名人36人。

このモチーフ自体はわりとポピュラーゆえ、

多くの絵師が三十六歌仙を描いていますが。

さすがは画遊人・若冲。

普通に描くわけなどなく、随所に遊び心を取り入れています。

例えば、小野小町。

 

(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)

 

 

和歌を詠まずに、味噌田楽らしきものを作っています。

しかも、結構な量の。

あと、よくよく見ると、頭の先端がかなり尖がっています。

(東京タワーのイメージキャラクターの) ノッポンか!

 

また、伏見人形や白鼠など、

 

 

 

隠しキャラ (?) も描かれているので、

隅から隅まで楽しめる屏風となっていました。

ちなみに、誰よりも気になったのが、こちらの人↓

 

 

 

どうやらシャボン玉をしているように見えます。

が、しかし、石鹸が一般的でない江戸時代に、

シャボン玉遊びなんて存在していたのでしょうか??

そんな疑問をついポロッと口にしたところ、

後日、広報さんが、こちらのサイトを紹介してくださいました。

 

 

 

江戸時代にすでにシャボン玉遊びがあったのですね!

しかも、石鹸を使っていないにも関わらず、

名称もすでに “シャボン玉(さぼん玉)” だったのですね!!

教えて頂き感謝です。

 

 

教えて頂いたといえば。

こちらの 《月に叭々鳥図》 に関して・・・・・

 

伊藤若冲 《月に叭々鳥図》 (部分) 18世紀後半 岡田美術館蔵

 

 

小林館長からオススメの鑑賞方法を教えて頂きました。

それは、床の間に飾ってあったことを想像し、

作品の下に正座して、見上げるように鑑賞するというもの。

(注:実際に展示室で正座すると変な人扱いされるので、腰を屈ませる程度にしましょう)

 

すると・・・・・・

 

 

 

落下する叭々鳥の迫力が増しました!

まさに自分のもとに一直線で落ちてくるような。

3D映画を観ているような臨場感が味わえました。

皆さまも是非会場で体験してみてくださいませ。

 

 

ちなみに。

展覧会は、若冲作品の他にも、

若冲が過ごした京都にまつわる金屏風作品や、

 

 

 

若冲が生まれた年にちょうど亡くなった尾形光琳をはじめとする琳派の作品、

 

 

 

円山応挙や与謝蕪村ら、若冲と同時代に京都で活躍した5人の絵師の作品も展示されています。

 

 

 

特筆すべきは、すべての作品のキャプションに、

 

 

 

こども語の解説が添えられていたこと。

大人向けの解説もわかりやすかったのですが、

より噛み砕いた子供向けの解説があるおかげで、作品に対する理解度がより深まりました。

 

 

 

なお、こども語の解説はどれも、優しい語り口なのですが。

奇想の絵師・曾我蕭白の作品に対してのこども語の解説には・・・・・

 

曾我蕭白 《山水図》 18世紀後半 岡田美術館蔵
 

 

 

『いろいろな絵がかけた、なかなか上手な人でした。』 という一文が。

「とても」 でも、「かなり」 でもなく、「なかなか」。

評価はそんなに優しくありませんでした (笑)

 

 

 ┃会期:10月4日(日)~2021年3月28日(日)
 ┃会場:岡田汐留美術館
 ┃
https://www.okada-museum.com/exhibition

 


~読者の皆様へのプレゼント~
“画遊人・若冲展” の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、10月25日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。

 

 

 


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